修繕のその先へ――AK建築設計が描く、マンション再生の新たな可能性
株式会社AK建築設計 代表取締役社長 山本 侑介氏
分譲マンションの大規模修繕コンサルティングとマンション再生コンサルティングを二本柱として展開する株式会社AK建築設計。業界でも数少ない両分野を手掛ける企業として、建物の長寿命化と将来を見据えた提案を行っています。本記事では、代表取締役社長の山本侑介氏に、事業の特徴や経営に対する考え方、組織づくり、そして今後の展望について伺いました。
マンションの未来を支える「修繕」と「再生」
――現在の事業内容について教えてください。
分譲マンションの大規模修繕コンサルティングを主な事業としています。当社は工事を請け負うのではなく、管理組合や理事会が適切な工事を選べるよう支援する立場です。建物の調査や修繕計画の立案、施工会社の選定、工事監理まで一貫して携わっています。
また、工事会社と管理組合では知識や情報に差があるため、両者の間に立ち、公正な立場でサポートすることも大切な役割です。
もう1つの柱がマンション再生コンサルティングです。建物は修繕を繰り返しながら維持していきますが、築年数が経つと、それだけでは対応が難しくなることもあります。そうした場合には、建て替えや敷地売却といった選択肢も含め、管理組合の皆さまと将来の方向性を考えながら、合意形成を支援しています。
――他社にはない強みはどのような点にありますか。
関西でも、修繕だけでなくマンション再生コンサルティングまで手掛けている会社は、ほとんどありません。再生事業は長い期間を要するうえ、区分所有者の合意形成も欠かせないため、参入している企業は多くないのが現状です。
そうしたなかで、修繕だけでなく再生まで一貫して対応できることが、当社の強みです。マンションごとの状況に合わせ、その先を見据えた提案ができるよう心がけています。
社員から代表へ――受け継いだ想いと挑戦
――代表取締役に就任された経緯を教えてください。
私は創業者ではなく、社員として入社しました。当時は6名ほどの会社で、修繕事業に携わるなかで、再生事業にも取り組んでいきたいという思いを持つようになりました。
その後、社員数の増加や事業の広がりなど、会社が成長していくなかで、前代表から「会社を引き継いでほしい」と話をいただき、代表に就任しました。現在は社員数も25名となり、東京支店も開設するなど組織も大きくなりました。これからも新しいことに挑戦しながら、会社をさらに成長させていきたいです。
――経営で大切にしている考え方を教えてください。
大切にしているのは、固定観念に縛られず、変化し続けることです。業界や社会は常に変化しているので、それに対応できなければ成長は難しいと思っています。そのため、新しい事業や取り組みも、最初からすべてを整えるのではなく、まずは動きながら考え、必要に応じて形にしていくことを意識しています。
わたしの座右の銘として掲げているのが「人財になる」という考え方です。仕事を通じて誰かにとって必要な存在となり、「この会社に入ってよかった」「この人と出会えてよかった」と思ってもらえるような人が、一人でも多く増えてほしい。それが会社の成長にもつながると思います。
人が育ち、組織が育つ環境を目指して
――組織づくりで意識していることは何でしょうか。
社員数が増えるにつれて、人間関係やコミュニケーションの難しさを感じるようになりました。だからこそ、相談しやすく、お互いにフォローし合える環境をつくることを大切にしています。
これまでにも、少人数での食事会を会社が支援する制度や社員旅行など、さまざまな取り組みを続けてきました。ただ、思うような結果につながらないこともあります。それでも、仕事を離れて同じ時間を過ごすと、普段は聞けない話ができたり、新しい一面が見えたりすることも少なくありません。
コミュニケーションの大切さを改めて感じる一方で、それを日々の仕事のなかでどう生かしていくかは、今も試行錯誤しているところです。
――採用や人材育成ではどのようなことを重視していますか。
正直なところ、採用の場だけで「この人だ」と判断するのは難しいものです。私が本当に大切だと思っているのは、入社してからどのような姿勢で仕事に向き合うかという点です。
特に印象に残るのは、通常業務だけでなく、新しい事業や会社の取り組みにも前向きに関わってくれる社員です。会社が成長していく過程では、本来の業務以外にも取り組まなければならないことが数多くあります。自ら時間をつくり、工夫しながら力を貸してくれる姿は、本当にありがたいですね。そうした仲間と一緒に、新しい挑戦を重ねながら会社を成長させていきたいです。
AI時代だからこそ、人にしかできない価値を磨く
――今後の展望について教えてください。
今後は、大規模修繕コンサルティングとマンション再生コンサルティングの両事業をさらに確立し、「マンションのことならAK建築設計に相談したい」と思っていただける存在を目指しています。特に再生事業は、まだ取り組みを始めて間もない分野です。実績を一つひとつ積み重ねながら、その分野でしっかりと信頼を築いていきたいですね。
3年後には売上10億円を目標に掲げていますが、単純に社員数や案件数を増やせばいいとは考えていません。既存業務の効率化を進めながら生産性を高め、一人ひとりがより力を発揮できる会社にしていきたいです。
――現在取り組んでいる課題は何でしょうか。
AIの進化によって、建築や修繕に関する知識は誰でも簡単に得られる時代になりました。だからこそ、知識を伝えるだけではコンサルティングの価値は生まれません。それぞれのマンションに合った提案や合意形成など、人にしかできない力を磨いていく必要があると思っています。
また、再生事業は、老朽化したマンションを次の世代へつないでいくために欠かせない取り組みです。当社が事業としてしっかり形にしていければ、同じ分野に挑戦する企業も増え、全国にある老朽化マンションの再生につながっていくはずです。そのためにも、まずは一つひとつ実績を積み重ねていきたいです。
家族との時間が、次への活力に
――休日の過ごし方やリフレッシュ方法を教えてください。
正直なところ、休日もあまり休めていないんです。それでも子どもと出かけたり、一緒にゲームをしたりする時間は、気持ちを切り替える大切なひとときになっています。
週に1回は筋力トレーニングを続けていて、体を動かすことも習慣です。本当はもっとスキューバダイビングにも行きたいですね。沖縄で潜ることがあるのですが、普段は見ることのできない景色に出会えるのが魅力です。今はなかなか時間をつくれませんが、これからは少しでもそうした時間を増やしていきたいと思っています。