人と動物の福祉をつなぐ――琉球わんにゃんゆいまーるが描く共生社会

一般社団法人琉球わんにゃんゆいまーる 代表理事 畑井 モト子氏

一般社団法人琉球わんにゃんゆいまーるは、人と動物がともに幸せに暮らせる社会を目指し、主に猫の保護活動やTNR(飼い主のいない野良猫を捕獲(Trap)し、不妊・去勢手術(Neuter)を行い、元の場所に戻す(Return))活動、行政への提言、県民への啓発に取り組む団体です。活動の根底にあるのは、目の前の動物を救うだけでなく、行政に収容される動物が生まれる背景まで捉え、根本的な解決につなげるという考え方です。本記事では、代表の畑井モト子氏に、団体の強みや組織運営、今後の展望などについて伺いました。

多様な経験を活動の力に変える

――現在の活動内容について教えてください。

当団体の主な柱は、猫の保護活動とTNR活動、行政への提言、県民への啓発です。動物を保護するだけでなく、なぜ行政に収容されるのか、その背景にどのような課題があるのかを考えながら活動しています。

殺処分ゼロは行政上の数値目標でもあり、私自身も、活動当初「殺処分ゼロ」に掲げていた目標でした。しかし、次第に「本当に目指すべきなのは、行政に収容される動物そのものがいなくなることだ」と考えるようになり、現在の活動に至ります。

――団体ならではの強みはどういった点にありますか。

メンバーそれぞれが別の仕事を持ち、異なる経験やコミュニティーのなかで生活しており、その多様性が新しいつながりや支援を生む力になっている点です。

動物保護の分野だけで活動していると、考え方が内側に閉じてしまうこともあります。一方、私たちは異なる視点を持つ人材の集まりであるため、発想が凝り固まりにくく、活動の広がりも生まれやすいのが強みとなっています。

すぐに大きな変化を起こせるわけではありませんが、10年前と現在を比べると、状況は確実に変わってきました。小さな取り組みを積み重ねることが、現状を動かす力になると感じています。

デザイナーの経験を活かし、支援の輪を広げる

――この活動を始めたきっかけを教えてください。

沖縄には野良猫が多いということを知り、「自分にできることから始めよう」と考えたことが活動の原点です。

大阪から沖縄へ移住して2年ほど経った2014年ころ、野良猫の多さに気づきました。理由を調べたところで沖縄県では殺処分される動物が多いという事実を知り、当時広告代理店でデザイナーとして働いていた経験を活かせないかと考えました。

そこで制作したのが、沖縄の現状や動物愛護団体の活動、必要とされている支援を伝えるフリーペーパー「つなぐマガジン」です。「何かしたいけれど、何をすればよいかわからない」という方々と、支援団体とをつなぐことを目的に発信を続けました。

その活動に共感が集まり、支援の輪が広がるなかで、琉球わんにゃんゆいまーるから声をかけていただき、団体へ加わることになりました。

――代表理事に就任された経緯をお聞かせください。

団体は2012年に設立され、当初は別の方が代表理事を務めていました。その後、前代表理事が保護活動で多忙だったことや、世代交代の必要性から、代表を引き継いでほしいという話をいただいたんです。

2019年に代表理事へ就任し、現在まで活動を続けてきました。体制の変化もあり、現在は主に猫に特化した取り組みを進めています。

違いを否定しない組織づくり

――組織運営で大切にしていることは何ですか。

メンバー一人ひとりの意思を尊重することです。重要な決断は代表である私が責任を持って行いますが、普段の意思決定は自由で柔軟なものにしています。

現在は4名のメンバーに加え、中心となるボランティアが10名ほどおり、シェルターの運営や日々の活動を支えていただいています。

動物愛護に対する考え方は、人によって異なるものです。その違いを否定せず、互いの価値観を尊重し、活動の力へ変えていくことを意識しています。

――一緒に活動したいのは、どのような方でしょうか。

自分の正義を他人に押しつけない方です。自分の考えが絶対ではなく、相手には異なる正しさがあるかもしれないと考えられることが大切です。

そうした姿勢が柔軟で持続的な組織につながると考えているため、迷いながらも考え続け、異なる意見を受け止められる方と活動したいと思っています。

多頭飼育崩壊を、人と動物双方の課題として捉える

――現在、特に向き合っている課題を教えてください。

全国的にも課題となっている、多頭飼育崩壊です。無秩序にペットが増え、人にとっても動物にとっても劣悪な環境になってしまうケースがあります。

この問題は、動物だけの問題ではありません。当事者のなかには、生活に困窮している方や高齢者、精神的な疾患を抱える方、社会的に孤立している方もいます。そのため、動物を保護するだけでは根本的な解決になりません。当事者が置かれている状況や、増やしてしまった背景にも目を向ける必要があります。

――今後、どのような取り組みを進めたいですか。

人の福祉と動物の福祉はつながっています。この考え方は「ワンウェルフェア(One Welfare)」と呼ばれ、人が幸せに暮らせることが、動物の幸せにもつながるというものです。

今後は動物行政だけでなく、当事者を支援する福祉関係者とも連携し、情報を共有しながら対応できる体制をつくりたいと考えています。発生した問題への対応に加え、深刻化する前に気づき、未然に防ぐ仕組みも必要です。

――活動を続けるうえで大切にしている姿勢を教えてください。

常に学び続け、さまざまな分野にアンテナを張ることです。現在はアートスクールにも通い、創作に向き合う時間を持っています。

一見、動物愛護とは直接関係がないような経験でも、そこから新しい発想が生まれることがあります。友人のカフェで本を読む時間も、考えを整理し、新たな視点を得る大切な機会です。

今後も異なる分野から学び、人の福祉と動物の福祉を結びながら、より多くの方と連携できる体制を築いていきたいです。小さな積み重ねを止めることなく、人と動物がともに幸せに暮らせる社会へ向けて、これからも活動を前に進めてまいります。

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