地域と看護をつなぐ――「聴く力」で広がる新しい医療支援の形

一般社団法人がんサポートナース 代表 沼澤 幸子氏

一般社団法人がんサポートナースは、病院の外で患者や医療従事者を支える新しい形の看護を広げています。代表の沼澤幸子氏は、長年看護師としてがん患者のケアに携わり、病院では届かない声に寄り添うために法人を設立しました。現在は三重県で地域おこし協力隊として活動しながら、患者や家族、医療従事者の心を支える取り組みを続けています。今回はこれまでの歩みと理念、未来への展望について伺いました。

地域に入り「聴く力」で支える新しい看護のかたち

――現在の事業内容について教えてください。

私は看護師として長年がん患者さんのケアに携わってきましたが、診断を受けた方々に対して心のケアがほとんど届いていない現状に疑問を持ちました。病院勤務を辞めた後は地域に入り、患者さんやご家族の話をじっくり聴く活動を続けています。

法人を立ち上げてからは、看護師の育成講座を開いたり、講演活動を行ったり、個別相談に応じたりと幅広く取り組んできました。対象は患者や家族だけでなく、心身の疲弊に悩む医療従事者も含まれます。特に医療従事者からの相談は年々増加しており、「自分を大切にできないまま他者に尽くしてしまう」という悩みを共有される方も多いです。だからこそ「まずは自分を整えること」が活動の重要なメッセージになっています。

現在は三重県の人口1万人未満の地域に移住し、地域おこし協力隊として無料相談を担っています。小学生から80代まで幅広い世代の相談に応じ、必要に応じてクリニックや診療所と連携する形です。

病院を離れ、法人を立ち上げた転機と背景

――法人を立ち上げた経緯を教えてください。

もともと30年近く病院組織で働いてきましたが、病棟の中では「やりたい看護」ができない場面が多くありました。身を削るように働く医療従事者が多く、患者さんと向き合う余裕がないことに葛藤を覚えたのです。

地域で活動を始めると、「話を聴いてくれる存在」を求めている人が多くいることに気づきました。病院の外だからこそできる支援があると実感し、法人化を勧められたことを機に一般社団法人を設立しました。今では看護師が病院以外でも専門性を発揮し、地域で活躍できるモデルをつくることを目指しています。

安心できる場をつくり、人の力を引き出す支援

――活動で大切にしていることは何ですか。

まず、自分自身が健康であることを大切にしています。ケアを提供する人が心身ともに整っていなければ、本当の意味で人を支えることはできません。

また、相談に来た方に対しては徹底的に話を聴く姿勢を持ちます。人は自分の中に解決の力を持っていて、安心できる場さえあれば自ら問題を解決できることも多いと感じています。そのため「支援する側が導く」のではなく、「本人が気づく力を引き出す」ことを重視しています。一方的なアドバイスよりも、安心できる時間や場を共有することで自然と変化が生まれることが多いと実感しています。

病院外で看護師が活躍できる仕組みづくりへ

――今後挑戦していきたいことについて教えてください。

将来的には、看護師が病院以外でも安心して働ける仕組みをつくりたいと考えています。現在の医療現場では多くの看護師が疲弊し、自分のやりたい看護を実現できずにいます。そうした人たちが地域で心のケアを行い、行政やクリニックと業務委託契約を結ぶことで、医療の質を上げるとともに、持続可能な形で働けるモデルを構築していきたいです。また、養成講座の卒業生がすでに全国で活動を始めており、そのネットワークを広げることも目標です。今後は学会発表や、音声配信などの発信活動を通じて、同じ志を持つ人材を増やし、持続的な支援体制を整えていきたいと考えています。

読書・映画・教育分野――多様な活動がもたらす広がり

――プライベートのリフレッシュ方法について教えてください。

病院を辞めてから時間の使い方が変わり、読書や映画鑑賞を楽しむようになりました。感性を磨くことで人の気持ちをより理解できると感じています。地元には世界遺産や神社も多くあり、自然や歴史に触れる時間も大切にしています。

また、移住後は教育分野にも関わるようになり、医学生の実習を受け入れたり、中高一貫校で心のケアが必要な学生をサポートしています。不登校やメンタルに悩む生徒と接する機会も多く、未来を担う世代に寄り添うことは地域医療と同じくらい意義深いと感じています。

地域での活動から生まれる新しいご縁が、自分の可能性をさらに広げてくれると実感しています。これからも看護と地域をつなぎ、人々の心に寄り添う活動を全国へと広げていきたいです。

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