ヴォイスキャリアコンサルティング株式会社 代表取締役 萩原 規善氏
若手の転職支援を中心に、有料職業紹介事業を展開するヴォイスキャリアコンサルティング株式会社。代表の萩原規善さんは、「大手がやらない面倒くさいサービスを、感じのいいキャリアアドバイザーが丁寧に伴走する」ことを信条に掲げ、独自の支援体制を築いてきました。社員とともにビジョンを作り上げ、ひとり一人の未来を共に描く――そんな萩原さんの経営哲学に迫ります。
一人ひとりに“伴走する”転職支援を
――御社の事業内容と特徴を教えてください。
当社は有料職業紹介事業を営んでおり、主に20代~30代前半の求職者を対象とした転職支援を行っています。営業職、販売職、エンジニア、専門職など様々な経験の方をサポートしています。
初回面談では求人を紹介するのではなく、まず「どんな未来を実現したいのか」を一緒に設計することから始めます。将来のビジョンを定めた上で、どんな経験を積むべきか、どんな企業が合っているのかを逆算して提案します。履歴書作成や面接対策もマンツーマンで行い、多い方では10回程度面談をすることもあります。
――伴走型の支援スタイルを取られている理由は何でしょうか。
転職活動は人生の大きな転機です。誰もが不安を抱える中で、AIや求人サイトではできない“心の伴走”をしたいと思っています。「この人がいたから転職できた」と言ってもらえる瞬間が、私たちの一番の喜びです。
未経験からの挑戦。「なせばなる」を胸に
――起業のきっかけを教えてください。
もともとは求人広告会社で働いていましたが、リーマンショックをきっかけに経営が傾き、仲間が離れていく姿を見たとき、「自分で何かを生み出したい」と思いました。事業計画もないまま起業し、人材紹介業も全くの未経験。請求書の書き方すらわからず、お客様に教わりながら一歩ずつ前に進んできました。
――経営で大切にしている考え方はありますか。
「なせばなる、なさねばならぬ何事も」という言葉です。結果が出ないのは自分がまだやっていないから。やれば必ず結果はついてくる。そう信じて、ここまで続けてきました。
社員と共に創る“考える組織”
――組織づくりで意識されていることを教えてください。
当社では、ビジョンや行動指針を社員全員で策定しました。クレドには「プロ意識」を中心に14の行動項目を設け、全員が同じ基準で動けるようにしています。
また、トップダウンではなく“承認制”を徹底しています。社員自身が計画を立て、それを上司が承認する仕組みです。週ごとに進捗を確認し、コーチングのように成長をサポートしています。
――マネジャーの昇格制度もユニークですね。
マネージャーへの昇格は指名ではなく立候補制です。立候補者から社員の投票によって選ばれます。私も1票を持つだけのフェアな制度にしています。自分で考え、行動できる人材が育つ環境こそ、会社の成長の原動力だと思っています。
経営を支える“心と体”の鍛錬
――プライベートのリフレッシュ方法を教えてください。
空手とキックボクシングを週4回行っていて、試合にも出場しております。格闘技を始めてから心が強くなり、例え困難な事に直面しても、諦めずに粘り強く取り組む力が強くなりました。
痛みや恐怖を乗り越える経験が、自分の限界を広げてくれる。努力すれば必ず強くなるという確信は、仕事にも通じています。格闘技は趣味ではなく、自分を律するためのライフワークです。
HRの枠を超えて、“人の生涯に寄り添う”企業へ
――今後の展望をお聞かせください。
現在は中途採用領域支援の拡大で、総合型人材紹介会社を目指しています。様々な業界のお客様に対して、様々な職種や第2新卒からジュニア・ミドル・ハイレイヤーまでの支援をしております。今後は、新卒紹介、キャリアコーチング事業、フリーランスマッチング事業、シニア層活躍支援など、新規事業も準備中です。
日本は2036年に人口の3分の1が65歳以上になるといわれています。若者だけでなく、経験豊富なシニアが再び活躍できる社会をつくることも、私たちの使命だと感じています。キャリアの始まりから終わりまでを支える――そんな一気通貫の支援を実現したいと思っています。

