株式会社ALLAI 代表取締役 井澤 良介氏
生成AIの進化が加速する中、日本では導入の遅れや社内活用の難しさが課題となっています。株式会社ALLAIは、文系人材にもわかりやすい教育とナレッジ基盤の構築を通じ、企業のAI活用を根本から支援する新しいスタイルのコンサルティングを展開。「必ずありがとうがもらえる仕事をしたい」という理念のもと、AI教育の正しい普及に使命感を持って取り組んでいます。今回は、代表井澤氏の歩みと展望を伺いました。
目次
属人化からの脱却へ 正しいAI教育の必要性
――現在の事業内容と特徴について教えてください。
AI顧問やオーダーメイドのAIセミナー、AIスクール、子ども向けスクールなどを展開しています。特徴は「文系人材でも理解できる教材設計」です。属人的な知識をナレッジ化し、AIに読み込ませやすい環境をつくることを重視しています。
日本はAI導入が世界に比べて遅れています。その背景には「空気を読む文化」や「属人化」などが影響していると考えています。そこで弊社は、単なるツール導入ではなく、基盤整備から丁寧に伴走し、社員全員が楽しくAIを活用できる仕組みを提供しています。
SNSから飛び込んだAIの世界 「正しく伝える」使命
――AI事業を始められた経緯をお聞かせください。
もともとはエステや小売など全く別の事業をしていました。転機となったのは、ChatGPTの初期モデルに触れたことです。その圧倒的な可能性に魅了され、1か月で全事業を売却してAI分野に飛び込みました。
当初は海外の情報を夜中に翻訳・発信し続け、SNSで約32万人のフォロワーを獲得。そこからセミナーやコンサルへと展開しました。私が大切にしているのは「正しいものを正しく伝える」ことです。情報商材化しがちなAI市場で、本当に役立つ教育を届けたいと考えています。
――経営の中で大切にしている想いはありますか。
「必ずありがとうがもらえる仕事をすること」です。どんなに最新の技術を導入しても、お客様が「やってよかった」と思えなければ意味がありません。テクノロジーが進化する時代だからこそ、人と人の信頼関係を大切にしています。
ナレッジ共有が組織を強くする 社員との関わり方
――社員の主体性を引き出す工夫はありますか。
AI業界は変化が早いため、「これが正解」と固定せず、常に1~2か月先を見据えて意思決定しています。社員にはナレッジ共有を徹底してもらい、良いアウトプットは全員に還元する仕組みを整えています。
――求める人材像について教えてください。
AIでできることと人間にしかできないことを見極められる人材です。AIは感情を理解できません。だからこそ、人の感覚や言葉を大切にしながら、AIを補完的に活用できる人を求めています。
DX基盤づくりから全国へ 広がるAI教育の展望
――今後の事業展開についてお聞かせください。
現在は「DXの基盤づくり」に注力しています。具体的にはGoogle WorkspaceやMicrosoft 365を活用したナレッジ基盤の構築です。AIを活かすには、まず組織の情報を整理し、共有できる環境を整えることが不可欠です。
将来的にはフランチャイズ展開も視野に入れ、正しいAI教育を全国に広げたいと考えています。情報がAIに代替されていく時代だからこそ、人が培ってきたナレッジに価値を見出し、倒産企業の知見なども再利用できる仕組みを作りたいと考えています。
研究漬けの毎日も「楽しい」 人間らしいつながりを大切に
――プライベートでのリフレッシュ方法を教えてください。
ほとんどの時間をAIの研究に費やしています。食事もサブスク弁当で済ませ、家から出ずに仕事に没頭する生活ですが、それ自体が今は楽しく、最大の充実になっています。
――経営以外で情熱を注いでいることはありますか。
やはり「人との関係」です。AI時代だからこそ、限られた対面の時間や人との信頼を大切にしたいと考えています。
生成AIはすでに人間の知能を超える領域に到達しつつあります。その中で「正しいAI教育」と「人間にしかできない価値」を融合させる取り組みは、社会に新しい可能性をもたらします。AIが誰もが身近に使える存在となる未来に向けて、その挑戦はこれからも続いていくでしょう。

