日々の積み重ねが企業の未来をつくる――東洋理研が実践する「道」の経営
東洋理研株式会社 代表取締役 大井 健介氏
東洋理研株式会社は、1971年の創業以来、船舶用エンジン部品の代理店事業を中心に事業を展開してきた企業です。現在は従来事業に加え、IT分野で培った知見を活かし、現在は業務コンサルティングにも取り組んでいます。本記事では、代表の大井健介氏に、現在の事業内容や経営に対する考え方、今後の展望などについて詳しく伺いました。
目次
経営者に寄り添い、実践につなげるコンサルティングを提供
――現在の事業内容について教えてください。
当社は1971年に設立し、船舶用エンジン部品の代理店事業を出発点に事業を展開してきました。現在も同事業を主軸としながら複数の領域で事業を推進しており、その一つとして注力しているのが、「s-ket(スケット)」ブランドです。
s-ketでは、当初はITコンサルティングを中心に展開していましたが、現在は業務コンサルティングへと支援領域を広げています。経営者の構想や課題意識を整理し、言語化・行動化を通じて実務へ落とし込む支援を行っています。
――御社ならではの強みはどういった点にありますか。
当社では、競合他社との差別化を強く意識するというよりも、お客様との信頼関係を軸に事業を展開しています。営業の現場でも相見積もりになることはほとんどなく、お客様に当社の考え方や支援内容を評価していただければ、ご契約いただくというスタイルです。
また、ITについてはインフラから業務領域まで幅広い知識を有しているため、特定分野に限定されない提案が可能です。さらに、私自身が経営者として直接ご相談をお受けすることで、経営者目線で課題を共有しながらご提案できる点も当社の強みだと考えています。
事業承継を経て見つけた、自分らしい経営の在り方
――経営の道に進まれた経緯をお聞かせください。
現在の会社は、親族間での事業承継を通じて引き継ぎました。
もともとは一般企業で10数年間勤務していましたが、その後、事業承継を機に東洋理研の経営を担うことになりました。創業者ではなく承継者という立場だからこそ、既存事業や経営環境を客観的に捉え、冷静な視点で意思決定ができることは、自身の強みの一つだと考えています。
――そうした経緯は、現在の経営にも影響していますか。
大きく影響していると感じています。
創業者であれば、自ら立ち上げた事業への強い想いが判断に影響する場面もあるかもしれません。一方、私は事業を引き継いだ立場だからこそ、自分の考えに執着し過ぎることなく、一歩引いた視点で会社を見ることを意識しています。
第三者のように客観的に分析しながらも、経営者として責任を持って判断し行動する――そうしたバランスを大切にし続けることが、的確な意思決定につながると考えています。
日々の積み重ねが会社の「道」をつくる
――会社として大切にしている考え方を教えてください。
当社では、あえて会社全体のビジョンや理念を細かく言語化することはしていません。近年はMVVを明確に定め、それを起点に組織運営を行う企業も増えていますが、私は日々の事業活動の積み重ねこそが、企業の方向性や価値観を形づくるものだと考えています。
一つひとつの意思決定や仕事に誠実に向き合い続けることで、その結果として会社の理念や進むべき道が自然と明確になっていく――それが当社の経営スタンスです。
――それは、ご自身の価値観にも通じる考え方ですか。
そうですね。仏教に「修証一等」という言葉がありますが、私自身、「道」という考え方を大切にしており、日々の実践そのものが成果や成長につながるという姿勢は、現在の経営においても大切な指針となっています。
経営では、売上目標や事業計画を設定し、そこから逆算して行動を組み立てる手法が一般的です。一方で私は、目先のゴールだけを追うのではなく、日々の仕事を着実に積み重ねた結果として、企業や自身の進むべき道が形づくられていくという考え方を大切にしています。
社員一人ひとりの主体性が組織の成長につながる
――社内コミュニケーションで意識していることはありますか。
社員には細かな指示を出し続けるのではなく、一人ひとりが自ら考え、判断し、主体的に行動できる組織づくりを重視しています。
社員同士のコミュニケーションはもともと良好で、現場でも自然に相談しながら仕事を進められる環境が整っていると自負しています。そのため、経営側がすべての答えを示すのではなく、それぞれが状況に応じて意思決定できることを大切にし、その積み重ねを組織全体の成長につなげていければと考えています。
――採用ではどのような人材を求めていますか。
特別に突出した能力や個性を求めているわけではありません。それ以上に重視しているのは、常識的な判断力を持ち、状況に応じて冷静に対応できることです。
また、周囲との調和を図りながら着実に役割を果たせる方であれば、組織にも自然と溶け込めるため、信頼関係を築きながら、長期的な視点でともに成長していける方をお迎えしたいと考えています。
人とのつながりを広げ、さらなる価値提供へ
――今後取り組んでいきたいことを教えてください。
現在は対面で出会った方とのご縁を中心に営業活動を行っていますが、このやり方だけでは広がりにも限界があります。本当に必要としてくださる方へ十分に価値を届けられていない部分もあるため、より多くのお客様へ当社のサービスを知っていただけるよう、営業の広げ方についても工夫していきたいと思っています。
――組織としてはどのような成長を目指していますか。
これまでは私自身が営業活動を担うことが多くありましたが、現在は、社員にもそのノウハウを広げているところです。それぞれがさまざまなコミュニティへ参加し、人とのつながりを築きながら、自ら営業できる力を身につけられるよう取り組んでいます。
今後は組織全体で営業力を高め、一人ひとりが主体的に会社の成長を支えられる体制を築いていきたいです。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
会社の成長は、大きな目標だけを追いかけることで実現するものではないと思っています。
日々の仕事に真摯に向き合い、一つひとつの実践を積み重ねた先に、企業として進むべき方向や価値が見えてくるものです。その積み重ねこそが、持続的な成長を支える基盤になると感じています。
これからもお客様一社一社に寄り添い、実践につながる支援を通じて企業の成長に貢献していく所存です。