「この会社にお願いすれば間違いない」――水と空気のインフラを支える有限会社新設備の信頼経営
有限会社新設備 代表取締役 鈴木 眞佐樹氏
有限会社新設備は、給排水衛生・空調換気設備の施工を手がけ、現在は新築マンション工事を事業の柱としています。長年積み重ねてきた信用を強みに、事業の拡大と組織の世代交代を進める同社。本記事では、代表の鈴木氏に、事業成長の転換点や人材育成、安全への考え方、世代交代を見据えた今後の展望について伺いました。
目次
新築マンション工事を軸に「水」と「空気」を支える
――現在の事業内容について教えてください。
当社は、給排水衛生設備や空調換気設備の設計・施工を行う会社です。管工事の建設業許可を保有し、川崎市、横浜市、東京都、神奈川県の指定工事店として、役所への申請を伴う工事にも対応しています。
現在は新築マンション工事が全体の約8割です。そのほか、水漏れや排水詰まりなどの修繕、キッチン・浴室・トイレといった水回りのリフォーム、管工事組合から依頼される工事も手がけています。
――長年にわたり仕事を受注できている強みは何でしょうか?
一番の強みは、これまで積み重ねてきた信用だと思います。当社は平成元年に設立し、現在37年目を迎えました。
私に代表権が移ったのは5年ほど前ですが、それ以前から築いてきたお客様との信頼関係が今の事業を支えています。
施工後も「次も任せたい」と思っていただくことが大切です。現在も順調に受注できているのは、長年の仕事を評価していただいているからだと感じます。
木造・軽量鉄骨からRC造へ――現場で築いた成長の基盤
――代表に就任された経緯を教えてください。
当社は父が創業した会社で、現在は会長を務めています。私はその会社を受け継ぐ形で、約5年前に代表となりました。
入社当初は、父のお客様の仕事を中心に現場へ出ていました。その後は現場代理人として15年ほど経験を積み、現在も件数は減りましたが、必要に応じて現場に立っています。
――会社の事業が成長した転機について教えてください。
当社はもともと、木造や軽量鉄骨の建物を手がけることが多い会社でした。転機になったのは、新しく入社した社員から、RC造、つまり鉄筋コンクリート造のマンション工事に取り組もうという話が出たことです。
私もその社員に教わりながら新しい分野へ踏み出しました。規模の大きな建物を手がけるようになり、受注額や年商も変化しています。
私が会社を育てたというより、社員に育ててもらった面もありますね。
安全を最優先に、技術と責任を受け継ぐ組織づくり
――社員の育成で大切にしていることは何でしょうか?
現在は17人ほどで事業を行っています。和気あいあいと働くことも大事ですが、「ダメなものはダメ」「やってはいけないことはやってはいけない」と、きちんと伝えることを重視しています。
技術を身につければ、それに見合う賃金を得られ、責任者の立場も目指せます。先輩の仕事を見て技術を学び、自分のものにしてほしいですね。
――現場の安全を守るため、どのような指導を行っていますか?
現場で何より避けなければならないのは、社員が怪我をすることです。
設備工事では転倒や墜落、電動工具による事故も起こり得ます。足場に上がる際には、安全帯を着けるといったルールを守らなければなりません。
当社は年齢層が高く、教え方が器用ではない社員もいます。それでも安全に必要なことは、それぞれの言葉でしっかり伝えています。言い方の上手さより、危険を見過ごさないことが優先です。
「この会社にお願いすれば間違いない」を守る信頼経営
――経営において譲れない想いを教えてください。
譲れないのは、やはり信頼です。当社は母体がそれほど大きな会社ではないからこそ、信用があって初めて成り立っています。そこを失えば、仕事も一気になくなってしまうかもしれません。
「この会社にお願いすれば間違いない」と思っていただけることが、当社にとって一番の強みです。その信頼を私だけでなく、社員全員で守り続けなければならないと考えています。
――信頼を積み重ねるために、日々意識していることは何でしょうか?
手を抜かないことです。人が行う仕事なので、ヒューマンエラーを完全になくすことは難しいと思います。
だからこそ、小さな部分まで一つひとつ確認し、当たり前のことをきちんと行う姿勢が欠かせません。
水回りの工事で事故が起これば大変ですが、信用を失うことはもっと大きな問題です。目の前の作業を軽く考えないようにしています。
――仕事をする上で大切にしている姿勢を教えてください。
正直であることを大切にしています。少しでも嘘をつくと、やがてごまかしが利かなくなります。
間違えたときには、間違えたと正々堂々と言う。都合の悪いことを隠すのではなく、きちんと向き合える会社でありたいと思っています。
ゴルフとジェットスキーで気持ちを切り替える
――休日のリフレッシュ方法や趣味について教えてください。
休日は、ゴルフやジェットスキーを楽しんでいます。仲間がいてできる時期が限られているため、季節ならではの楽しみですね。
ゴルフは、ほとんどがお客様や仕事を通じて知り合った方々と一緒に回っています。普段とは違う時間を過ごせるため、良い気分転換になります。
世代交代と事業拡大を見据えた次の挑戦
――現在直面している人材面の課題と、採用への取り組みを教えてください。
直近の課題は、社員の年齢層が高くなっていることです。仕事は順調ですが、今後も続けていくには世代交代を進めなければなりません。外国人も含め、新しい人材の採用に取り組んでいます。
求人媒体に加え、ホームページ、TikTok、Instagramも充実させ、若い方に会社を知ってもらいたいと考えています。
採用人数はまず2人ほどです。教える側にも限りがあるため、育成できる人数を見極めています。
――今後の事業展開として、どのような挑戦を考えていますか?
現在お付き合いしているゼネコンさんとの関係を大切にしながら、新規のお客様も開拓したいです。
一方で、社員だけでは対応しきれない仕事もあるため、横のつながりを通じて協力業者の力を借りています。協力業者があってこその当社です。指導や管理を行いながら、双方の品質を維持していきます。
また、関東のマンション工事は今後減る可能性があるため、仕事があれば九州や四国などの地方にも挑戦したいと考えています。
――5年後、10年後に目指す会社の姿を教えてください。
今は、売上10億円が非常に大きな壁になっています。将来的には、10億円を余裕で達成できるほどの規模に会社を成長させたいです。
ただし、数字だけを追って実現できるものではありません。会社を大きくするには、それを支える人材が必要です。
売上の拡大と人材の確保を並行して進め、人がそろえば社屋や設備も変えていきたいと考えています。