株式会社MIRABLE/小林佳子税理士事務所 代表 小林 佳子 氏
中小企業経営の現場では、「理念」と「数字」のバランスを取ることが成長の鍵です。税理士としての経験をベースに、未来設計書の作成を支援する小林氏は、顧問先の黒字化率73%という高い実績を持ち、経営者と社員の双方の未来を見据えたサポートを行っています。今回は、会社設立の背景から経営理念、経営支援の工夫、そして今後の展望まで、小林様の経営哲学を詳しく伺いました。
税務申告以外の部分でお役に立ちたい
――会社設立の経緯について教えていただけますか?
2018年に税理士事務所を独立開業後、税務申告以外の部分でもっとお客様のお役にたてる部分があるのではないかと思い、2022年に「株式会社MIRABLE」を設立しました。顧問税理士がいても手が回っていない補助金申請や未来設計書の作成、資金繰り、組織運営など、経営者にもっと寄り添ったサポートを提供するためです。そのために、税理士事務所という肩書より、数字がわかる専門家としての立場をつくる必要がありました。
経営者が未来を描けるように支援
――現在の事業内容や特徴については?
税理士事務所なので税務業務もおこなっていますが、AIを使った未来設計書の作成や融資申請、補助金の申請支援、経営者向け・社員向けの経営セミナーも行っています。税務以外のコンサル業務は株式会社MIRABLEで請け、顧問税理士がいても経営者が相談しやすい体制を整えています。単に「数字を処理する」だけではなく、経営者が「数字を活かして」未来を描けるよう伴走するのが特徴です。
「ありがとうの気持ち」が広がるように
――御社の理念やビジョンを教えてください。
理念は「ありがとうの感謝の気持ちを伝播させる」です。社員や経営者の成長を促すだけでなく、社会全体に良い影響を広げたいと考えています。理念だけに偏ると利益が残らず、数字だけに偏ると社員や顧客に負荷がかかります。両方を意識することが、持続可能な経営に不可欠です。
弊社ならではの強みは「原理原則に基づく支援」と「ぶれない軸」です。目先の流行や経営者の一時的な希望に流されず、5年後、10年後を見据えた判断をサポートします。数字のシミュレーションを提示することで、最適な意思決定を後押しできるのも特徴です。
社員の満足は、給料アップだけか?
――このままいったら私ってどうなる?の不安に応えることができている会社がどれだけあるか?
税理士法人勤務時代から独立したかったわけではなく、正直仕事に疲れて会社を辞めました。その後、運命的に経営計画書と出会い、「社長は社員第一主義。社員はお客様第一主義」の考え方に触れ、「会社にこんな経営計画書があれば私は辞めなかっただろう」と思いました。それ以来、理念やビジョンを言語化し、社員の未来像と事業の未来像を数字を使って語っていくことが経営者の役割だと考え、数字と方針の両面から会社をサポートすることを使命として日々仕事をしています。
常に理想として掲げている目標は、社員がワクワクしながら働ける環境をつくることです。給与だけでなく、心理的成長や自己実現の場も提供し、社員一人ひとりが未来に希望を持てる会社を作りたいと考えています。Z世代の意見も取り入れ、現場の声を経営支援に反映するよう努めています。
経営者として大切にしている価値観は感謝の気持ちです。「ありがとう」を伝えることを意識することで、自分自身の気持ちも整理され、社員や関係者との信頼関係が築かれます。この小さな積み重ねが、会社全体の文化(社風)にもつながります。
未来設計書をつくり、ワンチームで実現すること
――今後の展望は?
理念と経済合理性の両立を実現できる中小企業を増やすことが、中小企業をサポートする私たちの最重要の目標です。理念だけ掲げてブラック企業になっていないか?役員報酬だけが高くて社員がついてこない所有の経営になっていないか?具体的には、経営者が描くビジョンと現実の数字を結びつけるサポートをさらに拡充していきたいと考えています。
たとえば、計画をつくってもその通りにならないからつくらないのではなく、未来設計書をつくって言語化し「この指とまれ」的な会社全体の方向性を可視化し、社員一人ひとりが自分の役割を理解できる仕組みづくりにもつなげていきます。
感謝の気持ちを原動力に、理念と数字のバランスを意識することが、持続可能な経営の鍵です。小さな成功体験を積み重ねることで、会社も社員も共に成長していけます。

