株式会社リード・サマー 代表取締役 佃 勇也氏
地域の人々にとって、最も身近な医療拠点である「薬局」。
株式会社リード・サマーは、従来の調剤業務にとどまらず、オンライン服薬指導や健康相談など、時代に合わせた新しい医療の形を追求しています。
本記事では、同社の代表・佃勇也様に、薬局運営への想いや地域医療の未来、そして経営者としての価値観について伺いました。
薬局から広がる新しい価値を地域へ
――現在の事業内容と理念について教えてください。
当社は調剤薬局を運営しており、処方箋の受付やお薬のお渡しに加えて、オンライン服薬指導やLINEを活用した処方受付、健康相談など、幅広いヘルスケアサービスを展開しています。外来対応に加えて高齢者施設への在宅支援も行い、地域に根ざした医療の担い手として日々活動しています。
企業理念は「薬局から始まる新しいありがとうを実現する」ことです。単に薬を渡すだけでなく、そこから生まれる関わりを通じて健康や暮らしに貢献したいと考えています。技術革新のスピードが速い今だからこそ、変化を恐れず挑戦を重ね、地域の皆さまに新しい価値を届けていきたいと思います。
近年では、LINEでの処方受付やオンライン指導を通じて、若い世代から高齢者まで幅広い層に対応できる体制を整えました。デジタル化と人の温もりを両立させることで、“地域のかかりつけ薬局”の新しいモデルを築きたいと考えています。
自ら道を切り拓いた独立の原点
――経営者を志したきっかけや、これまでの経緯を教えてください。
もともとは薬剤研究の分野に携わっていましたが、会社員として働く中で「自分の将来像が見えない」と感じるようになりました。そんなときに知人の紹介で薬局を引き継ぐ話をいただき、思い切って独立したのがきっかけです。
薬剤師として患者さんから初めて「ありがとう」と言われた瞬間のことは今でも忘れられません。研究職時代には味わえなかった人との直接的なつながりが、今の自分の原点になっています。
経営においては“人とのつながり”を何よりも大切にしています。薬局業界に限らず、商工会など異業種の集まりにも積極的に参加し、薬剤師の新しい価値を社会に伝えていくことを意識しています。
背中で見せる”リーダーシップ
――組織運営で大切にしていることを教えてください。
社員には細かい指示を出さず、目標と結果だけを共有しています。信頼して任せることで、自分で考え行動する力が育つと考えています。
理念を理解してもらうために特別な指導はしていませんが、自らの姿勢で示すことを心がけています。背中を見せて伝えるほうが、言葉よりも説得力があると感じています。
職場は家族的な雰囲気で、社員の中には子育てと仕事を両立している方もいます。家庭を隠さず見せ合える関係性が、安心して働ける環境づくりにつながっています。患者さんだけでなく、同僚や次に仕事を引き継ぐ仲間に対しても思いやりを持つことを社内の文化としています。
薬局を“医療のファーストタッチ”へ
――今後の展望や挑戦について教えてください。
これからは「薬局を医療の最初の相談窓口にする」ことを目指しています。風邪を引いたらまず病院ではなく薬局に行く、そんな文化を広げていきたいと考えています。薬剤師が症状を見て適切な判断ができるようになれば、医療全体の負担を軽減できるはずです。
また、AIや電子聴診器などの新技術を積極的に取り入れ、診断に近いレベルで的確なアドバイスができる体制を整えたいと思います。さらに、定年後に現場復帰を希望する未経験の薬剤師を育成する実践研修の場を設け、業界全体の人材不足解消にも貢献していきたいと考えています。
今後は、地域の医師会や介護施設との連携も強化し、チーム医療の一員としての役割を果たしていく方針です。薬局が単なる“薬を渡す場所”ではなく、生活に寄り添う“医療の起点”として認知される社会を実現したいと考えています。
家族との時間が明日の原動力に
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
現在は小さな子どもが2人おり、仕事以外の時間はほとんど家族と過ごしています。子どもと遊ぶ時間が何よりの癒やしであり、明日への活力にもなっています。
経営では「挑戦を止めた瞬間に会社は後退する」と思っています。失敗を恐れず、常に新しいことに挑み続けたい。薬局から始まる“ありがとう”を未来へとつなげていくために、これからも一歩ずつ歩みを進めていきます。

