株式会社伍代 代表取締役 鈴木 丈章 氏
創業以来、不動産・建設業を基軸にしながら社会貢献活動など多角的な事業を展開する株式会社伍代。元国会議員秘書という異色のキャリアを持つ鈴木代表は、政治の現場で培った知見と、いかなる困難にも正面から向き合う「正面突破」の哲学を融合させ、現代社会の複雑な課題解決に挑んでいます。その特異なキャリアと、経営における信念、そして未来への展望を伺いました。
常に社会貢献を見据えた経営
――御社の事業内容を教えてください。
弊社は不動産、建設を主軸事業として展開しています。私自身の国会議員秘書としての経験を活かし、技術力の必要なオーダーへの対応や、企業の有事における危機管理や行政対応、マスコミ対応といった高度な経営相談を強みとしています。
――事業の特徴はどのような点にありますか。
社会貢献を経営の柱に据えていることです。主軸の事業とは少し外れるのですが、弊社では無料での経営・生活相談を受け付けています。これは困っている人、最終的なところまで追い詰められた方の救済の方法を考えたいという思いがあるからです。費用を理由に相談を諦めなくてはならない、司法・立法・行政のどこにも出口のないような方を一人でも救うため、我々の経験とノウハウを生かした救済の方法をゼロベースでデザインすること。ここに、民間企業にいながら我々ができる社会貢献活動があると考えています。
「正面突破」を貫く
――ゼネコン入社後に国会議員秘書を経て、どのような経緯で創業されたのですか。
自分の会社を立ち上げることについて、特別な原動力というものはなく、ごく自然な流れとして自らの法人化という次のステップに進んでいったという感覚です。建設業は金額も大きく、人生の選択として重いものであり、トラブルになった際に最も深刻化しやすい領域です。だからこそ、そういった難しい仕事に取り組むのが自分の使命ではないかと考えました。
――キャリアを通じて一貫して大切にされている信念についてお聞かせください。
現在は、企業の社外取締役や第三者調査委員としての依頼を中心に活動しています。
案件の性質上、メンバー構成やスケジュール調整、調査対象の選定など、多岐にわたる調整業務が発生しますが、私はそれを「現場を動かすための要」と捉えています。
秘書時代に培った政治的な調整力と交渉感覚を武器に、関係者が抱える緊張や利害を丁寧に整えながら、最終的に“結論を出す”ことを重視しています。
社会問題化した大型案件から、中小企業の内部問題まで、案件の規模は問いません。
むしろ、困っている人を取りこぼさないこと――これを活動の中心に据えています。
誰かが声を上げられずにいる状況を放置しない。
そこにこそ、私が関わる意味があると考えています。
時代の変化を意識した組織づくりを
――組織運営で意識されていることは何でしょうか。
特に管理者に対する教育に注力しています。令和の時代において、コミュニケーションの取り方が昭和・平成とは根本的に異なると認識し、それを徹底して浸透しています。具体的には「仕事以外の私的な領域にコミットしない」、そして「労働時間以上の貢献を会社に強要しない」ということです。
――時代が大きく変化していく中、求められるスキルや資質はどう変化していくとお考えですか。
「職業選択の自由」というものを再認識することが重要だと考えています。多くの人が年功序列からの離脱や、新しいことへのチャレンジに対する抵抗、世間体といったものに執着し、時代の変革を恐れていると感じます。しかし、この変化が激しい時代においては今まであった仕事は不要となり、今まで見たことのない仕事がメインとなってきます。そのため、個人にとって最善の選択をすることを、ひるまず、臆せずに積極的に行う姿勢が大切です。「辞めることが逃げることではない」という考え方を容認し、自らのキャリアを柔軟にデザインしていくことが求められていると思います。
柔軟な経営で時代を生き抜く
――今後の展望を教えてください。
今後のテーマは「再編」です。組織が肥大化してしまったため、もう一度ブロック分けし、広げたものを統合していく必要があります。その上で我々が強みとする業務はさらに強化していくことを考えています。
――今後の経営において重要なことは何だとお考えですか。
最も重要なのは柔軟性の高い経営です。目標は持つものの、「我々がこうするんだ」と決めたことを守るのではなく、今日起こった事態や明日起きる事態に対して、180度方向転換ができる自由度の高い経営を可能にすること。これしか、この難しい時代を生き抜く方法はないと思っています。

