株式会社ナラティビティ総研 代表取締役 志村 日出男 氏
人生や組織の歩みを「物語」として捉え直すことで、未来への選択を明確にする──ナラティブとクリエイティビティを掛け合わせた独自の経営支援を展開する株式会社ナラティビティ総研の志村氏は、自己理解を通じて企業や個人が変化し成長する過程を支援するサービスを提供しています。今回は企業理念、事業内容、そして経営者としての信念に迫ります。
目次
社員一人ひとりの変化や成長を支援
──現在の事業内容と特徴を教えていただけますか?
弊社は2024年3月に創業し、ウェブサービスとしてのパーソナルアセスメントを開発しています。企業向けモデルとコンシューマ向けモデルの両軸でテストマーケティングを行い、実業への展開を始めたところです。とくに、6問の簡易診断で過去から現在までの自己変化を可視化できる点が特徴です。
主に研修やキャリア開発、個人の強み・適性把握のために活用できます。これまでのパーソナリティアセスメントは多くの質問を必要としましたが、当社のアセスメントは短時間で実施でき、結果を可視化することで、社員一人ひとりの変化や成長を支援できます。
未来への歩みを選択できる力を
──会社の理念やビジョンについてお聞かせください。
当社名「ナラティビティ総研」は、ナラティブ(物語)とクリエイティビティを組み合わせた言葉です。自分自身の物語を語ることで経営や人生の意味を理解し、未来への歩みを自ら選択できる力を提供したいという想いを込めています。
今後のビジョンとしては、まず単年度黒字を実現し、累積損失を解消して事業基盤を整えることです。その上で、共感してくれる投資家やパートナーの協力を得て事業を拡大していきたいと考えています。
現在・過去・未来、人生は連続している
──経営者としてのこれまでの歩みで印象的な出来事は?
前職でパーソナリティアセスメント事業を提供していた経験がベースになっています。特に海外で事業展開を試みた際、「その仕事であなた自身はどう変わったのか」と問われたことが、自分の活動の意義を再確認するきっかけになりました。過去から現在、そして未来へと自分の人生が連続している実感をつかむことこそが幸福であり、経営者としても人や組織の変化に寄り添う価値を提供することにつながっています。
理念に共鳴し、価値を共有できる仲間とともに
──組織体制や社員との関係について教えてください。
現状は取締役4名のみで、従業員はおらず、有志のビジネスパートナーが重要な役割を担っています。チームの基盤は1対1の信頼関係で構築しており、理念への共感を最重要視しています。社員・パートナーに求める資質としては、技能や経験は個々で異なりますが、理念に共鳴し、価値を共有できることが最も重要です。
「科学と実践の橋渡し」を実現したい
──今後の展望は何かありますか?
アカデミックな裏付けのある信頼性の高い商品を作ることを第一にしつつ、企業営業やビジネスアライアンスを通じて市場を広げていきます。教育機関やコンサルティング会社との協力により、より多くの個人や企業に価値を提供していきたいと考えています。
また、今後は「科学と実践の橋渡し」という視点をより強化していきたいと思っています。心理学や行動経済学などの研究成果を、単なる知識として終わらせるのではなく、実際のビジネス現場で成果につなげる仕組みづくりを目指しています。これまで培ってきた理論的な知見を、誰もが使える形で社会に還元していくことが、私たちの使命でもあります。
仲間と未来を語り合う時間が一番楽しい
──趣味やリフレッシュ方法はありますか?
とくに特別な趣味ではなく、未来を考えながら仲間と語り合う時間が最も楽しく、リフレッシュになります。お酒を飲みながらの議論も、その一つです。
志村氏は人生の物語を紐解き、変化を可視化するアセスメントを通じて、個人や組織の成長を支援しています。理念への共感を重視したパートナーシップ、学術的裏付けを持つ商品開発、そして未来志向の経営姿勢──これらが同社の強みであり、今後の事業拡大を牽引する要素となるでしょう。

