教育は「世界を変える武器」――透明性と多様性で奨学金制度の変革に挑む

一般財団法人 大学生奨学財団(学奨財団) 理事長 村中敏彦氏

経済的な理由で学びをあきらめる学生を減らしたい――。
一般財団法人 大学生奨学財団(通称・学奨財団)は、返済不要の奨学金と社会との接点を提供することで、次世代を担う大学生を支援しています。立ち上げのきっかけは、理事長・村中敏彦氏自身の原体験と「奨学金制度の透明性を高めたい」という思いでした。本記事では、その理念や今後の展望について伺いました。

透明性と多様性を両立する奨学金財団へ

――まず、学奨財団の事業内容と特徴について教えてください。

当財団は、経済支援を必要とする大学生を対象に、奨学金の給付と学びの機会を提供しています。共感いただいたサポーター企業や寄付者の支援を受け、現在22名のメンバーで運営しています。最大手の奨学金紹介サイトには全国で1万6,000件ほどの奨学金が掲載されていますが、そのほとんどは「何人応募したか」、「採用された奨学生の男女別の内訳はどうか」といった基礎情報を公開していません。私は学生時代に奨学金をもらう立場であったからこそ、その不透明さに課題感を感じていました。

そこで学奨財団では、詳細な選考基準・応募数・応募倍率(競争率)、応募者や合格者の属性など、応募検討者にとって重要な情報をすべて公開しています。合格者の傾向も明確にすることで、学生が安心して応募できるようにしました。

もう一つ大切にしているのは多様性です。選考委員は10名、男女は5:5、文系・理系も半々です。他の財団のように、母体企業の幹部や大学教授などに偏らず、新卒採用面接を行うような、企業の経営管理職・専門職層が、小論文や面接の選考業務を担当しています。大学生の行動・意識と企業活動への理解度の高い者による、多様性に富んだ選考体制こそが、社会に巣立つ優秀な学生を選ぶ礎になると考えています。

原点は「支援される側」からの気づき

――村中さんが財団を設立された経緯を教えてください。

私自身、大学時代に奨学金の貸与・給付を受けていました。会社員を退職した際、40年以上経った今も、奨学金財団の仕組みが大して変わっていないことを調べ、新機軸の奨学金財団の創設を決意しました。会社員時代の最終盤、体調を崩し、58歳になる数日前に早期退職し、そこで得た退職金を「未来の世代のために使いたい」と2021年秋に思ったのです。

決意を後押ししたのが、2021年夏の東京オリンピックで金メダルを獲得したスケートボード選手・四十住さくらさんにまつわるエピソードでした。彼女に練習場を用意して金メダル獲得を後押しした地元企業の社長のように、「若者の可能性を信じて環境を整える大人でありたい」と思ったのです。さらに、創設前に出会った学生たちからも、低所得家庭でも難関大学に進学し、努力を重ねている実情を知り、支援の必要性を再確認しました。

仲間と共に運営し、信頼を築く組織体制

――財団の運営体制やメンバーとの関係性についてはいかがでしょうか。

財団は理事3名を中心に、評議員3名、監事1名、選考委員10名と、各種の顧問5名で構成しています。設立から4年目の若い組織ですが、「本音で議論しながら進める」文化を大切にしています。私は事務局も兼務し、選考委員や奨学生が円滑に活動できるようサポートしています。

また、法人リレーションやWebマーケティングを担当する顧問を任命し、サポーター企業の開拓や広報にも力を入れています。新規に奨学生を採用した直後の9月に交流会を開催し、3学年にまたがる奨学生が講演と質疑応答で学び、奨学生同士、そしてサポーター企業や財団メンバーと奨学生が対面で交流する場としています(集合写真で私は最前列の中央にいます)。全員が「奨学生の学びのために」という同じ目的を共有しているからこそ、金銭的報酬は無くても、信頼関係で組織と活動が成り立っています。

未来への挑戦――学生と社会をつなぐ循環を

――今後の展望を教えてください。

まず、奨学金の給付金額を段階的に引き上げ、学生が安心して学べる環境を充実させたいと考えています。サポーター企業は現在、上場8社を含む13社ですが、さらに増やす意気込みです。また、卒業生が社会人として後輩に講演を行うなど、「学びが循環する仕組み」をつくりたいと思っています。

透明性を保ちながら、奨学生・卒業生・企業が互いに学び合うコミュニティを育てていくこと。それが、社会全体の教育支援文化を成熟させる道だと信じています。将来的には、他の奨学金財団にも情報公開の文化が広がるよう、モデルケースとして捉えていただける存在を目指します。

映画と旅、そして“学び”がライフワーク

――お仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

学生時代から映画が好きで、今も時間を見つけて映画館に足を運びます。物語を通して人生を俯瞰できることが、仕事の発想転換にもつながっています。国内旅行も好きですが、今は財団の活動自体が生きがいでもあり、趣味のようなものですね。

「教育は、世界を変えるために使うことができる最強の武器である」。これは南アフリカの反アバルトヘイト指導者ネルソン・マンデラの言葉です。財団サイトに応援メッセージを寄せていただいた教育家の小林りん氏から教わりました。この言葉は、学奨財団の仕事に取り組む原動力となっています。学びを奨めることが、社会をより良くする一歩になる――その思いを胸に、これからも学生たちの学びを支えていきたいと思います。

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