株式会社i-Grow 代表取締役 井上訓子氏
キャリア支援を通じて「働く人の自己実現」と「企業の生産性向上」の両立を目指す株式会社i-Grow。
代表を務める井上氏は、主婦から起業家へと転身し、キャリアコンサルタントの育成や企業支援の最前線で活動を続けています。
本記事では、会社の現状や経営理念、起業の背景、組織運営へのこだわり、そして今後の展望について伺いました。
目次
「人が輝けば、企業も成長する」i-Growが描くキャリア支援のかたち
――現在の事業内容と経営方針について教えてください。
当社は企業向けのキャリア支援を軸に、研修やキャリア面談、採用支援を行っています。加えて、近年はキャリアコンサルタントの育成にも注力しています。厚生労働省の認可を受けた養成講座で講師を務め、卒業生への能力開発を継続的に支援しています。
私の理念は「会社で働く一人ひとりが、自分の目標を持ち、生き生きと働ける人材を創出すること」です。ライフとワーク双方が充実することが、結果的に企業の生産性向上につながると信じています。直近のビジョンとしては、年間で約30名のキャリアコンサルタントを育成し、全国で活躍できるパートナーを増やしていく計画です。
主婦から経営者へ ― 行動力で切り拓いたキャリア
――経営者を志されたきっかけは何だったのでしょうか。
特別なことではなく、最初は「子どもが成長して暇になる」と思ったことが原点でした。専業主婦から教育教材の飛び込み営業を始め、そこから多くの社長と出会う機会を得たのが転機です。「夢は社長と女優」という言葉を拾っていただき、女性起業家の集まりに参加し、「私も社長を目指そう」と決意しました。
印象的なエピソードとして「鶏小屋の鷹の子」の話があります。飛べるはずの鷹が周囲に「飛べない」と言われ続け、結局飛ばずに一生を終えるという物語です。当時の自分を重ね、「この世界から飛び出そう」と決意しました。周囲からの反対や夫の理解が得られない中でも、勢いと情熱で独立したのが今につながっています。
信頼と対面を重視する組織運営
――現在の組織体制と、社員やパートナーとの関係について教えてください。
当社には正社員はおらず、すべて業務委託のパートナーに依頼しています。だからこそ、信頼関係の構築が重要です。私が特に意識しているのは「レスポンスの速さ」と「直接会う機会を持つこと」です。首都圏だけでなく地方にも積極的に出張し、顔を合わせて話す時間を作っています。
キャリアコンサルタントの世界には、資格を持ちながらも十分に収入を得られず更新できない方が多い現実があります。私は「彼らがきちんと仕事を得て食べていけるようにする」ことを使命だと考えています。そのため、信頼できる実力を備えたパートナーに育成し、仕事を任せていくことを徹底しています。
「人」と「企業」を結ぶ架け橋としての挑戦
――今後の事業展開や挑戦についてお聞かせください。
今後もキャリアコンサルタントの育成と活躍の場の創出に力を入れていきます。私はまず案件を受託し、それを安定的にパートナーに委託できる仕組みをつくることが目標です。
一方で、企業の採用や研修の「内製化」が進んでいます。そこで必要とされるのは、社内で人材育成や採用に専門性を持つ人材の育成支援です。当社もそのサポートを強化していきたいと考えています。
将来的には、私は「裏方」として事業を生み出し、キャリアコンサルタントたちが安定して働ける場を提供していきたいと思います。その姿が企業の発展や社会全体の成長につながると信じています。
行動と創造を楽しむ日々
――お仕事以外で大切にしていることやリフレッシュ方法はありますか。
「毎日が趣味」と思っていて、特別なリフレッシュ方法はありません。好きなコーチングを仕事にできているので、仕事とプライベートの境界はあまりありませんね。完全に休むのは年末年始やお盆くらいで、それ以外は祝日でもメールを欠かさず返信しています。
私は「思いついたらすぐ行動する」タイプで、行動に移さず頭に置いておくことが一番のストレスです。これまでにも女性キャリアセンターやママさんバレーボールチームの立ち上げなど、ゼロから動かしてきました。後悔はありませんし、行動することで新しい出会いや挑戦が生まれる。それが私の喜びであり、経営の原動力になっています。
これからも行動を通じて新たな挑戦を生み出し、仲間とともに未来を切り拓いていきたいと思います。

