株式会社デイサービスセンターうららか 代表取締役 住所 和彦氏
兵庫県加古川市を拠点に、福祉事業と国際人材育成事業を展開する株式会社デイサービスセンターうららかと外事部株式会社。代表を務める住所和彦氏は、介護福祉士としての現場経験を基盤に「おもてなしの心」を福祉に取り入れ、利用者の尊厳を守るサービスを追求してきました。さらに深刻化する人材不足への解決策として、海外の看護大学生に挑戦の場を提供する事業にも取り組んでいます。本記事では、創業のきっかけや経営の原点、組織づくりのこだわり、そして未来への展望について伺いました。
福祉と国際人材育成、2つの事業を軸に展開
――現在取り組まれている事業内容について教えてください。
現在、私は2つの会社を経営しています。ひとつは株式会社デイサービスセンターうららかで、通所型介護を中心に「おもてなしの心」を大切にした総合福祉事業を行っています。もうひとつは外事部株式会社で、海外の看護大学生が日本でインターンとして学び挑戦できる仕組みをつくり、医療・介護分野の人材不足に貢献する国際人材育成事業を展開しています。
うららかの強みは、最新設備やIoT技術ではなく、スタッフ一人ひとりがお客様にどのように接するかを重視している点です。高齢者が尊厳を守り主体性を発揮できるよう、「接遇11カ条」という独自メソッドを開発し、書籍化もしました。まさに“人によるおもてなし”を徹底する会社だと考えています。
改革の志から生まれた創業
――経営者になられたきっかけを教えてください。
介護福祉士として働いていた頃、給与の低さや現場の流れ作業的な対応に疑問を抱いていました。お風呂介助がベルトコンベアのように扱われる光景に心を痛め、「もっと心を込めてお世話をするべきだ」と強く感じたのです。
業務改革を進めたいと手を挙げ、役職にも就きましたが、夜勤がなくなったことで給与が減少し、組織の中では理想を実現しにくいことも痛感しました。周囲から「独立した方がいいのでは」と背中を押されたこと、そして看護師である姉や家族の支えもあり、2010年にデイサービスセンターうららかを創業しました。
社員と共に成長する組織づくり
――組織運営や社員との関わりで意識していることはありますか。
現在、従業員は約70名、今期中には100名を超える見込みです。組織づくりの中心にあるのは「働き続けられる環境を整えること」です。
具体的には、女性特有の病気をサポートする体制や、家族の介護を理由に離職した社員が戻れる仕組みを設けています。また、福利厚生を通じて健康的な食事を支援するなど、従業員の暮らしそのものを支える制度を整備しています。私はこれを「インナーブランディング」と呼び、従業員一人ひとりが誇りを持って働ける会社づくりを進めています。
採用においても、ハローワークと連携して介護・看護職の魅力を伝えるセミナーを実施し、地域の若者や子育て世代が安心して働けるような機会を提供しています。こうした「当たり前を徹底する姿勢」が、結果として人材獲得や定着にもつながっていると考えています。
コロナ禍で見えた課題と未来への挑戦
――経営者として印象に残っている出来事を教えてください。
最も大きな転機はコロナ禍です。通所型サービスは「不要不急」と見なされ、利用が激減しました。風評被害も重なり、事業継続が危ぶまれる状況でした。その経験から「2度目のパンデミックは耐えられない」と痛感し、在宅型の訪問看護へ大きく舵を切りました。現在では訪問看護が事業の柱になっています。
さらに今後は、高齢者支援住宅や有料老人ホームの建設を進めたいと考えています。コロナ禍で分断された家族や地域のつながりを再び結び直し、利用者が最後まで「自分らしく」暮らせる環境をつくることが目標です。
経営を支えるリフレッシュと挑戦
――プライベートでの趣味やリフレッシュ方法を教えてください。
趣味はトライアスロンです。特に「アイアンマン」と呼ばれる過酷なレースにも挑戦しており、苦しい状況でも折れない心を養うことができます。経営においても大きな支えになっていますね。
また、家族と過ごす時間や、サウナで汗を流すことが日々のリフレッシュです。最近では食品会社と連携し、健康的な完全食の開発にも取り組んでおり、自ら実験台になりながら体づくりを楽しんでいます。
――最後に、今後取り組みたいことをお聞かせください。
兵庫県下で大規模な訪問看護ステーションを確立した今、次はより多くの仲間と協力しながら地域に根ざした高齢者支援住宅を広げていきたいと思います。海外にも「接遇11カ条」を伝え、日本発の介護の魅力を広めたいです。まだ道半ばですが、仲間を増やしながら「選ばれる介護」を形にしていく挑戦を続けていきます。

