CHINZEI合同会社 代表取締役/撮影監督 古賀芳彦氏
CHINZEI(チンゼイ)は、福岡と東京を拠点に活動する映像クリエイティブチームです。
映画・ドラマ・CM・ミュージックビデオなど幅広い映像制作を手がけ、企画から撮影、編集までを一貫して行える体制を強みにしています。九州発のチームとして、国内外のクリエイターと連携しながら、ボーダーを超えた映像表現に挑戦を続けてきました。
本記事では、代表の古賀氏に、チーム設立の背景や経営に込めた思い、そしてこれからの展望について伺いました。
福岡から発信する映像制作チームとして
――現在の事業内容とチームの特徴について教えてください。
当社は、映画やドラマ、ミュージックビデオ、広告映像など、ジャンルを問わず幅広い制作を行う映像チームです。
現在は4名のメンバーで構成されており、全員がもともと映画制作を志して集まった仲間です。映画だけで生計を立てるのは難しい現実もありますが、広告や行政案件なども手がけながら、作品づくりに取り組んでいます。
福岡を拠点にしながらも、全国・海外からの撮影依頼が増えており、チームとして10年、法人化してからは4年ほど経ちました。
――地方拠点で活動する中で、どのような課題や可能性を感じていますか。
「高品質な映像=東京」という意識が根強く、九州での撮影も東京のチームが請け負うことが多いのが現状です。
けれど、福岡にも高いスキルを持つ技術者がたくさんいます。
実際、現地チームで完結した方がコストや効率の面でも優れている。そうした“地方発の制作力”を示していくことが、私たちの挑戦だと感じています。
法人化のきっかけと経営への転換
――法人化を決めた経緯を教えてください。
以前はフリーランスの集まりでしたが、広告代理店から「この規模の案件は法人でないと依頼できない」と言われたのがきっかけです。
大きなプロジェクトを受けるためには法人化が必要でした。
2021年に会社としての形を整え、現在は個々が業務提携という形でチームとして動いています。
――経営者になって意識が変わった部分はありますか。
「自分たちの映像を押し付けないこと」を心がけています。広告や企業案件では、クライアントが伝えたい本質を汲み取ることが何より大切です。
以前は機材や撮影手法にこだわりが強かったのですが、今ではスマートフォン撮影など柔軟なスタイルにも対応しています。相手の意図を理解し、最適な表現を探る姿勢を意識しています。
クライアントに寄り添う“誠実なクリエイティブ”
――印象に残っているプロジェクトを教えてください。
印象的だったのは、昨年担当したMr.Children「miss you Live」のステージ映像です。
商業映画の実績をきっかけに紹介を受け、偶然のご縁で参加することになりました。
完成した映像が海外の賞を受賞し、地方にいながらも評価を得られたことが大きな励みになりました。福岡の現場からでも全国へ発信できるという自信を持てた仕事です。
チームと次世代をつなぐ挑戦
――メンバーとの関わりで意識していることはありますか。
当チームは、撮影、ディレクション、CG・VFX、制作進行など、メンバーそれぞれが専門分野を持っています。ただの仲間ではなく、個々が自分の顧客を持ち、自立したプロとして関わっているのが特徴です。
案件の規模に応じてチームを組み替えるなど、柔軟なスタイルを大切にしています。さらに、法人として経費や契約を一本化し、創作に集中できる環境づくりも重視しています。
――若手クリエイターとの協働にも積極的だそうですね。
近年はTikTokや縦動画など、新しい映像表現が求められています。若いクリエイターはその感覚を自然に持っているので、一緒に制作を進めることで学び合える部分も多いです。
彼らが現場で経験を積み、地域全体の力が高まっていくような関わり方を目指しています。
挑戦を続ける原動力
――影響を受けた人物や、仕事に通じる価値観について教えてください。
東京で音楽映像を手がけていた先輩との出会いが、自分の考え方を変える大きなきっかけになりました。
また、80歳を超えても第一線で活躍する監督、カメラマンの姿にも強く刺激を受けます。年齢や肩書きに関係なく、作品そのものが評価されるこの業界の魅力を実感しています。
――仕事以外でのリフレッシュ方法はありますか。
学生時代から続けている音楽と、趣味のダイビングです。海に潜ると気持ちが整い、新しいアイデアが浮かぶこともあります。あとは映画鑑賞です。これは仕事にもつながる部分がありますので、できるだけ多くの作品を見るようにしています。
音楽も映像も「調和」と「積み重ね」が大切な世界。日々のリズムを大切にしながら、これからも新しい挑戦を続けていきたいと思っています。

