AIとともに「一人でどこまでできるか」を追求――株式会社Kyohei Worksが描く新しい事業のかたち
株式会社Kyohei Works 代表 福田 京平氏
株式会社Kyohei Worksは、技術顧問や技術相談、AI活用の支援など、福田京平氏が個人事業主として培ってきた活動を基盤に法人化へと進んだ企業です。エンジニアとして10年以上の経験を持つ福田氏は、自身の技術やサービスだけにとらわれず、顧客にとって適した選択肢を届けることを重視しています。法人化の背景や経営に対する考え、今後の展望について伺いました。
目次
個人で培った技術と発信を、次のステージへ
――現在取り組まれている事業の特徴について教えてください。
個人事業主として5年ほど活動しており、技術顧問や技術相談、最近ではAI活用に関する仕事を多く受けています。そのほか、YouTubeなどでエンジニア向けの情報を発信し、人材系企業のイベントへの登壇や、エンジニア向け書籍の執筆依頼をいただくこともあります。
法人化を考えた背景には、メディアへの露出が増え、仕事の依頼も少しずつ増えてきたことがあります。個人に依存した形より、法人のほうがお客様にも安心して依頼していただきやすいのではないかと考え、法人化を決めました。
――事業を行ううえで大切にしている考え方はありますか。
これまで「pdfme」というPDF帳票を作るサービスを、開発者向けのライブラリーとして提供してきました。
ただ、今はAIの進化が非常に速い。自分が持っている手札だけに固執すると、お客様にとって最適なサービスを選べないこともあります。だからこそ、自分のサービスを売ることを優先するのではなく、しっかり話を聞き、その方に一番フィットするものを提案する。それは常に心がけていますね。
AIを活用し、一人で挑戦できる経営へ
――法人化し、経営の道へ進もうと考えた背景を教えてください。
自分自身、普段からAIをかなり活用しています。お客様や取引先に活用方法を情報提供したり、それぞれの環境でどうAIを使っていくかを一緒に考えたりする機会も増えてきました。
そこで感じたのが、AIを使えば一人でもある程度のところまでできる時代になったということです。経営にもAIを取り入れて、「一人でどこまでできるのか」を自分自身で実証してみたい。そう考えたことも、法人化を決断できた理由の一つです。
――経営判断では、どのような考え方を軸にしていますか。
大きな事業を最初からつくるというより、これまで個人でやってきたことを安定させ、お客様にも安心していただくための法人化という位置づけです。
最初から大きく風呂敷を広げようとは考えていません。今の自分にできることをコツコツ積み重ねていく。大きすぎることを語るのではなく、目の前の仕事を着実にやっていくことが今の方針ですね。
技術だけでなく、顧客の業界を理解する
――これからの仕事で、特に重要になることは何だと考えていますか。
自分は10年以上ソフトウェアの業界で仕事をしてきましたが、これからはお客様の業界に関する知識や、実際の業務への理解がより重要になると考えています。
AIを使えば、ある程度コードを書ける時代になりました。技術だけでは今後差別化が難しくなる可能性があります。だからこそ、特定の業界に精通し、お客様が何をしているのか、どこに課題を抱えているのかまで理解することが大事なんです。
――今後、採用についてはどのように考えていますか。
現時点では採用に踏み切る予定はありません。まずはAIを活用しながら、一人でどの程度までできるのかを模索したいと思っています。
AIでできるところまでやってみて、限界を感じた段階で採用したり、誰かにお願いしたりする流れになるのかなと。今はまだ、人を採用する必要はないと判断しています。
中小企業におけるAI活用の成功事例を増やしたい
――今後、特に挑戦していきたいことを教えてください。
一番取り組みたいのは、AIをどう活用していくかという部分です。そこには大きな伸びしろがあると思っています。
AIのセキュリティに関する本を作ったり、Web系のメディアで情報を発信したりする一方、実際の現場でAIを活用する取り組みも進めています。一緒に取り組んでいるクリニックや企業では、自分たちでツールを作り、運用するところまで進んでいる事例もあるんです。
これからは、中小企業の現場でどこまでAIを活用できるのかを追求し、企業自身がAIを業務に生かしていける成功事例や成功パターンを増やしたいですね。
――課題に対して、どのような姿勢で向き合っていきますか。
ある課題に対して最適な回答があるのであれば、それが自分の製品でなくても積極的におすすめしていきたいです。
AI活用やセキュリティ、pdfme など、自分が得意とする領域はあります。ただ、それだけにとらわれず、一社一社のお客様に合わせて最適な提案をしていくことを大事にしています。
発信とオープンソース活動が広げた可能性
――現在、成長のために力を入れていることは何でしょうか。
YouTubeやXでの発信です。自分にとってSNSでの情報発信は、マーケティングでもあり、営業につながる活動でもあります。Xはできるだけ毎日、YouTubeは週1回の動画投稿を続けています。
――これまでの活動で、特にやってよかったと感じることはありますか。
pdfme をオープンソースとして世界に公開したことです。会社への直接的なリターンというより、これまでのエンジニアとしての活動の中で、一番ユーザーに評価してもらえたという感覚があります。
セキュリティやAIについても、自分が持っている知識や作ったものを積極的に表へ出していく。そうした活動を続けてきたことは、本当によかったと思っています。
「公開して還元する」という価値観と、仕事を離れた時間
――影響を受けた人物や出来事について教えてください。
『情熱プログラマー』を書いた「Chad Fowler (チャド・ファウラー)」というプログラマーから影響を受けています。特に、自分が作ったものを公開し、コミュニティに還元するという考え方には強く影響されました。
オープンソース活動だけでなく、技術顧問やコンサルティング、経営に取り組むことにも少なからず影響があると思います。本を書くことや文章で発信することにも挑戦してきましたし、活動のスタイルそのものを参考にしている部分がありますね。
――最後に、休日はどのようにリフレッシュしていますか。
最近はブラジリアン柔術をやっています。始めて8カ月ほどで、週に3〜4回ほど通い、試合にも出ています。以前から運動したほうがいいとは思っていたのですが、なかなか続かなかったんです。
ブラジリアン柔術は技が複雑で、それぞれに解き方があるようなパズル的な面白さがあります。友人に誘われたことがきっかけでしたが、気づけば継続できていました。楽しみながら体を動かせるので、大切なリフレッシュの時間ですね。
AIによってできることが広がる今だからこそ、自分自身でその可能性を試しながら、目の前のお客様にとって本当に必要なものを届ける。その姿勢を大切に、一つひとつ着実に取り組んでいきたいと思っています。