電気自動車の未来を切り拓く――独自技術で世界80億人の移動を支える挑戦
株式会社e-Gle 代表取締役 清水 浩氏
45年以上にわたり電気自動車の研究・開発に携わり、大学教授や研究者としても活躍してきた清水浩氏。これまでに15台もの電気自動車を開発し、その中でも「エリーカ」は大きな注目を集めました。現在は株式会社e-Gleの代表として、独自の電気自動車技術の実用化と普及に取り組んでいます。本記事では、事業の特徴やビジョン、経営者としての考え方、今後の展望について伺いました。
目次
独自の「インホイール・プラットフォーム」で電気自動車の常識を変える
――現在取り組まれている事業の特徴や、他社にはない強みを教えてください。
私はこれまで45年間、電気自動車の開発に携わってきました。現在取り組んでいる最大の特徴は、インホイールモータを中心としたEVプラットフォームです。
一般的な電気自動車は、テスラや中国メーカーの車両も含めて、基本的には従来の内燃機関自動車の構造をベースにしています。しかし私は、電気自動車はまったく異なる構造であるべきだと考えています。
当社の技術は、車輪の中にモーターを搭載するインホイールモーターと、車体を支えるフレーム構造と電池容器を一体化したプラットフォームを採用していることが特徴です。この構造によって、同じサイズの車両でも航続距離を伸ばしながら室内空間を広く確保でき、さらに各車輪を独立して制御することも可能になります。
上部の車体設計を変えることで、さまざまな種類の車両へ応用できる点も大きな強みです。電気自動車だからこそ実現できる新しい構造を追求し続けています。
世界中の人が車を持てる未来を実現したい
――御社の理念やビジョンに込められている想いを教えてください。
私の目標は、電気自動車を世界中に普及させることです。
現在、世界人口は約80億人ですが、スマートフォンはそれに近い台数が普及しています。一方で、世界中に存在する自動車は約16億台程度です。私は将来的に車も80億台規模まで普及する可能性があると考えています。
そのためには、誰もが手に入れやすく、維持しやすい乗り物でなければなりません。電気自動車は電気代が比較的少なく、構造がシンプルで故障も少ないという特徴があります。タイヤ交換などを除けば、長期間にわたって使い続けることができます。
また、同じ車体サイズでも室内空間を広くできるため、利便性も高まります。人にとって使いやすく、効率的で、作りやすい技術が最終的には社会に広く普及していくものです。
私は、電気自動車が将来的に現在のスマートフォンのような存在になる可能性を持っていると考えています。そして、その未来を少しでも早く実現したいと思っています。
研究者から経営者へ――好きなことを追求するための選択
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
慶應義塾大学を定年退職したことがきっかけです。
退職後は別の大学で教員を続けるという選択肢もありましたが、それでは自分のやりたいことを十分に実現できないと感じました。そこで、自分自身で会社を経営しながら開発を続ける道を選びました。
実は大学在籍中にも会社経営を経験していましたので、経営そのものが初めてだったわけではありません。決して得意だったとは言えませんが、研究開発を進めるためには経営も必要な役割だったと考えています。
好きなことを追求し、自分の信じる技術を実現するために経営者という立場を選びました。
好きなことで社会に役立つことが仕事になる
――採用や育成において、一緒に働きたいと感じる人物像を教えてください。
私は、電気自動車が好きな人であれば誰でも歓迎したいと思っています。
人生における幸せとは、自分の好きなことを仕事にし、その仕事が社会の役に立つことだと思っています。好きなことであれば自然と熱意も生まれますし、社会貢献につながることでさらにやりがいも大きくなります。
電気自動車は、エネルギー問題や環境問題の解決につながる可能性を持っています。そして将来的には、世界中の人々がより自由に移動できる社会の実現にも貢献できるかもしれません。
そうした未来に共感し、一緒に挑戦したいと思う人と働きたいですね。
――社内のコミュニケーションで大切にしていることはありますか。
現在の組織は少人数で運営しているため、コミュニケーションに大きな課題はありません。
以前、7〜8名規模だった頃には週に1回のミーティングを必ず実施していました。現在も長く一緒に活動しているメンバーがおり、2010年頃から関わり続けている仲間もいます。
また、私が学長を務める大学では電気自動車や自動運転を専門的に学ぶ環境づくりにも取り組んでいます。人材育成と技術発展の両面から、この分野を支えていきたいと考えています。
世界普及に向けた次の挑戦
――今後取り組みたい挑戦や展望を教えてください。
まずは新しい電気自動車を開発したいと考えています。そのためには開発資金の調達が大きな課題です。
現在は投資家や企業との面談を重ねながら、開発への理解と支援を広げるための活動を続けています。世界中に電気自動車を普及させるという目標を実現するには、今よりもはるかに大きな組織が必要になりますし、多くの若い世代にも参加してもらう必要があります。
私にとって電気自動車の普及はライフワークです。時間はかかるかもしれませんが、実現に向けて挑戦を続けていきます。
やりたいこと、やるべきこと、やっていることを一致させる
――休日のリフレッシュ方法を教えてください。
特別なリフレッシュ方法はありません。普段から電気自動車のことを考えていますし、それ自体が楽しいからです。
私は、「やりたいこと」「やるべきこと」「やっていること」を一致させることが人生の幸せだと思っています。
やりたいことは自分の好きなこと。やるべきことは社会に必要とされること。そして実際にやっていることが、その両方と一致している状態が理想です。
今の私は、その状態を実現できていると感じています。だからこそ、仕事そのものが充実感につながり、日々前向きに取り組めているのだと思います。