医療業界の採用課題をSNSで変える――現場を知るからこそできる採用支援とは
ASODA 代表 北裏 真己氏
医療業界では、人材不足や採用コストの高騰が大きな課題となっています。ASODAでは、医療業界に特化したSNS運用支援や採用サイト制作を事業の中心として、施設見学や就職説明会の企画、そして採用試験に至るまでを一気通貫でサポートしています。代表の北裏真己氏は、自身が医療法人で採用に携わった経験をもとに事業を立ち上げました。本記事では、創業の経緯や事業の強み、今後の展望、そして経営に対する考え方について伺いました。
医療現場で培った経験を事業へ
――事業を立ち上げたきっかけを教えてください。
もともとは医療法人で働きながら、採用担当ではない立場でセラピストの採用活動に関わるようになったことが始まりです。大学院で研究活動をしていたこともあり、全国の学校の先生方とのつながりがあったため、そのネットワークを生かして採用活動を任されました。
当時は求人媒体や合同説明会を活用しても思うように人が集まらず、高額な費用をかけても成果が出ない状況が続いていました。そこで2016年頃、Instagramを活用した採用活動を提案し、自分自身が責任を持って運用を始めました。
当時、リハビリ職の採用目的でSNSを活用していた病院はほとんどありませんでしたが、その取り組みによって新卒採用につながり、翌年以降は問い合わせも増加しました。その後は採用サイトの制作にも取り組み、業務効率化や採用成果につながることを実感しました。
医療法人内で実績を重ねた後、多くの法人へ横展開する機会を得て、ホームページ制作やSNS支援を行うようになりました。その経験をもとに、個人事業としてASODAを立ち上げています。
――事業の強みについて教えてください。
最大の特徴は、関わるクリエイター全員が医療系の国家資格を持っていることです。医療業界特有の専門用語や現場感覚を共有できるため、細かな説明をしなくてもスムーズに意思疎通ができます。また、医療特有の空気感を理解しているので炎上対策にもなっています。 医療現場を理解した上で情報発信できることは、大きな強みだと感じています。
また、個人事業として運営しているため、ホームページ制作やSNS支援も比較的利用しやすい価格で提供しています。学校との連携や採用相談まで含めて伴走することで、長く利用してくださるお客様が多いことも特徴です。
採用費を抑え、医療現場へ還元したい
――理念や事業に込めた思いを教えてください。
医療法人で採用に携わる中で、採用費の高さに大きな課題を感じました。実際に看護師や療法士をエージェント経由で採用するには一人当たり約100万円の採用費がかかります。それを削減できれば医療現場へ還元できると考えたことが、この事業を始めた理由です。
医療は税金によって支えられている部分も大きい業界です。その費用が採用コストとして外部へ流れるのではなく、医療現場で働く人や患者さんのために使われる環境を広げていきたいと思っています。
――経営の道へ進んだ背景を教えてください。
大きな理念や夢があって始めたわけではありません。最初は知り合いのために無料で支援していましたが、「助かった」「お願いしてよかった」と喜んでもらえることが増えました。
それなら適正な対価をいただきながら、お互いにメリットのある関係を築いていけると考え、事業としてスタートしました。
採用支援を続ける中で、採用だけではなく、経営層と現場スタッフの認識の違いにも気付くようになりました。アンケートなどを通じて双方の間に入り、共通認識を作ることで組織の雰囲気が良くなったという声もいただいています。そうした変化に関われることが、この仕事の大きなやりがいになっています。
一人ではなく、チーム全体で価値を生み出す
――経営で大切にしている考え方を教えてください。
代表という立場ではありますが、一人で事業を動かすという考え方ではありません。
全国で活動するクリエイターや専門スタッフと連携し、それぞれが少しでも収入を増やしながら、高いパフォーマンスを発揮できる環境を作ることを大切にしています。お客様にもできるだけ負担をかけず、関わる人すべてがプラスになる形を目指しています。
――一緒に働きたいと思う人物像はありますか。
素直な人であることはもちろんですが、自分自身で実績を積み重ねている人と一緒に仕事をしたいと考えています。
SNS運用で継続的な成果を出していたり、デザイン力があったりする方はもちろん、最近ではAIを活用して制作効率を高められる方にも期待しています。そうしたスキルを持つ方には積極的に仕事をお願いしたいと思っています。
医療業界の未来を見据えた採用支援へ
――今後取り組みたいことを教えてください。
これまでは動画制作・編集を代行するサービスをあえて行っていませんでした。自分たちが制作すると、その後にお客様自身で運用できなくなり、更新が止まってしまうケースがあったためです。
現在は、お客様自身が運用できるよう育成しながら支援する形を取っていますが、今後は採用イベントなど限られた場面で、高品質な動画制作・編集を行うスポットサービスを始めたいと考えています。
――今後の課題について教えてください。
医療業界は市場としては拡大が見込まれている一方で、人材不足はますます深刻になっています。人が集まらない状況が続く中で、採用できる仕組みを早い段階から作っておくことが、将来の成長につながると考えています。
そのためにも、採用サイトの整備やSNS運用、就職説明会など、今だからこそ取り組むべき採用活動を医療法人の皆さんへ提案しています。大変な時期だからこそ、ここを乗り越えればより良い未来につながると信じています。
社会に求められる形へ変化し続ける
――最後に、影響を受けたものやリフレッシュ方法を教えてください。
養老孟司さんの著書『バカの壁』には大きな影響を受けました。自分に合った仕事を探すのではなく、自分が社会に合わせていくという考え方は、今の仕事にもつながっています。
サービスも、自分が提供したいものではなく、お客様や社会に必要とされる形へ柔軟に変化させることを意識しています。会社の名前にもなっているASODAは「あ、そうだ」に由来しています。困った時に思い出してもらえるような会社でありたい。 その姿勢が、多くの方に喜んでいただける理由だと感じています。
休日は家族と洋服や眼鏡を見に出かけることが楽しみです。家族みんながファッションに興味を持っているので、一緒に買い物をしたり、流行を教えてもらったりする時間が良いリフレッシュになっています。若い感性に触れながら家族との時間も過ごせることが、自分にとって何より充実した時間です。
これからも家族との時間を大切にしながら、新しい感性や価値観に触れ、自分自身も柔軟に成長し続けていきたいと考えています。