FPサテライト株式会社 代表取締役 坪谷 亮氏
金融商品の販売を一切行わず、真に中立な立場から顧客の人生設計を支援する“新しいファイナンシャルプランナー像”を体現しているのが、FPサテライト株式会社です。代表の坪谷亮さんは、経営の現場で汗をかき、時には顧客と共に営業に立つ“行動するFP”。理念は一貫して「筋を通す経営」。数字や短期的な利益にとらわれず、人と人の信頼を軸に未来を描いています。今回は、坪谷さんが描くこれからの金融支援の在り方を伺いました。
ファイナンシャルプランナーの常識を超える挑戦
――現在の事業内容について教えてください。
当社は「金融商品を販売しないファイナンシャルプランナー(FP)」として活動しています。一般的なFPは保険や証券の販売手数料を収益源にしていますが、私たちは完全に中立的な立場から相談を受け、有料コンサルティングとしてサービスを提供しています。
事業の柱は三つあります。第一に、銀行や保険会社など大手企業向けの金融記事執筆事業。第二に、福利厚生や住宅メーカー向けのセミナー・研修事業。そして第三に、保険を販売しない有料個人相談です。顧客が本当に必要とする資産形成やライフプランを共に考え、成果を追求する姿勢を大切にしています。
現在はFP26名が所属しており、全員が女性です。出産や育児を経てもスキルを活かせるよう、在宅・業務委託という柔軟な働き方を採用しています。雇用の枠にとらわれず才能を発揮できる“芸能事務所型”の組織を築いています。
若きリーダーが掲げる「筋を通す経営」
――今年4月に代表へ就任された経緯を教えてください。
私は入社当初から経営サイドに関わり、半年で取締役に就任しました。新卒でいきなり執行役員という異例のスタートでしたが、仲間と試行錯誤を重ねながら売上を倍々で伸ばしてきました。
代表就任は「次の成長フェーズに必要なリーダー像」を社内で話し合った結果です。肩書きが変わっても、根底にある姿勢は変わりません。どんなときも“筋を通す”こと。短期的な利益よりも、人としての誠実さを優先しています。
たとえば、赤字企業や個人事業主を支援する際も、最初から顧問料を取ることはしません。まずは売上を上げてもらい、その成果の一部をいただきます。資金が厳しい中でも「応援する」と決めた以上、責任をもって伴走する――そうした覚悟が信頼を生むと考えています。
仲間と共に“行動するFP”を育てる
――社員やメンバーとの関わり方、組織運営で意識していることを教えてください。
所属FPは全員が業務委託ですが、単なる個人集団ではなく「共に動く仲間」として育成に力を入れています。未経験でも意欲があれば採用し、4日間の集中研修を私自身が担当しています。1日7時間、対面で徹底的に向き合うスタイルです。
金融知識だけでなく、「顧客に寄り添う姿勢」や「筋の通し方」を体感してもらうことが目的です。FPという仕事は“守りの職種”と思われがちですが、本来は顧客とともに攻め、行動する存在であるべきだと考えています。裏方ではなく、営業や行動を通じて信頼を築くFPを増やしていきたいです。
日本の知恵を世界へ。FPの新しい可能性
――今後の事業展望について教えてください。
今後は既存の3事業を拡大しながら、“FPの概念そのもの”を広げていきたいと考えています。現在、海外を中心に15カ国ほどを訪れ、日本の伝統工芸など地方の価値ある商材を海外に届ける取り組みを進めています。
単に財務アドバイスをするだけでなく、事業計画の策定から営業同行まで、実際の行動支援を行うのが当社の特徴です。補助金に頼らず、自らの力で持続可能な経営を実現する企業を増やしたいと考えています。そのために、FPが経営の現場で“命をかけて伴走する”存在へ進化していくことを目指しています。
3年後には所属FPを100名まで拡大し、事業承継や後進育成の基盤をつくることを目標としています。平均年齢が高い業界において、若手がノウハウを受け継げる仕組みを整え、日本の金融教育の底上げに貢献していきたいと思っています。
「仕事が趣味」——覚悟が生む原動力
――最後に、プライベートの過ごし方やリフレッシュ方法を教えてください。
趣味を挙げるならゲームですが、実のところ「仕事そのものが趣味」です。FPの仕事を考え、仲間や顧客の未来を描く時間が一番楽しいです。夜遅くまで事業計画を練っていても疲れを感じません。
どんな苦境でも「潰したくない」という思いを持つ経営者に対して、時に厳しい言葉を投げかけることもあります。優しさよりも覚悟を促すことが、本当の支援になると考えています。
一瞬の数字よりも、信頼と情熱で未来を切り拓く――。その信念のもと、FPサテライトはこれからも“筋を通す経営”で新しい金融支援のかたちをつくっていきます。

