全人類の未来の可能性を広げるために――NEXTA株式会社が描く、広告とAIの次なる地平
NEXTA株式会社 代表取締役 中川 智喜氏
グラフィックデザイン、空間デザイン、映像制作、写真撮影という4つの専門領域を軸に、広告・クリエイティブ事業を展開するNEXTA株式会社。複数の専門分野を社内で完結できる体制を強みとし、ブランドに一貫性と物語性を与え、「惹きつける」クリエイティブを提供しています。2025年に創業し、現在は広告事業を基盤にしながら、AI領域への新たな挑戦も本格化させています。本記事では、代表の中川智喜氏に、事業への想い、経営の軸、組織との向き合い方、そして今後の挑戦について詳しく伺いました。
目次
4つの専門領域を束ね、広告として価値を届ける
――現在取り組まれている事業の特徴や、他社にはない強みについて教えてください。
弊社の事業は大きく分けて、グラフィックデザイン、空間デザイン、映像制作、写真撮影の4つになります。これらをひとくくりにすると「広告業」という位置づけになります。
まだ社員は1名という組織ではありますが、社員であるデザイナーは上場企業様を中心に約10年間、さまざまなデザインが採用され続けてきた経験を持っています。そのため、他社にはすぐに真似できるものではないデザインのクオリティーを提供できる点が、大きな強みだと考えています。
私自身も、当時そのデザイナーの上司として仕事をしてきました。同じく上場企業様とのやりとりの経験から、コンプライアンスなど含め、広告表現の厳しさを理解したうえで、お仕事をさせていただきます。私の営業経験と社員のデザイン経験、この組み合わせがあるからこそ、最近の広告事情にも対応できる体制になっています。
――新たに取り組まれている分野もあると伺いました。
2026年1月末から2月上旬にかけて、AIを活用した新しいコンテンツを提供開始する予定です。
今はChatGPTやGeminiなど、AI自体は多くの方が知っていますが、「使える」「収益化できる」というレベルまで活用できている方は、まだ多くないと感じています。そこで、AIの使い方を一歩、二歩踏み込んで活用するためのコンテンツや、LLMO対策と呼ばれる、AIに自社の情報を適切に拾わせて集客や求人につなげるサービスを展開していく予定です。
「成貢」という言葉に込めた、私たちなりの定義
――御社のミッション・ビジョン・バリューについて、改めて教えてください。
弊社のミッションは「全人類の未来の可能性を見つけ、広げて支援する」です。少し大きく聞こえるかもしれませんが、これは本気で掲げています。一人ひとりが持っている可能性を見つけ、その人や企業の商材を通じて可能性を広げ、一人でも多くの笑顔や明るい気持ちを増やしていきたい。その想いから、このミッションを定めました。
ビジョンは「世界で最も早く、“成貢”を応援する企業になる」です。一般的な「成功」の漢字ではなく、「成貢」と定義しています。自分たちが世界で最も早く成長し、世界に貢献する、そして応援する企業でありたいという意味を込めています。
バリューは6つあり、「心美眼」「喜働」「応援力」「成長速度」「即応力」「矜持」です。これらを軸に、関わる方々のクオリティーや業績、気持ちの面まで高めていける存在でありたいと考えています。
独立を決意した理由と、経営者としての原点
――どのような想いで、今の事業を始められたのでしょうか。
私は現在38歳で、新卒ではSEとして社会人をスタートしました。ただ、実際にやってみると、ずっとパソコンに向かう仕事が自分には合わないと気づき、そこから16年間、営業の道を歩んできました。30代に入ってから、「自分で一国一城の主になりたい」「世の中のために何かを打ち出したい」という気持ちが強くなりました。
尊敬する人物として稲盛和夫さんがいますが、「利他の心」という言葉があります。私も「世のため人のために、私の力が少しでもためになるのであれば」という想いがあり、世の中へ貢献したいと思っておりました。そして前職で、経営幹部や部長職を経験させていただき、今が独立のタイミングだと感じ、昨年5月19日に独立いたしました。
――会社員としてのキャリアに迷いはなかったのでしょうか。
30代に入ってから、60歳、65歳になったときに自分がどう感じるかを考えました。会社員として終えた人生を振り返ったとき、きっと後悔するのではないかと思いました。
成功するか失敗するかは分からなくても、まずはやってみたい。その気持ちが、独立への背中を押しました。
創業期の苦しさと、経営者として向き合う現実
――創業から約8か月、最も苦しかったことは何でしょうか。
正直なところ、毎日が必死です。売上の土台、資金繰り、社員とのコミュニケーションなど、初めての経営だからこそ、常に気が抜けません。
夜中に目が覚めて、今月の支払いは大丈夫か、社員は苦しい思いをしていないかと考えることもあります。ただ、それを「苦しい」と捉えるより、試練として前向きに受け止めています。
――現在、どのような課題を感じられていますか。
本当に、創業1年目ならではの課題だと思いますが、やはり一番大きいのは、売り上げにまだまだ波があるという点です。まずはこの土台をいかに安定させていくかが、今の課題だと捉えています。
――その課題に、どのような考え方で向き合われていますか。
売り上げを安定させ、5人、10人と社員を増やし、組織の拡大も視野に入れています。ただ、それは結果だけを追い求めて実現するものではないと思っています。
弊社が掲げているミッションやビジョンに忠実に向き合い、軸をぶらさずに一歩一歩積み重ねていく。その先に、結果として課題はクリアされていくものだと考えています。毎日着実に積み重ねることで、売り上げの安定や組織の成長につなげていきたいと思っています。
伴走するマネジメント――前職経験が教えてくれた向き合い方
――前職でのマネジメント経験を通じて、現在の経営や人との向き合い方で大切にしていることは何でしょうか。
例えば部下の教育に関して、20代の頃は、愛情を込めて叱ればついてきてくれる、語れば伝わると信じていました。しかし前職で学んだのは、社員と同じ目線で同じ気持ちになり、伴走する姿勢の大切さでした。
ハラスメントが問題視される時代だからこそ、相手の気持ちに立ち、どう伝えるかを考える。その経験は、今のマネジメントにも強く生きています。前職では、手厚い研修の機会を通じてマネジメントを学ばせていただきました。大変感謝しております。その経験が、今の自分を支えています。
リモート環境でも伝わる「小さな変化」を見逃さない
――社内コミュニケーションで大切にされていることは何でしょうか。
弊社の社員は在宅勤務になりますので、基本的には電話やZoom、チャットツールでのやり取りになります。だからこそ、声色やちょっとした違和感を大切にしています。デザイナーの場合、デザインの色合いや雰囲気に、その人の状態が表れることもあります。いつもと違うなと感じたときは、指摘するのではなく、さりげなく声をかけるようにしています。
――社員が主体的に動けるよう、意識されていることはありますか。
弊社の社員は、デザインだけでなく営業をかけられるデザイナーです。やはり、主体性を持って自分から手を挙げられる人材というのは非常に大切だと思います。そのため、意識するよう常々伝えております。
A案を頼めばB案やC案も出てくる。こちらが言わなくても説明ができる。これらを日々のコミュニケーションの中で少しずつ意識づけを行い、それを習慣化することで、将来的に組織が拡大しても同じ考え方が自然と引き継がれていくようになればと思っております。
広告とAI、二つの柱で描くこれからの挑戦
――今後の展望について教えてください。
2026年は、弊社にとって勝負の年です。これまでの広告事業に加え、AIコンテンツという二本目の柱を本格的に育てていきます。この二本目の柱をいかに成功させ、世に浸透させていくかを考えております。短期的には、半年で基盤をつくる覚悟で取り組みます。そして、「NEXTA株式会社はなかなかやるじゃないか」と思っていただけるような企業にしていきたいです。
――広告業界におけるAI活用の流れを、どのように見ていますか。
今年二本目の柱としてAI事業を始めますが、広告事業との相乗効果を創出していくかたちとなるので、業界としては、AIを加えることで明るくなっていくと思います。弊社では広告業とAI事業とで一応分けてはいますが、個人的な捉え方として広告とAIは表裏一体で、どちらか一方だけではクライアントにクオリティーの高い満足いただけるものを提供することはできないと思っていますので。
広告業界は競争が激しいため、AIの活用は欠かせないものになっています。そして、AI業界自体も日々変化しており、昨日の常識が今日には変わることも珍しくありません。
だからこそ、学び続ける姿勢を忘れず、広告とAIの両方を高いレベルで提供できる企業でありたいと考えています。
譲れない価値観と、日常のリフレッシュ
――経営の中で、これだけは譲れないという想いはありますか。
一つは、稲盛和夫さんの利他の精神。そしてもう一つは、父からずっと言われてきた「人に迷惑をかけるな」という言葉です。当たり前のことですが、今の会社経営についても、ひとつの軸となっております。
約束を守る、言葉遣いに気をつけるなど、そうした「当たり前のことを当たり前にやる」、そして「利他の精神」、これら二つは、会社経営の上で非常に大切にしているキーワードになっています。
――お休みの日のリフレッシュ方法を教えてください。
お酒が好きなので、妻と一緒に食事をしながら話す時間は、良いリフレッシュになっています。お互い独立しているので、お酒を片手にビジネスの話をする時間を大切にしています。
もう一つは運動です。体を動かすことが好きなので、筋トレやランニング、サウナで体を整えながら、食事と運動でバランスをとるようにしています。
――経営以外で、個人的に大切にして取り組まれていることはありますか。
経営を目指す若い世代の方たちの相談にのることです。食事に行ったり、話を聞いたり、少しでも役に立てるのであれば時間は惜しみません。自分の経験が、誰かの一助になれば嬉しいです。