自然エネルギーで空調のあり方を変える――アクアグリーン・エターナルが描く「森と共に暮らす」未来

株式会社アクアグリーン・エターナル 代表取締役 木村 英太郎氏

株式会社アクアグリーン・エターナルは、自然エネルギーを活用した空調技術の開発を中心に事業を展開しています。地下水や小型チラーを活用し、工場や倉庫、畜産分野など、従来のエアコンでは対応が難しい環境に向けた空調ソリューションを追求してきました。現在は、家庭やオフィスにも展開可能な「森の空調」の開発にも力を入れています。本記事では、代表取締役の木村英太郎氏に、事業の特徴や経営に至る歩み、今後の展望について伺いました。

自然エネルギーを活用した空調技術

――現在の事業内容について教えてください。

現在の中心は、自然エネルギーを利用した空調です。主に地下水を使う仕組みで、地下水がない場所でも小型のチラーを活用することで、エアコンと同じような出力を出せるようにしています。

地下水がある場合はエネルギーコストを約10分の1に、地下水がなくても小型チラーを使えば約5分の1程度に抑えられる可能性があります。今は工場や倉庫など、大きな施設での引き合いが多く、大手企業や上場企業が代理店として関わってくれるケースも出てきました。

当社は開発会社として、販売をすべて自社で担うのではなく、技術を必要としている企業や、一緒に事業化してくれるパートナーに供給していく形を考えています。すでに資本譲渡した運営会社もあり、私はその会社の顧問的な立場で関わりながら、新しい開発を進めています。

――特に反響が大きい分野はどこでしょうか。

最近は畜産分野からの相談が非常に多くなっています。特に養豚の現場では暑さの影響が大きく、通常のエアコンやスポットクーラーでは対応が難しい環境があります。熱中症の問題もあり、現場では本当に困っている状況です。

豚は25度を超えると弱りやすいと聞いています。夏場の繁殖や出荷にも影響が出て、半年分の生産に響くようなケースもある。そうした現場に対して、当社の空調技術が役に立てる可能性を感じています。

開発会社として技術を育て、渡していく

――収益モデルはどのような形なのでしょうか。

ここ数年で大きかったのは、技術や会社の資本譲渡です。以前、運営会社を2億円で資本譲渡しました。そのほかにも技術費として数千万円をいただく形があり、現在の収益の多くは企画料、設計費、技術費のようなものです。

標準品をつくって卸すこともありますが、当社の本質は開発にあります。海外で製造しているものも、設計は当社で行っています。商品を磨きながら、新しい用途や分野に技術を広げていく。その流れの中で、必要なパートナーに技術やブランド、ノウハウを渡していくことも考えています。

――開発で特に力を入れているものはありますか。

今後の中心として考えているのが、「森の空調」です。家庭やオフィスにも入れられる、新しい空調の考え方です。部屋の中に森をつくるイメージで、自然の力を使って空調を整えていきます。

すでに私の自宅でも実証していて、データも取れています。最初は寝室用として考えていますが、将来的には家庭だけでなく、老人ホームやオフィスなどにも広げられるのではないかと感じています。

一般的な家電は年数が経つほど性能が落ちていきます。しかし、森は育ちます。木や植物が育つことで、1年後、5年後、10年後に能力が高まっていく可能性がある。そこに大きな魅力を感じています。

経営者として歩み続ける理由

――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。

もともとは大手メーカーで仕事をしていました。その後独立し、さまざまな企業で新規事業の立ち上げや育成に携わってきました。事業部長や顧問という立場で、新しい事業を育てる仕事を数多く経験しています。

その中で、地下水を活用した水処理技術に携わり、事業として大きく成長させることができました。その経験が、「地下水熱を空調に活用する」という現在の技術につながっています。

独立当初は資金も十分ではありませんでした。それでも水処理やリサイクル、環境負荷の軽減につながる技術など、時代が必要とするテーマに向き合い、一つひとつ事業を育ててきました。

世界へ広がる技術を目指して

――今後の展望について教えてください。

これからは、開発した技術を世界へ広げていきたいと考えています。

産業向けの空調技術はすでに実績があり、政府の認定を受けた事業や、大手企業との取り組みも進んでいます。一方で、これから本格的に取り組みたいのが「森の空調」です。

家庭の寝室をはじめ、オフィスや福祉施設などにも展開できる可能性があります。ただ商品を販売するのではなく、この技術やノウハウを活用し、一緒に普及してくれる企業やパートナーと取り組みたいと思っています。

本当に価値を理解してくれる人や会社と出会い、一緒に事業を育てていきたい。それが今の大きな目標です。

導かれた道を信じ、価値ある技術を届けたい

――会社を通して、社会にどのような価値を提供したいと考えていますか。

社会を変えようという大きなことを考えているわけではありません。

私はこれまで、水処理から始まり、地下水、そして空調へと自然な流れの中で技術を積み重ねてきました。その中で生まれたものを発表し、必要とする人に届けていく。それを続ければ、結果として社会の役に立つのではないかと思っています。

「森の空調」は、空気を整えるだけではありません。自然が身近にあり、水が流れ、森が育っていく空間そのものをつくる発想です。一人ひとりが自分だけの森を持ち、その空間で心地よく暮らせるようになれば、新しい価値になると思っています。

人との信頼を何よりも大切にする

――経営者として譲れないポリシーを教えてください。

一番大切にしているのは、一緒に取り組む人との信頼関係です。

これまで多くの人と仕事をしてきましたが、思うようにいかない経験もありました。だからこそ、お互いを尊重し、同じ方向を向いて進める人と仕事をしたいと思っています。

事業を大きくすることだけが目的ではありません。心から納得できる形で、価値ある技術を世の中へ届けたい。そのためには、一緒に歩んでくれる人を大切にすることが欠かせません。

これまで積み重ねてきた技術や経験を、必要としてくれる人に渡し、その人たちが事業として育てていく。そんな循環をこれからもつくっていきたいと考えています。

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