株式会社ウィル 代表取締役 馬場 真紀子 氏
カレーの力を人々の健康と幸せ、そして社会課題の解決に活かしたいと決意した馬場氏。氏はビーガン、ハラル、無添加、8大アレルゲン対応といった健康に特化した冷凍カレーの製造・販売を行っています。体調不良をきっかけに創業を決意し、「食」の力で世界を変えようと挑戦し続けている馬場氏に、事業の特徴、組織運営、そして今後のビジョンについて伺いました。
健康に特化した冷凍カレーを届ける
――御社の事業内容について教えてください。
当社では冷凍カレーの製造・販売を行っています。中でもビーガン対応、8大アレルゲン対応、無添加、加えて最近ではハラル認証(イスラーム教で禁じられるものが製品やサービスに含まれていないことを客観的な証拠をもって認証する制度)も取得するなど、「健康にいい」をコンセプトとしたカレーを製造しています。また食料不足という社会課題にも目を向け、コオロギカレーのような昆虫食の取り組みも行っており、大阪万博ではレストランとして出展もしています。
――事業の強みはどのような点にありますか。
ビーガン食品において他社製品で課題とされる「味の物足りなさ」を解消し、「おいしさ」で勝負できるカレーを製造している点です。展示会等でのフィードバックを通じ、「おいしさ」を追求した製品づくりを心がけています。そして何より大切にしている価値観は、やはり「健康」というキーワードです。日本だけでなく世界共通の価値観として、ビーガンやハラル対応といった安心安全な健康食品のコンセプトをもって製造に取り組んでいます。
世界を目指し製造業へ転換
――創業の経緯を教えてください。
もともと飲食店で勤務していたのですが、子育てと仕事の忙しさから体調を崩したことがありました。その際、カレーを食べて元気になったんですよね、成分を調べてみると、野菜がベースで余分なものが入っておらず、体にいい複数のスパイスで作られていることがわかり、カレーの健康への良さに気づきました。
――製造業へ移行されたきっかけは何だったのでしょうか。
それ以来、「健康にいいカレー」という食品を世の中に広めたいという思いがずっとあったのですが、飲食店では地域の方にしか提供することができません。しかし製造業であれば、全国や世界の方にも届けられる。そのようなことを考えていたちょうどその時、コロナ禍があり、飲食店が打撃を受けました。そんな中で「自分にできることはないか」と考えた結果、製造業へ移行し会社を立ち上げることを決意しました。
本当の家族のような組織を
――組織運営で意識されていることは何でしょうか。
目標を持ってもらうことです。一人ひとりの従業員と対話し、今何がやりたいのか、将来どんな夢があるのかを相談する。その上で、日々どのような努力をしていくかをカスタマイズしていくのです。対面で日取りを決めていざ話しましょうとするとやっぱり身構えてしまうので、なるべく日々の仕事の中で、そういった悩みや思いを引き出せるよう会話の中で意識的に気を配っています。
――社内文化について教えてください。
前向きな行動力、つまり「まずはやってみること」を重視しています。自分の能力を最初から決めてしまっては先が見えません。ですから、能力とはどんどん向上していくものだと捉え、そのスタートとしてまずは挑戦してみることを重要視しています。また、従業員一人ひとりが「本当の家族のようなファミリー」だと感じられるような、温かい雰囲気づくりを意識しています。
「正しいこと」を貫く経営哲学とグローバル展開
――経営をしていく上での指針はありますか。
経営においては「正しいことを行う」という信念を大切にしています。冷静に「何が一番正しいのか」を考え、社会から見てその判断が正しいのかどうかという判断基準をしっかり持つこと。私は京セラの会長だった稲盛和夫氏を尊敬しているのですが、氏の言っているように、何よりも経営理念を大切にしていきたいと考えています。
――今後の展望を教えてください。
現在は国内販売をメインとしつつも、海外展開に向けて本格的に動き出しています。ビーガンやハラル対応を強みに、アジアから始まり、アメリカやヨーロッパなどへも日本の美味しいカレーを輸出するグローバル企業になっていきたいです。そのためにも、現在は冷凍製品がメインですが、レトルト製品の製造に着手することを検討しています。また、「カレーミュージアム」のような体験型施設を作り、家族でカレーを作る楽しさを提供したりと、皆さんと触れ合える場も持てればと考えています。

