合同会社スリーズララ 代表 豊福 ゆり香氏
藤沢市で女性専用・メンズ向けサロンを展開する「スリーズララ」は、地域に密着したトータルビューティーサロンとして成長を続けています。創業7年目を迎え、4店舗・スタッフ20名体制へと拡大。その背景には、「お客様にしっかり向き合いたい」という創業時の思いと、「スタッフが長く働ける環境をつくりたい」という豊福ゆり香代表の信念があります。本記事では、創業のきっかけから組織づくり、そして今後の展望について伺いました。
目次
女性と地域に寄り添うトータルビューティーサロン
――まず、現在の事業内容や特徴について教えてください。
藤沢市で3店舗を運営しており、そのうち2店舗は女性専用、1店舗はメンズ専門の眉毛サロンです。エステでは脱毛・フェイシャル・ボディケアを、アイ部門ではまつげパーマやエクステ、眉毛デザインを提供しています。メンズ店では全身脱毛のほか、珍しいメンズまつ毛パーマも人気です。
私はもともとエステティシャンで、双子の姉がアイリストでした。2人で「お客様にもっと向き合えるサロンをつくりたい」と思い、24歳のときに藤沢で開業しました。最初はカーテンで仕切った簡素な空間からのスタートでしたが、地域のお客様に支えられ、今では“家族で通えるサロン”として成長しています。
“諦めない”が原点――離職率100%からの再出発
――経営者として印象に残っている出来事はありますか。
2022年に離職率が100%になったことです。3店舗を展開していたのに、スタッフがほとんど辞めてしまい、私ひとりで店舗を回すような状況でした。あのときは本当に「もう無理かもしれない」と思いましたが、それでも「自分だけは諦めない」と心に決めて踏みとどまりました。
そこから1年間、組織づくりを学び直しました。その結果、離職率は16%まで下がり、今では「スタッフの働きやすさ」が会社の強みになっています。特に力を入れているのが、ママスタッフの雇用。業界では珍しく、土日休みや時短正社員制度を取り入れ、家庭と仕事を両立できる環境を整えました。
「お客様に喜ばれる前に、まずスタッフが笑顔で働けること」。この考え方に変わってから、会社も安定し始めたと感じています。
仲間と共に育つ組織――スタッフの未来を見据えた教育体制
――組織運営やスタッフ育成で意識されていることを教えてください。
採用は順調ですが、今の課題は「人を育てること」です。私は現場時代、リピート率を上げるのが得意で、お客様との信頼関係を築くことに喜びを感じていました。そのノウハウをスタッフに伝えるのは思った以上に難しく、いまは教育体制の強化に取り組んでいます。
また、離職をきっかけに「スタッフの未来」を考えるようになりました。美容業界は体力的な制約が多く、年齢を重ねると現場を離れざるを得ない人もいます。だからこそ、今後は講師やバックオフィスなど、次のキャリアステージを提供できる会社にしていきたいと思っています。
実際、地域の介護施設と連携して「介護美容」に取り組むスタッフもいます。高齢者に施術を通じて笑顔を届ける姿を見ていると、美容の力は年齢を超えて人を元気にできるのだと実感します。
4店舗を“広げる”から“育てる”へ――深化する経営への転換
――今後の展望や目標について教えてください。
3年後の10周年に向けて、次のステージを考えています。以前はフランチャイズ展開を目指していましたが、今は「拡大よりも深化」。4店舗をより良くし、スタッフが10年、15年と働ける職場にしたいと思っています。
売上も3年で倍を目標にしていますが、数字よりも“質”を重視したいです。お客様、スタッフ、地域――そのすべてがつながり合うことで、サロンが長く愛される存在になると信じています。
走り続ける力――マラソンで磨く“経営の持久力”
――プライベートでのリフレッシュや趣味について教えてください。
今年は「苦手なことに挑戦する」と決めて、フルマラソンに挑戦しています。10月の横浜マラソンに出場予定です。最初は運動が苦手だったのですが、走るうちに「経営とマラソンは似ている」と感じました。ゴールだけを見ず、途中に小さな目標を設定し、一歩ずつ前に進む。その積み重ねが結果につながるのだと思います。
登山にも挑戦予定で、9月には富士山に登ります。日々の経営とは違う挑戦を通して、精神的にもリセットできています。
――最後に、これから起業する方へメッセージをお願いします。
経営には必ず波があります。うまくいかない時もありますが、自分が諦めない限り会社は続けられます。逆に言えば、どんなに人がいても自分が諦めた瞬間に終わってしまう。だから私は「何があっても絶対に諦めない」と決めています。
そしてもう一つ大切にしているのが「先義後利」という言葉です。まずは人のために動くこと。与えれば、必ず返ってくる。そんな信念を胸に、これからも女性が輝き続けられる場所を育てていきたいと思います。

