食品原材料の卸売を中心に、企業の“食づくり”を根本から支えるMOGLO株式会社。創業者である小倉誠代表は、前職で培った主体性と行動力を武器に、卸売事業と営業支援を組み合わせた独自の価値を提供してきました。「後悔のない選択を積み重ねる」ことを軸に、組織づくりや未来の展望、そして日々の原動力について伺いました。
目次
食の未来を支える “食品原材料の専門商社” としての現在地
まず、現在の事業内容と特徴について教えてください。
当社は、外食産業・中食企業・食品メーカー向けに、食品原材料の卸売事業を中心として展開しています。飲食店やメーカーが商品をつくる際に欠かせない原料を安定的に供給し、そこから生まれる食品が世の中に広がっていく――その“起点”を担う存在です。扱う品目は多岐にわたり、総合的な原料商社として商品開発や生産工程を支える役割を果たしています。
卸売以外にも、コンサルティング事業を行っているとのことですが、どのような経緯で始められたのですか。
創業当初は、いきなり卸売だけで市場に参入するのは難しく、取引先も限られていました。そこでまず、食品原料の知識や提案力を生かした営業支援・営業代行のコンサルティングから事業をスタートしました。企業の営業活動を後押しする中でネットワークが広がり、徐々に卸事業が本格化。現在は卸売が軸となり、コンサルティングで培った提案力も強みとして活かしています。
現在の事業体制が形作られた背景について教えてください。
前職の食品商社で、営業業務の上流から下流までを一気通貫で任される稀有な環境に身を置いたことが大きな基盤になりました。短期間で業界構造や商流を深く理解でき、食品原材料の重要性や奥深さを体感できたことで、「自分が世の中に提供できる価値はここにある」と確信したのです。もともと起業への思いはありましたが、明確な武器がなかったため踏み出せずにいました。そんな中、前職での経験から営業力・商品知識・ネットワークが整い、食品原料の卸売を軸に創業する決意が固まりました。
コンサルティングから始まった事業は、卸売の拡大とともに進化し、今では多くの企業の食づくりを支える存在へ。当社はこれからも、単なる商社にとどまらず、「食の価値創造に寄り添うパートナー」であり続けたいと考えています。
“主体的に働くこと”に気づかせてくれた環境。キャリアの転機と、独立へ踏み出した理由
これまでのキャリアについて教えてください。
学校卒業後は繊維メーカーに新卒入社し、営業として9年間勤務しました。その後、32歳で食品業界へ転身し、食品商社で5年間営業を担当しました。この商社での経験は大きな転機でした。一般的には数年かけて学ぶ業務を、短期間で幅広く任される環境で、営業はもちろん、利益管理や案件構築など、事業全体を把握しながら主体的に進める力が身につきました。
その経験が独立につながったのでしょうか。
大きかったと思います。「自分で考えて動かなければ成果が出ない」環境で鍛えられたことで、自然と主体性が身につきました。一方で、評価や待遇が急に変わることもあるオーナー企業ならではの不確実性も感じ、長期的に働き続けるリスクも意識するようになりました。そうした中で、日々の業務を端から端まで担っていくうちに、「独立しても同じことができるのではないか」という根拠のない自信が芽生えました。実際には決して簡単ではありませんが、ミニマムスタートで着実に積み上げれば、自分にも回せるという感覚が背中を押したのだと思います。
独立を決めた背景と、今感じている成長について教えてください。
もともと「いつかは独立したい」という思いはありましたが、当時は強みがなく一歩踏み出せずにいました。食品商社で専門知識と営業の仕組みを深く理解できたことで、「これなら自分でも勝負できる」と確信できたのが起業のタイミングでした。また、独立に際しバックアップして頂ける恩人にも巡り会えた事が大きな転機でした。創業後は数年間一人で事業を回し、現在は社員の給与もしっかり支払える体制へ小規模ながら成長しました。今後は「自分だけが稼ぐ」のではなく、関わる人が主体性を発揮し、努力が正当に評価される環境をつくりたいと考えています。自身の経験から得た“主体性が人生を変える感覚”を、会社の仲間にも共有できる組織を目指していきます。
“後悔のない選択”を重ねるために――組織づくりで大切にしていること
現在の事業運営において、大切にしている価値観を教えてください。
最も意識しているのは、「後悔のない選択を積み重ねること」です。経営や営業では日々さまざまな判断が求められますが、そのたびに「今できる最善を選んだ」と胸を張れることを大切にしています。行動も判断も、すべて積み重なって事業の土台になるからこそ、振り返っても悔いの残らない選択をする。この姿勢は、会社が大きくなっても変わらず持ち続けたい軸です。
社員が加わり、組織として動き始めた今、意識していることはありますか。
一人で事業を回していた時期を経て、今年からバックオフィスを担う社員が加わりました。ようやく“会社としての第一歩”を踏み出した実感があります。そこで重視しているのは、社員が主体的に働ける環境づくりです。前職で主体性の重要性を強く感じてきたからこそ、「なぜこの仕事をするのか」「どんな価値につながるのか」を丁寧に共有し、本人のペースで業務を任せるようにしています。丸投げではなく、背景を伝えながら任せる。この積み重ねが主体性につながると考えています。
小規模組織ならではのコミュニケーションで意識していることを教えてください。
人数だからこそ、密度の高いコミュニケーションを重視しています。業務報告だけでなく、そこに至るプロセスや感じたことも含めて話せるよう、対話の時間を意識的につくっています。スタートアップ期は正解がひとつではなく、仕組みも整っていません。そのため、「まずやってみる」「結果から改善する」という前向きな姿勢を互いに尊重し、失敗も迷いも肯定する空気づくりを大切にしています。
また、組織が成長すると“温度感”が薄れやすいと言われますが、今の段階だからこそ文化の種を植えられると思っています。チャレンジを歓迎する姿勢、選択の背景を共有する習慣、小さな成功を称え合う文化――こうした価値観を初期メンバーとともにつくっていくことが、長期的な会社の強さにつながると感じています。
“正解を急がず、可能性を広げ続ける”――未来の展望と、会社としての次の一歩
今後の展望について、どのような未来を描いていますか?
現段階では、「この道だけが正解」という一本の筋はあえて決めていません。会社のステージや社会情勢、関わる人の状況によって最適な選択肢は変わるため、いくつかの可能性を想定しながら丁寧に検証し、柔軟に方向性を見極めていく姿勢を大切にしています。
具体的にはどのような可能性を考えているのでしょうか。
現在の柱である食品原材料の卸売事業を軸にしつつ、展開の幅を広く捉えています。営業支援で培った提案力を生かして食品メーカーとの共同開発に踏み込む未来もあれば、卸としての専門性をさらに深め、より多くの商品づくりを支える“縁の下の力持ち”に徹する道もあります。また、会社のビジョンである「関わる人が幸せを共有できる箱づくり」を実現するためには、事業成長と並行して組織文化の形成も欠かせません。社員が増えれば任せ方やコミュニケーションも変化するため、そのタイミングごとに会社と人の成長を両輪で進めていきたいと考えています。
未来の方向性は社員や取引先によっても変わるのでしょうか。
はい。社員の特性や成長度合い、取引先のニーズによって最適解は自然と形づくられる部分があります。どの事業を伸ばすかだけでなく、「誰とどんな未来をつくるか」も大切な判断軸です。だからこそ、最初から道を一つに絞らず、状況に応じて柔軟に選択できる組織でありたいと考えています。
大切にしているのは、「ぶれない軸」と「柔軟な選択」の両立です。軸となる“関わる人が幸せを共有できる会社であること”さえ揺らがなければ、道が複数あっても問題はありません。これからも関わる人と共に成長しながら、最適な未来を選び続けられる会社を目指していきます。
人生の原動力は“身体を動かすこと”と“子どもの存在”――仕事の外にある大切な時間
忙しい中でのリフレッシュ方法を教えてください。
昔からサッカーを続けていて、今でも体を動かす時間は欠かせません。汗をかいたり、負荷をかけて気持ちを整える時間は、仕事の緊張感をリセットしてくれます。趣味と健康の両方を兼ねた、私にとって大切な習慣です。
他に原動力となっているものはありますか?
一番の原動力は、子どもの存在です。1歳と4歳の2人の子どもがいて、日々成長を見せてくれることが、仕事へのエネルギーになっています。新しいことをどんどん吸収し、行動の幅を広げていく姿を見ると、自分ももっと頑張ろうと思えるんです。
将来の進路については、サッカーをしてほしいなどの希望は特にありません。興味を持ったことに向かって自分らしく歩んでいけるよう、親としてそばで支えられればと思っています。
最後に、仕事も家庭も含めて“後悔のない選択”を積み重ねながら、これからも関わる人たちと共に前へ進んでいきたいと考えています。
これからも、より多くの人に価値を届けられる会社づくりに挑み続けます。

