株式会社アシオス 代表取締役CEO 木原 隆人 氏
大手会社でコンサルティングに携わった後、企業の「自立」を促すべく創業を果たした木原氏。学習塾運営とマネージャー教育を事業のメインに据え、「全世代と繋がる」コミュニティづくりに挑む同氏に、事業の軸と今後の展望について伺いました。
成長を促すための教育事業
――御社の事業内容を教えてください。
現在会社として最も注力しているのは教育事業です。大きく二つの方向性で展開しており、まず学習塾事業では小中高生を対象に、個別指導の学習塾を運営しています。もう一つのマネージャー教育事業では、公務員や企業の中間管理職層を中心としたマネジメント教育を手がけています。学習塾で培ったノウハウをマネージャー教育に、マネージャー教育の知見を子供たちの個別指導に活かすといった形で、相互に関連づけながら事業を進めています。
――元々はコンサルティングを主軸にしていたと伺いましたが、事業領域を移された背景は何でしょうか。
以前コンサルティングの会社に勤めていたのですが、その頃から外部の私がサポートして事業を成功させるよりも、「クライアントがノウハウを吸収して実装できる状態にする」という考え方を持っていました。また私自身の子どもを見ていて、従来の学習塾では適切な指導ができていないと感じることが多かったんですね。コンサルティングと学習塾、どちらも「教育」という共通のテーマで、クライアントや子どもたちの成長を促すものです。この二つを合わせ「教育」をドメインとして会社を育てていくことが、自分が本当にやりたい方向性だと確信し、教育事業を本格化しました。
全世代の人が繋がれるコミュニティ型の組織
――創業の経緯を教えてください。
前述の通り、元々大手企業でマーケティングなどのコンサルタントをしていたのですが、ビジネスの進め方に納得がいかなかったというのが大きな動機です。お金をもらい続けるために、全てを与えずに「生かさず殺さず」のようなことをしていると感じたんですね。それで、自分自身で健全で正しい会社を作らなければならない、「必要なことを的確にやって、必要なものは全て与えてしまう」ことでクライアントが成長するような事業をしたい、という思いから、創業をしてスタートするに至りました。
――仕事をする上で目標としていることについてお聞かせください。
会社を「ハブ」にして、とにかく「繋がる」ことをしたいと常に思っています。子どもや若い方、30代、そして私と同じ50代やそれ以上の世代まで、業務委託やパートナーといった形で関わり合い、コミュニティを広げながら事業を大きくしていくのが私の目指しているところです。例えば塾事業では、大学生は講師として、子どもは生徒として、親御さんは相談相手として、同世代の方々は業務のお手伝いとして関わってもらえます。このように、最終的には社員数に対して協力者が何倍もいる、そういったコミュニティ型の組織を目指したいと思っています。
若手が働きやすい未来を作ること
――組織運営で工夫されている点はありますか。
メンバーの主体性やモチベーションを引き出すために、継続的な対話として1on1を月に2〜3回は持つように心がけていたり、意見の吸い上げをするために匿名で要望ややりたいこと、会社に対する考えなどを書いてもらう仕組みを作ったりしています。特に若い方はなかなか自分から発信しない部分があるので、こちらから察知するのが自分の役目だと考えています。
――組織マネジメントについてどのような考えをお持ちでしょうか。
現在、自治体の管理職を対象に若手育成のためのマネジメント教育をサポートさせていただいているのですが、若手にとって働きやすい環境を作ることは全国的に必須であると考えています。管理職にある年代の方々が若手に対して誤った対応をしている部分を修正していくこと。これは組織の衰退を防ぎ、将来を築いていく上でやるべきことだと考えています。
スケールを意識して事業を拡大
――今後の事業展開についてお聞かせください。
塾事業をスタートとして、複数の駅に拠点を増やしていきたいと考えています。その一環として「繋がり」を作るために、塾のそばに飲食店など別の形で集まれる場所を作ることを計画中です。これによって生徒や親御さんが集まれるだけでなく、私の同世代の方々が業務を通じてコミュニティに参加できる場にもなります。コミュニティの場を増やし、地元に根ざしたグループとして認知を広げていくことを構想しています。
――計画に対し、現在直面している課題はありますか。
今まで「スケール」という概念を深く考えてこなかったのですが、今回の教育事業は社会的に重要なテーマであり、スケールさせることを視野に入れています。その点で、スケールさせるという概念に対する自分のノウハウやイメージがまだ確立していないことが課題です。まずは目の前のことをしっかりとやり、スケールに向けたノウハウを得ていきたいと思っています。

