AIではなく“人”が価値をつくる――ロープアクセスの可能性を広げる挑戦
リ・クリエイトファクトリー合同会社 代表社員 西川 潤氏
リ・クリエイトファクトリー合同会社は、ロープアクセス技術を活用し、外壁工事や防水工事、雨漏り修理、橋梁点検などを手掛ける企業です。ロープアクセスという専門技術を強みに、安全性と専門性を兼ね備えた施工を提供しています。近年は広島市に教育施設を開設し、業界の発展や人材育成にも力を注いでいます。今回は代表の西川潤氏に、事業への想いや経営理念、今後の展望について伺いました。
ロープアクセスの可能性を広げるために
――現在の事業内容について教えてください。
当社ではロープアクセスを活用した各種作業を行っています。ロープを使って建物の外壁や高所へアクセスし、塗装や防水工事、雨漏り修理、橋梁点検などを手掛けています。
大きな変化としては、1年前に広島市へロープアクセスの教育施設を開設しました。私自身、約10年前からロープアクセスに携わっており、IRATAという国際団体のレベル3資格を取得しています。この資格は指導者として活動できるレベルであり、施設ではロープアクセスの技術や安全管理を学べる環境づくりを進めています。
人口減少や資材価格の高騰が続く中で、ロープアクセスは非常にコストパフォーマンスの高い作業手法だと感じています。足場を組むほどではない工事や点検にも柔軟に対応できるため、お客様にとってもメリットが大きいと考えています。この技術を広めることで、業界全体や社会にも貢献していきたいと思っています。
――他社にはない強みはどのような点でしょうか。
大きな強みは、国際基準に基づいた安全性の高いロープアクセス技術です。私たちが採用しているシステムは世界的にも認められているもので、安全管理の面で高い評価を受けています。
また、単にロープで現場へ行けるだけではありません。実際に現場で作業を行うための資格取得にも力を入れています。一級建築塗装技能士や橋梁点検に関する資格など、専門的な知識や技術を証明できる資格を積極的に取得しています。
ロープアクセスと専門技能、その両方を備えていることが当社の特徴です。現場へ到達する技術だけでなく、その先で確かな仕事ができる体制を整えています。
「三方よし」を軸にした経営
――御社の理念やビジョンについて教えてください。
当社の根底にあるのは「三方よし」の考え方です。売り手、買い手、そして世の中のすべてが良くなることを目指す理念に強く共感し、企業理念の中心に据えています。
自分たちだけが利益を得るのではなく、お客様にも喜んでいただき、さらに社会にとっても価値のある仕事をする。その考え方が経営の土台になっています。
また、働く人が楽しく働ける会社でありたいとも考えています。いわゆるブラック企業とは反対の方向を目指し、スタッフ一人ひとりが前向きに働ける環境づくりを大切にしています。
――経営者になったきっかけを教えてください。
もともとは会社員として働いていましたが、退職後に何をしようか考えていた時期がありました。その頃、便利屋という仕事が注目され始めていて、自分でも挑戦できるのではないかと思い起業しました。
便利屋の仕事を通じて強く感じたのは、お客様から直接感謝される喜びです。会社員時代は与えられた業務をこなすことが中心でしたが、自分で考えたサービスがお客様の役に立ち、喜んでいただけることに大きなやりがいを感じました。
その後、以前から経験のあった建築塗装業も立ち上げ、現在の事業へとつながっています。
――経営判断の軸になっている価値観はありますか。
以前から「こだわらないことにこだわる」という考え方を大切にしています。
もちろん譲れない部分もありますが、時代や環境は常に変化しています。その変化に柔軟に対応するためには、一つの考え方に固執し過ぎないことが重要だと思っています。
また、何事もバランスが大切です。AかBかという二択ではなく、両方をどう活かすかを考えることが多いですね。メリハリを持ちながら柔軟に判断することが、自分なりの経営スタイルだと思います。
人柄と思いやりを重視した組織づくり
――社員とのコミュニケーションで意識していることはありますか。
長時間の話し合いよりも、短い時間でも頻繁にコミュニケーションを取ることを意識しています。
現場が分かれていることも多いため、直接会えない時はグループLINEなども活用しています。できるだけ連絡を絶やさず、お互いの状況を共有できる環境づくりを心掛けています。
営業活動や資料作成などで私自身が現場を離れることもありますが、距離があってもコミュニケーションは継続するようにしています。
――採用や育成で重視するポイントを教えてください。
技術よりも人柄を重視しています。
技術は経験を積めば身につきますが、人柄や性格は簡単には変わりません。そのため、一緒に働く上で最も大切なのは思いやりだと考えています。
自分のことだけではなく、周囲のことも考えて発言し、行動できる人に魅力を感じます。相手への配慮を持ちながらコミュニケーションを取れるかどうか。その姿勢は仕事の質にもつながると思っています。
ロープアクセスを憧れの職業へ
――今後の展望について教えてください。
まずはロープアクセスを中四国エリアでさらに広めていきたいと考えています。
海外では、足場や高所作業車と並ぶ施工手法としてロープアクセスが広く認知されています。しかし日本では、まだ危険な作業というイメージや、特殊な仕事という印象を持たれることも少なくありません。
だからこそ、ロープアクセスの安全性や有効性を正しく伝えていきたいと思っています。そして若い世代が「ロープアクセスの仕事をしてみたい」と思えるような職業にしていきたいですね。
全国にはロープワーカー同士のコミュニティもでき始めています。そうした業界全体の発展にも、少しでも貢献できればうれしいです。
――経営で譲れないことは何でしょうか。
「犠牲を生まないこと」です。
自分だけが我慢する、スタッフだけが負担を背負う、お客様だけが損をする。そのような関係は長続きしないと思っています。
だからこそ「三方よし」の考え方を大切にし、誰かの犠牲の上に成り立つ経営はしない。それが私にとって譲れない信念です。
焚き火を眺めながら心を整える
――休日のリフレッシュ方法を教えてください。
最近はキャンプに興味を持っています。先日初めてソロキャンプを体験したのですが、とても心地良い時間でした。
焚き火を眺めながら過ごし、携帯電話も見ない。いわゆるデジタルデトックスですね。火はきちんと世話をしなければ消えてしまうので、自然と向き合う時間にもなります。
普段はなかなか休みを取れないこともありますが、自然の中でゆっくり過ごすことで気持ちが整理され、良いリフレッシュになっています。今後は趣味として続けていきたいと思っています。