外車整備の高収益モデルを業界へ――「最小限の行動で最大限の利益化」を貫く挑戦

デポスト株式会社 代表取締役 小寺 治樹氏

外車専門の民間整備工場として、車検、整備、板金などの総合窓口を担うデポスト。幅広い輸入車に対応する技術力と、安売りに頼らない事業運営を強みに、月間約400件の問い合わせを獲得し、月約150台を受け入れています。さらに、自社で培ったウェブ集客と収益改善の仕組みを同業者へ提供。民間工場として日本一を目指しています。

安売りをせず、技術と顧客満足で選ばれる工場へ

——現在の事業内容と特徴を教えてください。

外車専門の整備工場として、車検、整備、板金などの総合窓口を担っています。以前は国産車やトラックも扱っていましたが、現在は外車に特化しています。外車は国産車に比べて利益率が高く、車種によってはさらに高い収益性が見込めるのです。

入庫する車はメルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェなどのドイツ車が中心です。中古で外車を購入した方や、ディーラーの整備費用に負担を感じている方からもご相談をいただいています。必要な整備にきちんと費用をかけ、安心して乗り続けたいお客さまを大切にしています。

——他社にはない強みはどこにありますか。

一つは、安売りをしていないことです。無料見積もりを前提に価格だけで選ばれるのではなく、技術と対応の質で選んでいただくことを重視しています。

民間工場には、さまざまなメーカーや車種が入庫します。幅広い車に触れられるため、多様な経験を持つメカニックが育ちやすい環境です。現在は20代から70代まで、9人のメカニックが在籍しています。各世代の技術者が知識を生かせることも強みです。

——経営理念として大切にしていることは何ですか。

「最小限の行動で最大限の利益化」を掲げています。作業やお客さま対応の無駄を減らし、社内のルールや仕組みを整えることで、効率と利益の両方を高める考え方です。

整備士やフロントスタッフが働きやすく、年齢や社歴に関係なく意見を交わせる体制も整えています。

板金業から整備業へ、変化を恐れず事業を転換

——現在の事業に至った経緯を教えてください。

もともと大手ガソリンスタンドチェーンの整備部門で働いていて、その後独立し、最初は一人で板金業を始めました。

しかし、板金は事故や損傷が発生したときに利用されるため、固定客をつくりにくい事業です。下請け業務も多く、利益率や毎月の売上が安定しにくいという課題がありました。

そこで、法定点検や1年点検など、継続利用につながる自動車整備へ事業を転換しました。

——事業の成長を支えた転機は何でしたか。

会社を立ち上げた約15年前は、スマートフォンが普及し始めた時期でした。当時は、パソコン向けのホームページをスマートフォンで見ると、表示が崩れることも少なくありませんでした。

そこで、いち早くスマートフォンで見やすいウェブサイトづくりに取り組み、問い合わせを受ける入口を整えました。民間の整備工場によるネット集客がまだ珍しい時期から取り組んだことが、現在の集客基盤につながっています。

——経営判断の軸になっている価値観はありますか。

やりたいと思ったことはまず実行し、うまくいかなければその時点で考える姿勢を持っています。過去には口座残高が数十円になるほど厳しい状況も経験しましたが、瀬戸際でも踏ん張り、事業を黒字化してきました。

一方で、勢いだけでは乗り越えられない経営環境もあります。その経験を踏まえ、現在は複数の事業でリスクを分散しています。

「誰が言ったか」ではなく「何を言ったか」

——現在の組織体制について教えてください。

社員は約30人です。そのうち、整備士が9人、フロントスタッフが7人、ソリューション事業部が4人です。各部門が連携して事業を運営しています。

——社内コミュニケーションで重視していることは何ですか。

大切にしているのは、「誰が言ったか」ではなく「何を言ったか」です。年齢や社歴ではなく、会社として今後どうするべきかを基準に意見を交わします。筋の通った考えであれば、立場に関係なく発言することを求めています。

相手の感情や考えは、言葉にしなければ正確には分かりません。発言がコミュニケーションを増やし、組織の改善につながると考えています。一人ひとりが会社の利益や効率を考え、能動的に行動できる環境づくりを進めています。

——人材育成では、どのような仕組みを設けていますか。

整備部門では、「見て覚える」だけではなく、丁寧に教える体制へ移行しています。担当者に加えてアドバイザーを置き、ダブルチェックを行うことで、作業漏れを防ぎながら意見交換できるような仕組みです。

フロント業務では、お客さまへの確認事項や対応内容をフォーマット化しています。担当者による入庫率や対応品質の差をなくし、一定の成果を出せる状態が目標です。

自社の成功モデルを、全国の整備工場へ

——ソリューション事業では、どのような支援を行っていますか。

自社で構築したウェブ集客の仕組みを、全国の中小・零細規模の整備工場へ提供しています。ホームページを作るだけではなく、地域に応じたキーワード設計や細かなコーディングを行い、広告費をかけ続けなくても集客力を高められる入口づくりを支援しています。

外車対応を始めたい工場には、外注先の紹介やテスターの販売など、実際の入庫に対応するための周辺支援も行っています。経営課題を聞き、利益率の高い顧客を獲得する仕組みを一緒につくるといった事業です。

——事業の現在地と今後の目標を教えてください。

ソリューション事業部が本格的に動き始めたのは約1年半前で、現在は全国約35社が仕組みを導入しています。導入企業はすべて利益転換を果たしています。

今後は、参加企業を100社以上へ増やしたいです。収益性の高い整備工場が増えれば、整備士の賃金向上や業界の魅力向上にもつながります。稼げる会社を増やし、整備士の賃金を底上げしていきたいです。

——整備工場として描いている将来像はありますか。

現在の工場は手狭になってきているため、将来的には、より広い工場へ移転したいと考えています。その先に掲げているのが、民間工場として日本一の整備工場になることです。

現在は月約400件の問い合わせがあり、工場のキャパシティーの都合から月約150台を受け入れています。工場を拡張し、より多くの入庫に対応できる体制を整えていきます。

休みの日にも、次の事業を考える

——代表はどのように気分転換をしていますか。

休みの日でも会社や先の展開について考えていることが多いです。何か思いつけば経営陣のLINEグループで共有し、休日の朝から事業について社内でやり取りすることもあります。

現在のウェブ集客の仕組みについても、自動車業界だけでなく、飲食業やサロン経営など、他業種へ転用できないかを考えている最中です。

整備工場の拡張、ソリューション事業の全国展開、さらに新たな分野への応用を視野に入れ、会社の成長と事業の多角化に向けた構想を進めています。

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