株式会社ザオリク 代表取締役 田坂 学氏
「フォーム到達者の約6割が離脱している」。WEB広告の世界で長年指摘されてきたこの課題に、株式会社ザオリクは真正面から挑んでいます。代表の田坂氏が立ち上げた「ザオリク」は、広告費を無駄にせず、フォーム離脱者にリマインドを送ることで“再来訪・再購入”を促す成果報酬型サービスです。今回は、サービス誕生の背景、成功までの軌跡、そして日本のマーケティングの未来をどう見据えているのかを伺いました。
Web集客支援サービスを展開
——まずは御社の事業内容についてお聞かせください。
弊社は「ザオリク」というWeb集客支援サービスを展開しています。主にWEB上で集客を行っている企業を対象に、フォームやカートで離脱してしまったユーザーにショートメッセージでリマインドを送り、再来訪・再購入につなげる仕組みを提供しています。
WEB広告を活用して訪れたユーザーのうち、約60%が最終フォームで離脱するのが現状です。広告費をかけて集客しても、この段階でユーザーが離れてしまえば、企業にとっては大きな損失です。
私たちはその「もったいない瞬間」に狙いを定め、成果が生まれた分だけ報酬をいただく完全成果報酬型モデルを採用しています。これにより、導入企業は費用リスクを負わずにサービスを試せるだけでなく、効果が目に見えて現れた場合にのみ投資する仕組みが成立します。
さらに、単なるリマインド配信にとどまらず、ユーザーの行動データを収集し、コンバージョン率向上に役立てる点も特徴です。企業はリマインド施策を行うだけでなく、改善サイクルを高速で回すことができ、広告運用の効率化にも大きく貢献します。
創業背景、そして代表の熱き想い
——ザオリクを立ち上げたきっかけは何だったのでしょうか?
私自身、これまで広告運用やWEBマーケティングの現場で10年以上経験を積んできました。その中で、常に頭を悩ませていたのが「どんなに集客しても離脱するユーザーが多すぎる」という課題です。広告費をかけてホームページやLPに集客しても、約半数以上のユーザーが離脱してしまう。企業にとっては大きな損失であり、改善の余地が明確にあるのに、既存の仕組みでは解決できない状況が続いていました。さらに、詳細に調査していくと、フォームやカートに到達したにも関わらず、離脱してしまうユーザーは60%を超えていることがわかりました。
さらに、離脱ユーザーへのリマインドは単なる広告の延長ではなく、「企業とユーザーの信頼関係を再構築するチャンス」だとも感じました。たとえば、商品購入を迷って離脱したユーザーに「このキャンペーンはあと3日で終了です」と丁寧に通知するだけでも、心理的な背中押しが生まれます。この小さな一歩で、ユーザーが再訪し、購入につながるケースを何度も目の当たりにしました。
こうした経験を通じて、「離脱ユーザーを救う仕組みを、より多くの企業に提供したい」という想いが芽生え、ザオリックの構想が具体化していきました。
赤字覚悟で、サービスを提供する覚悟
——創業当初はご苦労も多かったのではないですか?
もちろんです。特に、完全成果報酬型モデルを提案したときは、半信半疑の企業も多く、最初の数社には非常に苦労しました。
「成果が出なければ費用は払わない」というモデルは、クライアントにとっては安心ですが、私たちにとっては初期投資を背負うリスクでもあります。赤字覚悟でサービスを提供する覚悟がなければ成立しません。
それでも、最初の成功事例が生まれた瞬間、確信に変わりました。「この仕組みは、本当に価値がある」と。最初の成果は、小さなECサイトでの離脱ユーザー再訪率が20%向上したという結果でした。この数字が、自分の信念を裏付け、さらなるチャレンジの原動力になったのです。
三方よしの理念をサービス設計に反映
——創業にあたっての信念や哲学はありますか?
私の信念は、「企業とユーザーの双方にとって価値のあるサービスを作る」ことです。単に売上を追うだけではなく、ユーザーの体験を尊重し、無理なく購入を後押しする。その結果、企業は成果を得られ、ユーザーも満足できる。この三方良しの理念が、ザオリクのすべてのサービス設計に反映されています。

