有限会社田畑商店 代表 田畑 耕市 氏
昭和4年創業、まもなく100周年を迎える有限会社田畑商店。酒類や飲料の卸売業から始まり、今では地元の特産品を活かした食品開発や観光物販まで、地域に根ざした事業を展開しています。4代目社長・田畑氏が掲げるのは「地域食文化の継承」と「フードロスの解消」。その原点には、幼いころから抱いてきた“もったいない精神”と“新食文化の創造”・感謝を忘れない経営哲学があったのです。
目次
食文化を次世代に残すことが使命
──事業概要を教えてください。
弊社は昭和4年に創業し、現在は96年目になります。祖父が始めた飲料やお酒類の卸販売からスタートしました。私は38歳のときに社長となり、現在は酒類・飲料卸売を主軸に、新規事業として食品開発販売事業や観光物販事業も展開しています。
とくに人気の商品は、「梨のフルーツらっきょう」です。地元産の規格外農産物を活用した商品開発に取り組んでいます。将来的には、フードロスを解消するために、地域のあらゆる規格外商品も幅広く活用していきたいと考えています。弊社の強みは、地元産業への貢献と地域密着型の事業運営です。捨てられてしまう食材を有効活用し、地域の食文化を次世代に継承することが私たちの使命だと日々考えています。
厳しい現実を目の当たりにしたことが起業の原点
──経営者になるまでの経緯を伺えればと思います。
もともと私は経営者を目指していたわけではありません。田畑商店の後継者として家業を継ぐ形で現在に至ります。子どもの頃から、世界各国の食文化や国内地域食文化に興味がありました。また食材を無駄にすることが好きではなく、特に地元の農家さんが出荷できない規格外の梨やらっきょう発生に困窮し捨ててしまう現実を見て、もったいないと強く感じたことが起業の原点です。
主体性をもって取り組むチームであってほしい
──組織体制において何か工夫をされていますか?
現在、従業員はパート・アルバイトも含めて14名です。コミュニケーションの面では、社員同士や本社と離れた拠点のスタッフ間で積極的に交流の機会を作っています。会社のレクリエーションやバーベキューなどを通じて、チームの結束を強めています。
仕事は言われてやるものではなく、自ら考えて動くことが重要だと考えています。私のモットー「自発自動」の精神を浸透させ、社員が自主性を持って業務に取り組むことを大切にし、運営しています。
海外への輸出展開を目指して
──今後の事業展開で何か考えていらっしゃることはありますか?
今後は、梨やらっきょうに限らず、地域で発生する食品ロスを減らす取り組みをさらに強化していきたいと考えています。たとえば、規格外で出荷できない果物や野菜、加工過程で発生する端材など、どうしても廃棄されてしまうものがあります。それらを有効活用し、新たな商品や加工品として世に出すことができれば、地域農業への貢献にもつながりますし、消費者にとっても価値ある食品をお届けすることができます。
また、無駄をなくすだけでなく、リーズナブルな価格で提供できる仕組み作りも重要です。消費者へ手に取りやすい価格帯で、地元の魅力や食文化をお届け出来ることを目標としています。
さらに、国内市場だけでなく海外への輸出展開も視野に入れています。日本の地域特産品や加工品には、海外の消費者に喜ばれる価値があります。海外展開を成功させるためには、信頼できるパートナーとの連携や、現地市場のニーズ調査も欠かせません。
食とお酒で日々の疲れをリフレッシュ
──プライベートの過ごし方をぜひ伺いたいです。
趣味はゴルフや旅行、プロ野球観戦です。特にプロ野球は甲子園に応援に行くほど熱狂的で、ストレス解消のひとときになっています。また、食とお酒のマリアージュが好きで、美味しいものを楽しむことも日頃のリフレッシュになっています。
失敗しても諦めずに、成功するまで続けること
──経営者として大切にしている価値観はありますか?
私が尊敬する人物は、元プロレスラーのアントニオ猪木さんです。諦めず挑戦し続ける精神に影響を受けています。社員にも「失敗しても諦めず、成功するまでやり抜くこと」を伝えており、これが田畑商店の根幹の精神でもあります。

