「誰かのために社会を面白くする」――介護業界にイノベーションを生み出す合同会社4Uの挑戦

合同会社4U 代表 蛯沢 渉氏

介護福祉業界に新たな価値を生み出すため、伴走支援や業界活性化に取り組む合同会社4U。「イノベーション」と「誰かのために社会を面白くする」という理念のもと、現場経験を活かした事業を展開しています。本記事では、代表の蛯沢渉氏に、事業への想いや経営哲学、今後の展望について伺いました。

介護業界に新たな価値を生み出す伴走支援

――現在取り組まれている事業について教えてください。

当社は「イノベーション」をミッションに掲げ、介護福祉業界を中心に事業を展開しています。

現在は3つの事業を軸に活動しています。1つ目は、介護施設への伴走支援です。採用支援はあえて行わず、経営戦略や組織づくり、人材定着に向けた環境整備を支援しています。採用だけではなく、定着まで見据えた施設づくりを重視しています。

2つ目は、学生と施設運営者が参加する「ミライカイゴ会議® 」の運営です。ライブディスカッションを通じて、学生と施設運営者が学び合う場を設けています。

3つ目は、全国1,200か所以上の介護施設を訪問してきた経験を活かした表彰プロジェクトです。介護業界に新たな挑戦が生まれるきっかけづくりに取り組んでいます。

――会社の理念やビジョンについてお聞かせください。

当社のミッションは「イノベーション」、そして「誰かのために社会を面白くする」です。

私自身、自分の利益だけを追い求めることに魅力を感じません。それよりも、「この人のために」「この会社のために」「この地域のために」と考えながら行動するほうが力を発揮できるんです。誰かが抱える課題を解決し、その結果として社会が少しでも面白くなる。そんな取り組みを積み重ねていきたいと思っています。

また、「ミライカイゴ会議® 」では、介護福祉に関わる人を増やすことをビジョンに掲げています。再生回数や参加人数といった数字だけを追うのではなく、「介護業界に興味を持った」「思っていた印象と違った」と感じてもらえる機会を増やし、業界に関わる人を一人でも多く増やしていきたいですね。

現場経験が育んだ「誰かのため」の経営哲学

――経営者になられた経緯と、これまでの歩みを教えてください。

もともと独立したいという想いは20代の頃からありました。福祉大学を卒業後、約11年間介護現場で働き、そのうち8年間はマネジメントにも携わるなかで、「この業界には、まだお役に立てることや挑戦できることがある」と感じるようになったんです。それが独立を決意した一番のきっかけでした。

介護施設が抱える課題は1つではありません。これまで培ってきた経験をもとに、経営や組織づくりなど幅広い面から支援したいと考え、会社を立ち上げました。

現在も全国の介護施設を訪問し、現場の声に耳を傾けながら、それぞれの課題に寄り添った支援を続けています。

――経営をする上で大切にしている価値観を教えてください。

最も大切にしているのは、一人のエゴで仕事をしないことです。売り上げや利益を追い求めるのではなく、まずは目の前にある課題をどう解決できるかを考えています。

ただ課題を解決するだけではなく、関わる人が前向きになり、新しい挑戦への一歩を踏み出せるようなきっかけをつくることも大切です。何かが変わるきっかけや面白い仕組みが生まれることで、より良い結果につながると感じています。また、一度きりのお付き合いではなく、信頼関係を築きながら長く伴走していくことも大切にしています。

一人ひとりが主役となる組織づくり

――現在の組織体制について教えてください。

当社には社員はおらず、10~15名ほどのアライアンスメンバーとともに活動しています。プロジェクトごとに必要なメンバーとチームを組み、それぞれが役割を担う体制です。

私自身がすべてを決めて動かす組織にはしたくありません。役割や最低限のルールは決めていますが、大切にしているのは、一人ひとりが自ら考え、行動できる環境をつくることです。

「ミライカイゴ会議® 」も、当初3名で始まり、現在では7名が参加するプロジェクトへと広がりました。当社が主体ではなく、参加する皆さんが主役となれる場づくりを大切にしています。

――コミュニケーションで心がけていることや、一緒に活動する方に求めることを教えてください。

役割は明確にしますが、細かく指示を出すことはありません。定期的なミーティングや報告・連絡といった最低限のルールだけを共有し、一人ひとりが主体的に動ける環境づくりを心がけています。

一緒に活動する方に求めることは3つです。1つ目は、人間性です。約束を守ることや報告・連絡・相談など、当たり前のことをきちんと実践できる方と仕事をしたいと思っています。2つ目は、決めたことを責任を持ってやり切ること。そして3つ目は、自分自身の目標や挑戦したいことを持っていることです。

受け身ではなく、自ら考えて行動できる人が集まることで、新しいアイデアや前向きな議論が生まれ、より良いプロジェクトへとつながっていくと思います。

挑戦する人が増える介護業界を目指して

――今後取り組んでいきたいことについて教えてください。

会社の売上を伸ばすことが最大の目標ではありません。それよりも、介護福祉業界で「こんなことをやってみたい」と思う人が増える環境をつくっていきたいんです。

「ミライカイゴ会議® 」をはじめ、参加する皆さんが主体となって活躍できる場を広げていきたいです。アワードなどの取り組みを通じて、介護業界が前向きに変わるきっかけをこれからも生み出し、一人でも多くの方が業界に関わるきっかけを増やしていきたいですね。

――介護業界の今後をどのように見ていますか。

人口動態や社会保障費の変化を考えると、これからは介護事業者にも、これまで以上に経営力が求められる時代になると思っています。介護保険制度だけに頼るのではなく、新しい事業や収益の柱をつくる視点も欠かせません。

人材を確保しながら事業を続けていくためには、時代の変化に合わせて新しい挑戦を続けていく必要があります。これまでのやり方にとらわれず、新たな価値を生み出す取り組みを広げることで、介護業界がより前向きに発展していく環境をつくっていきたいですね。

家族との時間が育む、仕事への原動力

――仕事以外で大切にしていることや、リフレッシュ方法を教えてください。

私にとって一番大切なのは家族との時間です。保育園の送り迎えや学校行事、子どもの寝かしつけなどにも積極的に関わり、休日だけでなく平日もできるだけ一緒に過ごすようにしています。

「時間を捻出する」のではなく、「時間をつくる」という感覚ですね。短い時間でも家族と向き合い、仕事も遊びも、今を全力で楽しむことを大切にしています。 子どもを仕事場へ連れて行くこともあり、仕事と家庭を切り離すのではなく、日常の中でさまざまな経験を共有したいと思っています。

そうした時間を大切にしながら、介護福祉業界に関わる人が少しでも増え、「この業界で挑戦してみたい」と思える環境をつくっていきたいですね。

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