株式会社SVは、建築現場向けの専門配送を中心に事業を展開する若い組織です。一般的な宅配とは異なり、建築機材や電動工具など、現場に欠かせないリース機材の配送を行い、東京都内を広くカバーするチームへと成長してきました。20代を中心とした若いメンバーのフットワークと、代表・木村竜馬氏の“助け合い”を軸にした組織づくりが強みです。本記事では、事業の現在地、木村氏のキャリア、組織運営の工夫、今後の展望、そしてプライベートの過ごし方について伺いました。
目次
建築専門の配送で、若い力が活躍する新しい運送の形
現在の事業内容と、その特徴について教えてください。
当社は、建築現場向けの専門配送を中心に事業を展開しています。一般的な宅配とは異なり、発電機や生コン打設用の機械、ランマー・プレートといった道路工事用の機材まで、建設に必要なリース機材を現場へ届ける仕事がメインです。軽車両に積載できる範囲であれば、電動工具から比較的重量のある機材まで幅広く対応しています。この分野は専門性が高く、一定のスキルや現場理解が求められるため、業界の中でも安定した需要があります。また、当社は20代中心の若いチームで構成されており、フットワークの軽さと柔軟な対応力を強みに事業を拡大してきました。
建築配送に特化した理由を教えてください。
企業と企業を結び、必要なモノを適切な場所へ届ける「企業配送」に魅力を感じたことが背景にあります。以前は工具メーカーの企業配送を担当しており、その際にさまざまな建設会社と接点が生まれました。その中で、「建築現場専門の配送」というニッチながらも需要の高い分野を知り、この領域でなら企業同士の橋渡しができると確信したことがきっかけです。そこから自ら営業をかけ、現在の配送案件へつながっていきました。
現在の事業拡大状況について教えてください。
創業当初は一つの営業所からスタートしましたが、現在は東京都内をほぼ全域カバーできるまでに事業が成長しています。建築現場の特色として、一度信頼を得ると長期間にわたって依頼が続くケースが多く、安定した取引へつながる点が大きな強みです。さらに、横浜・埼玉・千葉といった近隣エリアでも依頼が増え始めており、徐々に対応範囲を広げています。決まった業者が長く担うことが一般的な業界ですが、その中で当社が新たな選択肢として評価いただける機会が増えていることは、大きな励みになっています。
キャリアと独立の背景 ― 現場経験が導いた新しい働き方への挑戦
これまでのキャリアについて教えてください。
元々配送を始めたのが企業配送でした。企業と企業を結び、必要なモノを適切な場所へ届けるそんな「企業配送」に魅力を感じたことが背景にあります。前職が建築関係だったこともあり、機材のリース配送に興味を持ちました。「建築現場専門の配送」というニッチながらも需要の高い分野を知り、この領域でなら企業同士の橋渡しができると確信したことがきっかけです。そこから自ら営業をかけ、現在の配送案件へつながっていきました。
経営者として独立することになったきっかけを教えてください。
配送の仕事を始めて半年経たない頃、エリアをまとめるリーダー的な役割を任されるようになりました。チームで現場を回していく中で、「このエリアをそのまま会社として運営してはどうか」という話が持ち上がったんです。私自身も任された地域で責任を持って働く感覚が強くなっていたこと、そして周りのメンバーが「一緒にやりたい」と言ってくれたことが後押しになり、独立を決意しました。
また、業界全体を見ると、本来はしっかり収入につながるはずの仕事にもかかわらず、働く人が十分に報われないケースが多いと感じていました。少しでも自分の周りの人たちが納得できる環境で働けるようにしたい、という思いも独立の大きな理由です。
経営者になって感じたギャップや、大切にしていることはありますか?
想像以上に大変だと感じたのは「定着してもらうこと」です。建築現場への配送は、引き継ぎ期間や現場の雰囲気、運転時間の長さなど、慣れるまでに越えなければならない壁が多く、人によってはギャップを感じてしまうことがあります。若い方だけでなく40〜50代の方まで幅広い年齢層が応募されますが、初期の段階で辞めてしまう人も少なくありません
だからこそ、できる限り丁寧に仕事内容を伝えたり、車両についても「長く続けるなら自分の車を持った方が良いですよ」と正直にアドバイスしたりと、働く側の立場に寄り添う姿勢を大切にしています。会社としてのルールは守りつつ、一人ひとりが続けやすい環境をつくることが、自分にできる大切な役割だと感じています。
助け合いを軸にした“続けられる環境”を目指して
日々の業務の中で、大切にしている姿勢やこだわりはありますか?
この業界に入って感じたのは、「自分の仕事だけを淡々とこなす」という方が多いことでした。もちろん、それが悪いわけではありませんが、私はせっかく同じ現場で働く仲間がいるなら、もっと助け合える環境にしたいと思っています。営業所で顔を合わせたときには声をかけ合ったり、困っている人がいれば手伝ったり、チームとして動ける関係をつくることを意識しています。みんなで協力し合える現場の方が、結果として仕事の質も働きやすさも良くなっていくと感じています。
社員や業務委託ドライバーとのコミュニケーションで工夫していることはありますか?
配送は個々で動く時間が長く、1週間顔を合わせないことも珍しくありません。そのため、常に連絡を取り合えるようにグループLINEを活用しています。日常の情報共有はもちろん、トラブルや困りごとがあったときにもすぐに相談できる場があることで、安心して働ける環境をつくれています。また、業務の特性上、運転時間が長い仕事なので、全員が揃うタイミングは多くありませんが、大型連休の前など、みんなが落ち着いて集まれるときに食事会を開くこともあります。無理なく自然なコミュニケーションが取れることが大事だと思っています。
組織運営の面で感じている課題や、今後さらに改善したい点はありますか?
創業して3年が経ちましたが、人が定着する環境づくりは、今も継続して取り組んでいるテーマです。建築現場への配送は専門性が高く、引き継ぎや現場の雰囲気、運転時間など、最初の段階で慣れるまでに少し時間が必要です。そのため、仕事内容のギャップで辞めてしまう方も一定数います。そうしたミスマッチを減らすためにも、面接や引き継ぎの段階でできるだけ正確に業務内容を伝え、働く人が続けやすいようサポートすることを心がけています。
土日は少人数で回しているため、基本的には全員が休める体制を取っていますが、他社から急な依頼があれば協力するなど、柔軟に対応しています。今後も「続けやすい」「相談しやすい」環境づくりを進めながら、働く人が安心して現場に立てる組織づくりを目指していきたいと思っています。
自社完結型への進化と、人員体制の拡大を目指して
今後の事業展開について、どのようなビジョンを描いていますか?
まず目指しているのは、「自社で倉庫を持ち、自社完結型の配送体制を作ること」です。現在はリース会社から機材を受け取り、現場に届ける形ですが、将来的には当社が在庫を預かり、そこから各現場へ出荷できる仕組みを整えたいと考えています。それが実現すると、現場への対応力も上がりますし、取引先の選択肢も増えるので、会社としての強みが大きくなると感じています。
具体的に、どのような形を理想としているのでしょうか?
利用運送という形で、自社が荷物を管理し、必要に応じて他の運送会社に委託して配送してもらう仕組みを整えたいです。現在は“取りに行く”側の仕事が中心ですが、将来的には“取りに来てもらう”側にも回れるような、2軸の運営を目標にしています。もちろん自社での配送も続けながら、案件によって柔軟に動ける体制にすることで、顧客からの依頼により幅広く応えられるようになります。その準備として、人員体制や車両数の拡充を図っていきたいと考えています。
人員体制については、今後どのように考えていらっしゃいますか?
現在は委託を含めて13名ほどの体制ですが、5期目が終わる頃には30名くらいの規模にしたいと考えています。ありがたいことに案件のお話は多くいただいていますが、今は人手が足りず、お受けできないケースもあります。仕事自体は途切れることなく続く見込みがあり、今後も安定して依頼をいただける状況なので、まずは採用を強化し、車両を増やし、今ある依頼にしっかり応えられるチームづくりを進めたいと思っています。
「雇って、育てて、定着してもらう」。このサイクルを安定させることで、将来の自社倉庫の運用や在庫管理、利用運送への展開にもつなげていけると考えています。
“好き”を楽しむことで気持ちを整える
経営以外で、現在没頭している趣味はありますか?
今一番ハマっているのはダーツです。仕事終わりや時間が空いたときにダーツバーへ行くこともありますし、最近は自宅にも本格的なダーツボードを購入して、気分転換を兼ねて楽しんでいます。やってみると意外と奥が深く、集中力や気持ちの切り替えにもつながるため、自然と続けられています。
どのくらいの頻度で楽しんでいるのでしょうか?
忙しい時期は行けない日もありますが、週に1回程度が目安です。会社のメンバーと一緒に行くこともあれば、一人でふらっと練習することもあります。誰と行くかに関係なく気軽に楽しめるところが気に入っています。
趣味が仕事に良い影響を与えることはありますか?
ダーツは集中力や冷静さが求められるため、判断力が必要な仕事にも良い影響があると感じています。また、気持ちの余裕を取り戻すきっかけにもなり、翌日を前向きに迎えられます。
これからも、仕事と趣味のバランスを大切にしながら、良い状態で経営を続けていきたいと考えています。

