健康マージャンを「居場所」にするために。30年の知恵を受け継ぎ、地域に広げていく挑戦
NPO法人健康マージャンを楽しむ会 代表 秋安哲成氏
NPO法人健康マージャンを楽しむ会は、賭けない形でマージャンを楽しむ「健康マージャン」を通じて、地域の居場所づくりに取り組む団体です。勝敗を競うだけではなく、会話を交えながら無理なく続けられる場であることを重視し、高齢者を中心に幅広い世代が集う環境を運営しています。健康マージャンの概念を作った先生のもとで長年学んだ経験を土台に、設立から間もない現在も、地域に根づく仕組みづくりを進めてきました。
今回は代表の秋安哲成さんに、団体の成り立ちや事業にかける思い、組織運営の考え方、そして今後の展望について話を伺いました。
目次
30年の知恵を土台に、楽しく打てる場をつくる
――現在の事業の特徴や強みを教えてください。
私たちは健康マージャン教室の運営を中心に活動しています。健康マージャンの概念を作られた先生のもとで長年学び、その考え方や運営のノウハウを引き継いでいる点が特徴です。団体としては立ち上げて2年ほどですが、それ以前に10数年にわたり業界に関わってきました。
健康マージャンは「賭けないマージャン」ですが、私たちが大切にしているのは勝つことよりも、楽しく打つことです。会話をしながらでも参加でき、競技のような緊張感を求めない方でも続けやすい場であることを重視しています。多くの人が求めているのは、真剣勝負ではなく、安心して集える空間だと感じています。
使命感が背中を押した、代表としての決断
――経営の道に進んだきっかけを教えてください。
私がマージャンを本格的に始めたのは29歳頃です。当時はクリエイターの仕事をしていて、仕事が落ち着いた時期に新しい趣味を探していました。学生時代に少し触れて面白かったマージャンを、きちんと学びたいと思い、偶然門をたたいたお店で先生と出会いました。
先生の活動を手伝う中で、賭けなくてもマージャンは十分に面白く、人と人をつなぐ力があると実感しました。業界全体を見ると、高齢化が進み、時代に合った形で広げていく動きが必要だと感じるようになりました。不安よりも使命感の方が大きく、先輩方と話し合いながら、NPO法人として立ち上げる決断に至りました。
また、コロナ禍で活動を止めざるを得なかった時期を経て、再開後に多くの方が戻ってきてくださった経験は印象に残っています。通ううちに表情が明るくなっていく姿を見て、地域の居場所としての価値を改めて実感しました。
楽しさが場をつくるという、組織づくりの軸
――組織運営やスタッフとの関係で大切にしていることを教えてください。
一番大切にしているのは、発言しやすい環境をつくることです。まずは話を聞くことを意識し、スタッフが楽しそうに関われているかを常に見ています。働く人が無理なく、前向きな気持ちで関われていれば、それがそのまま場の雰囲気になり、会員さんにとっても居心地のよい空間につながると考えています。
週に1回は勉強会を行い、仕事の進め方だけでなく、マージャンに対する考え方や知識も共有しています。技術やルールを伝える場というより、同じ方向を向いて運営するための確認の時間という位置づけです。情報を共有しながら、それぞれが自分なりに考えて動けるようにすることを意識しています。
また、関わってもらう方を選ぶ際には、楽しそうにマージャンを打てているかを重視しています。負けても気持ちを切り替えられるか、勝ったときに相手への配慮ができるかといった点は、会員様との関わり方に自然と表れます。そうした人柄が、この活動に向いているかどうかの判断材料になっています。
健康マージャンを次の世代へつなぐための挑戦
――今後取り組んでいきたいことや、課題について教えてください。
今後は、地域の理解を得ながら、健康マージャンができる場を増やしていきたいと考えています。まずは区や地域のイベントに参加し、活動そのものを知ってもらうところから取り組んでいます。いきなり規模を広げるのではなく、少しずつ関係性を築きながら、地域に受け入れてもらえる形をつくっていきたいと思っています。
一方で、大きな課題は人材です。需要は非常に高く、教室を開けばすぐに満員になる状況ですが、質を保ったまま広げていくには育成が欠かせません。経験の浅い人を急いで現場に出すのではなく、考え方や進行の仕方まで含めて丁寧に伝えていくことを重視しています。
また、制度上の理由から子どもが参加しにくい現状もあり、将来的にはその点とも向き合っていく必要があると感じています。無理に広げるのではなく、続けられる形で次の世代につないでいくことが大切だと考えています。
走り続ける日々の中で、気持ちを整える時間
――お休みの日は、どのようにリフレッシュされていますか。
正直なところ、休みは多くありません。それでも、クリエイター仲間や同僚と食事に行ったり、日曜日に家族と過ごしたりする時間が気持ちの切り替えになっています。そうした時間で気持ちを整え、また新しい一週間に向けて仕事に向き合っています。