地域に寄り添い、困りごとを解決する。「便利屋」の枠を超えた挑戦と想像力

株式会社オフィスSAKO 代表取締役 迫 孝典氏

困ったときに頼れる存在として、地域に根差したサービスを展開する株式会社オフィスSAKO。法人向けには運送関連のサポート、個人向けには草刈りや遺品整理、片付けなど幅広い依頼に対応し、「便利屋」の枠にとどまらない柔軟なサービスを提供しています。その根底にあるのは、お客様の言葉の奥にある本当のニーズをくみ取り、最適な方法を提案する姿勢です。今回は代表の迫孝典氏に、事業への思いや創業の経緯、今後の展望について伺いました。

地域の「困った」に応える柔軟な対応力

――現在取り組まれている事業の特徴や強みを教えてください。

当社は法人のお客様が約3割、個人のお客様が約7割を占めています。法人向けでは運送会社からの依頼が多く、急ぎの配送や通常とは異なる特殊な配送など、いわば「運送の便利屋」のような役割を担っています。

例えば、指定された時間までに荷物を届けるチャーター便や、新幹線を利用して荷物を手渡しで運ぶ「ハンドキャリー 」といった仕事もあります。時間との勝負になる案件が多く、その場の状況に応じて柔軟に対応できることが強みです。

個人のお客様からは草刈りや剪定、片付け、遺品整理などさまざまなご相談をいただきます。ただ依頼された内容をそのまま行うのではなく、お客様が本当に求めていることは何かを会話の中から具体化し、最適な方法をご提案しています。

便利屋の仕事で最も大切なのは、お客様との会話から状況を想像する力です。そして、その課題をどう解決するかという企画力やアイデアが必要になります。方法が決まれば、あとは最後までやり切ること。その3つを常にスタッフにも伝えています。

自分らしい人生を求めて始めた便利屋という仕事

――便利屋を始められたきっかけを教えてください。

もともとは音響が好きで、学生時代は放送部に所属し、文化祭などの企画や番組制作に携わっていました。自分で企画し、何もないところから形をつくり上げることがとても楽しく、「こういう仕事でなければ自己実現はできない」と感じていました。

卒業後は東京でラジオ番組の制作会社に入り、企画や制作に携わりました。その後、父の体調をきっかけに北九州へ戻り、会社勤めを続けましたが、自分の生き方とは違うと感じて退職します。

その後、友人の会社を手伝いながら生活していましたが、結婚し、子どもも生まれ、「自分で仕事をつくらなければ」と考えました。そこで始めたのが便利屋です。

最初は「15分250円、1時間1,000円で何でもします」という手書きのチラシを作り、配布したところ、多くのお問い合わせをいただきました。経験のない仕事も多く、草刈り一つでも道具の使い方から学ぶ毎日でしたが、「できなければ勉強させてもらえばいい」という気持ちで、一つひとつの依頼に向き合ってきました。

現在では、草刈りや剪定、遺品整理、片付けなどを中心にサービスを展開していますが、どの仕事も創業当時と変わらず、お客様に寄り添う姿勢を大切にしています。

現場で育ち、現場で学ぶ組織づくり

――スタッフの皆さんとのコミュニケーションで大切にしていることはありますか。

現在は登録スタッフが約20名います。それぞれ得意分野が異なるため、仕事内容に合わせて現場をお願いしています。

朝のミーティングでは、その日の工程や目標をしっかり共有します。ただ、仕事のやり方を最初から細かく教え込むことはしていません。実際に現場で困ったり、分からないことが出てきたりしたときに質問し、自分で覚えたことの方が身につくからです。

もちろん危険な作業や間違ったやり方は、その場で指導します。しかし、それ以外は実践の中で成長してもらうことを大切にしています。

休憩時間などには、お客様との接し方についてもよく話します。ただ頼まれたことをこなすだけではなく、「お客様は本当は何を望んでいるのか」「もっと喜んでもらうにはどうすればいいか」を考えることが、この仕事の面白さです。その積み重ねが仕事の達成感につながると考えています。

「思い出の便利屋」という新たな挑戦へ

――今後取り組んでいきたいことを教えてください。

将来的には「思い出の便利屋」をやってみたいと考えています。

私自身、若い頃に東京で暮らしていた経験があります。年月が経つにつれて、当時住んでいた場所や地元の景色、人との思い出が懐かしくなるものです。しかし、年齢を重ねると簡単には帰れなくなり、実家もなくなっていたり、親しい人がいなくなっていたりすることもあります。

そんな方の代わりに、「昔住んでいた家の近くを写真に撮ってきてほしい」「実家の跡が今どうなっているのか見てきてほしい」「思い出の場所を訪ねてほしい」といった依頼に応える便利屋をやってみたいと思っています。

今は現場仕事が中心ですが、年齢を重ねるにつれて体力の変化も感じています。今後はスタッフへ仕事やお客様との関係を引き継ぎながら、自分だからこそできる新しいサービスにも挑戦していきたいですね。

――最後に、休日のリフレッシュ方法を教えてください。

時間ができると、一人でふらっと旅に出ます。温泉地へ出掛けたり、ビジネスホテルに泊まったりして、その土地で食事を楽しむことが多いです。

地元にいると、どうしても仕事の電話がかかってきますし、「今から対応できますか」と依頼が入ることも少なくありません。だからこそ、あえて県外へ出て仕事から物理的に距離を置きます。

現場のことが気になって眠れない日もあります。それでも、離れた場所にいることで気持ちを切り替えられますし、また新しい気持ちで仕事に向き合えるようになります。

これからも地域の皆さんの困りごとに寄り添いながら、一人ひとりにとって本当に必要なサービスを考え続けていきたいと思っています。

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