テレビからYouTubeへ――放送作家20年の構成力を生かすLUCK SHOWの新たな挑戦
合同会社LUCK SHOW(ラクショー)代表 増子 光男氏(ペンネームは「増子みつを」)
合同会社LUCK SHOWは、テレビからスマホまで、企画と映像の制作を手がけるプロダクションです。放送作家として20年の経験を持つ増子氏は、構成力を生かし、心に「刺さる・残る・動く」コンテンツを追求しています。本記事では、事業の強みや法人化の背景、新規開拓への取り組み、YouTubeを軸に描く今後の展望について伺いました。
目次
20年の構成力を生かした企業向け映像制作
――現在の事業内容について教えてください。
私は、テレビ番組と企業向けの映像・動画の両方に携わっています。
ただし、テレビ番組は当社の事業として制作しているわけではありません。私個人がフリーの放送作家として20年活動しており、番組ごとに放送作家として参加する形です。
当社の主な事業は、企業のプロモーションなどに用いる映像や動画の制作です。具体的には、サイバーエージェントさんを通じて、大手証券会社の投資関連トーク番組「ビジネスドライブ」や様々な企業案件を手がけています。
――数ある映像制作会社の中で、御社ならではの強みは何でしょうか?
動画制作会社は数多くありますが、華美なテロップワークなどで見せることに偏り、結局何を伝えたいのか分からない、何も残らない動画も少なくないと感じています。
私の強みは、放送作家として培ってきた「構成力」だと思っています。情報を届けて「へぇ~」と思わせるのか、「クス」っとさせるのか、最終的な着地点に向けて、どの順番で何を見せるべきかを組み立てられます。
見た目を整えるだけではなく、伝えたい内容をきちんと相手へ届けられることが、当社ならではの違いであり、「動画の再生回数」ももちろん意識しますが、「動画による視聴者への理解度・浸透度」を最重要視しています。
放送作家から会社経営へ――仕事の窓口を広げる決断
――放送作家として、これまでどのように仕事を受けてきたのでしょうか?
放送作家の仕事には、大きく2つの受け方があります。
ひとつは、テレビ局のプロデューサーやディレクターから直接声をかけていただく形です。もうひとつは、テレビ局に企画を提案している制作会社から依頼を受け、番組へ参加する形になります。
いずれも、ご指名を受けて番組に入り、そこで初めて報酬が発生します。
――法人化を決めたきっかけや背景を教えてください。
もともと法人化は考えていましたが、コロナ禍以降、タイミングが延びていました。
大きなきっかけになったのは、2025年頃に番組やコンテンツの終了が重なったこと。終わった分、新たに始まるものもありましたが、放送作家を取り巻く環境の変化を強く感じたことから、仕事の取り方を変えなければならないという危機感を持ちました。
個人の放送作家として構成・台本だけを請け負うのではなく、会社として企画・構成・撮影・編集まで動画制作全体を一気通貫で担える体制にすれば、仕事の窓口を増やせます。案件に応じてこれまで仕事をしてきた多くのディレクターと連携し、組織として対応できる形を作るために法人化しました。
新規案件の獲得と直接取引で築く成長基盤
――現在、事業を成長させるうえでの課題は何でしょうか?
一番の課題は、新規案件の獲得です。
これまでまったく接点のなかった方々と、どのようにつながり、仕事を広げていくかを考えています。どの会社も同様だと思いますが、強く意識している部分です。
――会社の成長に向けて、現在最も投資している分野はどこでしょうか?
現在、最も投資しているのは、営業につながる人脈づくりです。
さまざまな企業へ営業メールを送ることもありましたが、それはほぼ無意味だと分かってきました。そのため、今はアプリ活用や企業の広報担当・または代表が集まる交流会へ積極的に参加しています。
そこで情報交換をしながら、新たなつながりを作ることに時間を使っています。現状、金銭面で大きな投資をしている分野はありません。必要な投資は、これまでにある程度行ってきたためです。
――クライアントとの直接取引を増やしたいと考える理由を教えてください。
直接取引のほうが、クライアントと意思疎通を図りやすいからです。実際に、関西のとある企業様とは、私が個人の放送作家として活動していた頃から深いつながりがあります。
しかし、こちらは過去に築いた人脈による案件獲得であることを自覚しており、今後は、企業と直接取引する案件をさらに増やしていきたいです。
仕事の感性を磨くファッションと日々のインプット
――休日の過ごし方やリフレッシュ方法を教えてください。
ファッションはとても好きです。自分の中で「気分を着る」ような感覚があり、出かける前に好きな服を選んだり、着るだけで気分が少し良くなるからです。特に服を買う予定がなくても仕事帰りに洋服屋さんへ立ち寄ったりすることもあります。
YouTubeを何となく見続ける時間も、自分にとってはひとつのインプットです。「この動画は、なぜ面白いのか」「こちらは、なぜつまらなく感じるのか」と考えながら、自分なりの理論や理屈を増やしています。
また、ジムにも通うようにしています。でも、黙々と筋トレに励むのは自分にはしんどく継続できないため、radikoで芸人さんのラジオを聴きながら体を動かすようにしています。インプットと運動を同時に行うことで充足感が得られ、良いリフレッシュにもなっています。
YouTubeを軸に、企業と地域の魅力を広く届ける
――今後、どのような動画制作に力を入れていきたいですか?
現実的には、YouTube動画を主軸にしていきたいと考えています。特に、飲食店系の動画案件を獲得するため、その分野に強い代理店とのつながりを作っているところです。
理想は、ひとつの企業チャンネル内で投稿するだけではなく、さまざまな飲食店を紹介する大きなチャンネルを設けることです。ですが、飲食だけに限定しているわけではありません。
動画で解決したい課題や、伝えたい思いを持つ企業であれば、業種を問わず携わりたいと考えています。企業が伝えたいことを届け、「この会社で働きたい」「この商品を買いたい」と思ってもらえる着地点を作ることが重要です。
放送作家として20年活動してきたからこそ、まずは見ていて面白いというエンタメ性を大切にしながら、「しっかりと伝わること」「面白いと思ってもらえること」これらを軸にした動画を制作したいと思っています。
――経営するうえで、譲れない考え方は何でしょうか?
変な言い方ですが「”きわめて珍しい存在”になる」ことです。特徴がなければ、数多くの映像制作会社の中に埋もれてしまいます。
「あの人に任せれば、こういう動画を作ってくれる」と期待してもらい、その期待に応えて満足していただく。そのきっかけとなる、オンリーワンのブランディングを作ることが大切だと考えています。またそれを叶えるのが放送作家として得たスキルだと思っています。
――映像を通じて、これから社会にどのような価値を届けていきたいですか?
見る人にエネルギーを与えたいです。また、「東京の動画会社」であることもひとつのブランディングになると考え、今後は地方企業へ積極的にアプローチしたいと思っています。
地方には、まだ広く知られていない伝統や景色など、魅力あるものが数多く眠っていると強く感じます。これまで映像に携わる中で培ってきたスキルを生かし、そうした魅力をより多くの人に届けたいです。
テレビに携わってきた人間としては少し残念なことに、YouTubeやスマホの動画は、視聴者との物理的な距離が近く、内容が伝わりやすい面があると感じます。その力を活用しながら、地方の素晴らしさを広く発信していきたいです。