戦略から実行まで。ECの現場経験を力に、企業と地域の可能性を広げる

manyC株式会社 代表取締役 陣内 友哉氏

manyC株式会社は、ECコンサルティング、運用・運営代行、集客支援、撮影など、ECとデジタルマーケティングを幅広く支援しています。代表の陣内氏は、事業会社で顧客対応や物流、バイイング、EC運営、事業責任者まで経験してきました。支援会社としての視点だけではなく、売上責任や社内調整、限られた人員と予算を抱える事業者の立場から課題を捉え、戦略を実行可能な形に変える「事業者視点のEC伴走支援」を追求しています。今回の取材では、事業への思いや経営に至った背景、組織づくり、今後の展望を伺いました。

提案で終わらせない。事業者視点で実行まで伴走する

――現在の事業内容について教えてください。

EC支援企業として、ECコンサルティングと、実務を含む運用・運営代行を行っています。戦略を考えるだけではなく、必要に応じてクライアント企業の現場に入り、手を動かすところまでが対応範囲です。

集客支援やECの成長支援に加え、LPやInstagramで使用する写真、ブランドイメージを伝えるヒーローカットなどの撮影も行っています。個別の施策ありきではなく、クライアント企業の課題を起点に、戦略設計から実行、改善までを一貫して支援しています。

――manyC株式会社ならではの強みは何でしょうか。

私自身が、長くECの事業会社で働いてきたことです。ファーストキャリアでは、お客様からの電話対応や物流現場での出荷も経験しました。

その後は株式会社ジャストシステムで約6年間ECに携わり、直近では株式会社キタムラでECサイトの責任者を務めました。顧客対応や物流といった現場から、バイイング、EC運営、売上管理、組織運営まで一通り経験してきたことが強みです。支援会社として外から施策を提案するだけではなく、売上や利益に責任を持ち、限られた人員や予算のなかで事業を動かしてきました。その経験をもとに、実際に社内で進められるか、継続できるか、事業成果につながるかまで考える「事業者視点」を大切にしています。

――理念やビジョンには、どのような思いを込めていますか。

「提案だけの支援ではなく、勝つための実行力を」という考えを掲げ、戦略から実行まで担うことを大切にしています。事業会社にいた頃、支援企業から正しい提案を受けても、「言っていることはわかるけれど、現場では実行できない」と感じることがありました。

事業は、施策の合理性だけで動くものではありません。社内の役割分担や既存業務、優先順位、意思決定の流れまで踏まえなければ、正しい提案であっても実行されないことがあります。実際に現場を経験していなければわからない部分も少なくありません。

だからこそ、特に人材やノウハウが不足しやすい中小企業に対して、継続的に活用できる形で、本当に必要な実行力を届けたいと考えました。

地方の商品との出会いが、起業への道をつくった

――経営者になったきっかけを教えてください。

もともと、いつか起業しようと考えていたわけではありません。私は岡山県出身で、いつか地元に貢献したいという思いがありました。そのようななかで、会社員のままでは実現が難しいかもしれないと考えたことが、きっかけの1つになったといえます。

また、株式会社ジャストシステムでは、地方に眠っている国産の商品を仕入れて直営ECのお客様に向けて販売する、バイヤーをしていました。そのなかで地方企業の経営者と話す機会が多くあり、皆さんはものづくりへの思いは強い一方で、販路がないという課題を抱えていたことがわかったのです。地域には、まだ世に十分届いていない良い商品がたくさんあります。私にできることを考えた結果、ECとデジタルマーケティングの経験を活かし、支援事業を立ち上げました。

――仕事をする上で大切にしていることは何ですか。

背景と目的をきちんと伝えることです。クライアント企業は、自社だけでは整理や解決が難しい課題があるからこそ相談してくださいます。一方、実務を担当する現場の方からは、経営層が見ている上流の意図が見えにくいことも珍しくありません。

そのため、「なぜこの施策をするのか」「何を目的に取り組むのか」を構造化し、背景から説明することを意識しています。

社名のmanyCには、「たくさんのC」という意味を込めています。なかでも大切にしているのが「Client & Customer Centric(クライアント&カスタマーセントリック)」です。クライアント企業の要望に応えるだけではなく、その施策が最終的にお客様にとって価値があるかまで考えるという意味です。迷ったときには、この考えに立ち返っています。

経営と現場をつなぎ、同じ方向へ進む組織に

――現在は、どのような体制で事業を運営していますか。

現在は、案件ごとに必要な専門家とチームをつくる、ネットワーク型の体制で運営しています。業務委託メンバーやフリーランス、アルバイト、提携法人を含め、事業に関わるメンバーは約10人です。撮影、動画編集、デザインなどの専門領域は、それぞれのメンバーと連携して進めています。案件の増加に対応するため、今後は中核人材の採用と組織体制の整備を進めていきます。

――一緒に働く方とのコミュニケーションで意識していることはありますか。

依頼をくださるのは経営層の方が多いのですが、実際に仕事を進めるのは現場の方です。経営層が描く事業の成長やブランド認知の向上といった目標を現場と共有し、両者をつなぐことを大切にしています。

考えているのは、成果を出すだけではなく、現場の方にも仕事を楽しんでもらい、その取り組みが社内で評価される状態をつくることです。会社員時代に部下と仕事をしていたときの考え方を、現在の支援にも反映しています。

支援と自社事業の二軸で、地方に新しい選択肢をつくる

――今後、どのような企業を支援していきたいですか。

地方企業や中小企業、スタートアップの支援を軸にしていきたいです。地方には良い商品があっても、世に届いていないケースがあります。そうした商品をECやデジタルの力で広げていきたいと考えています。

同時に、地方における雇用の課題にも向き合いたいです。ECやデジタル領域の経験を持つ方が地元に戻りたいと思っても、その経験を十分に活かせる企業や仕事はまだ多くありません。場所を問わず取り組める仕事だからこそ、地方に戻っても、これまでの経験を活かして働ける場をつくりたいと思っています。

――自社事業については、どのように考えていますか。

将来的には、支援事業に加えて、自社で商品を企画・販売するEC事業を立ち上げたいと考えています。過去の所属企業や経験だけを強みにし続けるのではなく、自ら事業運営の責任を負い、そこで得た知見や実績を支援事業にも還元できる企業でありたいと思っています。具体的な商材や展開方法は検討中ですが、支援事業と自社EC事業の二軸を育て、将来的には地方での雇用創出にもつなげていくことが目標です。

家族との時間が、次の仕事への力になる

――忙しい日々のなかで、どのようにリフレッシュしていますか。

家族と過ごす時間が、何よりのリフレッシュです。妻と2匹の犬がいるので、みんなで出かけたり、ドッグカフェやドッグランに行ったりします。妻とおいしいものを食べに行くことも多いです。また、地元に帰って友人と過ごす時間も大切にしています。こうした時間のなかで感じるのは、家族や友人、仕事で関わる方々から力をもらっているということです。この時間があるからこそ、また仕事をがんばろうと思えます。

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