規格外の柿を救い、地域の未来をつくる──いなさトレンド株式会社の挑戦

いなさトレンド株式会社 代表取締役 杉村 剛 氏

静岡県浜松市の名産である柿。毎年、規格外品として出荷できずに廃棄されてしまう果実が大量にあります。その現状を前に、いなさトレンド株式会社は「柿酢」という形でアップサイクルし、新たな価値を生み出す挑戦を続けています。廃棄される柿を救い、農家を支え、さらに地域雇用につなげていく──。代表の杉村剛氏に、事業の背景やこだわり、今後の展望について伺いました。

廃棄される柿をお酢に変える発想

――御社の事業内容について教えてください。

当社は小売・卸売業をメインに、規格外品の柿を「お酢」と「飲む酢(ノムス)」に加工し、商品として販売しています。料理に使える果実酢としての「お酢」、日常的に飲める健康飲料としての「飲む酢」。シンプルにこの二本柱で展開しています。

柿酢という存在は古くからあったものの、一般的にはほとんど知られていません。全国的にも本格的に商品化し販売している企業はごくわずかで、おそらくトップクラスのシェアを持っていると自負しています。廃棄される柿を活かすことで、地域の農家にとってもプラスになる仕組みを目指しています。

柿酢は発酵食品として健康効果も期待でき、消費者の関心が高まる「免疫力」「腸活」といったテーマとも相性が良いのです。そうした社会的な潮流も追い風に、地域の資源を活かした商品として育てていきたいと考えています。

地域おこし協力隊から生まれた起業ストーリー

――起業のきっかけや経緯について教えてください。

私は2022年から地域おこし協力隊として浜松市で活動していました。その中で、農家さんが出荷できない柿を廃棄している現実を知り、大きな課題意識を持ちました。しかも廃棄には手数料までかかるため、農家にとっては二重の負担になります。この状況をどうにかしたい、という思いがすべての始まりでした。

最初は干し柿やドライフルーツ、焼肉のタレなど商品化を検討しましたが、品質や保存、コストの面で断念。そんな時に「柿酢」を原料にした市販のタレに出会い、柿をそのまま使うのではなく、酢に変えて活用する道を見つけました。老舗の酢工場に何度も通い、ようやく納得のいく商品が完成。結果的に、規格外品を幅広く活用できる仕組みを作ることができました。

組織と地域との関わり

――会社の運営体制や社員との関わりについて教えてください。

現在は私が中心となり、事務を家族にサポートしてもらいながら事業を進めています。柿の木の管理や収穫などは、繁忙期に地元の方に協力してもらっていますが、まだ正規雇用は生まれていません。

ただ、目指しているのは単なる商品販売ではなく「地域課題の解決」です。中山間地域は人口減少が進み、働き口がなく若者が街に出ていく現状があります。だからこそ、この事業を成長させ、地元で働ける雇用を安定的に生み出すことを目標にしています。

地域の農業を守り、若い世代が誇りを持って働けるような仕組みをつくることも視野に入れています。単なる加工業にとどまらず、地域全体を巻き込んだ循環型のビジネスへと進化させたいと考えています。

未来への展望──柿廃棄ゼロを目指して

――今後の展望についてお聞かせください。

まずは「地域の柿廃棄ゼロ」を実現することです。まだまだ廃棄される柿は多く、すべてを買い取れる状況ではありません。柿酢の販路を広げ、多くの農家を救える仕組みを整えていきたいと思っています。

さらに、今後はブランディングや価格設定の課題にも取り組んでいきます。柿酢は他の穀物酢に比べると高価ですが、健康価値や品質をしっかり伝え、高級品としての位置付けを強めたいと考えています。給食や飲食店向けの業務用展開も進めながら、地域の特産品として全国に広めていくのが目標です。

釣りと子育てで得るリフレッシュ

――プライベートの過ごし方やリフレッシュ方法を教えてください。

2人の小さな子どもと過ごす時間が今の一番の癒しです。休日は公園で遊んだり、一緒に過ごす時間が仕事の活力になっています。趣味は釣りで、一級船舶免許も持っています。以前は船を所有して沖に出ていましたが、今はレンタルボートで楽しむ程度です。自然の中で過ごす時間は、経営の新しい発想にもつながります。

まずは地域の柿廃棄ゼロを目指し、そこから雇用を生み出していきたいと考えています。まだ小さな会社ですが、一歩ずつ挑戦を積み重ね、地域にとってなくてはならない存在になれるように進んでいきたいです。

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