小さな組織だからこそできる機動力と寄り添う広報支援──「心が整ってこそ、良い仕事ができる」働き方を広げていく

株式会社グラヴィティPR 代表取締役 山田佳奈恵氏

企業や自治体の広報・PR支援を行う株式会社グラヴィティPR。代表の山田佳奈恵氏は、1人で立ち上げた事業を仲間とともに少しずつ広げながら、「働く人が心身ともに健やかであること」を大切にし続けている。広報の醍醐味、組織づくりへの想い、そしてこれから挑戦したい未来についてお話を伺った。

会社の現状と広報PRへの向き合い方

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

法人や自治体の広報・PR支援を中心に、プレスリリース配信やメディア露出のサポート、広報担当者のスキルアップコンサルティング、研修など広報全般を支援しています。小規模な会社だからこそ、大手には難しいスピード感のある対応や柔軟なサポートが強みです。

広報と広告の違いについて混同されることも多いですが、私たちはどちらかに偏るのではなく、企業の目的に合わせて両方を組み合わせ、最適な認知拡大に貢献することを大切にしています。

経営者としての原点:挫折から生まれた「無理をしない」働き方

――経営者になられた経緯を教えてください。

実は、昔からフリーランスになりたいとか、経営者になりたいという明確な夢があったわけではありません。前職の農林漁業金融公庫(現:株式会社日本政策金融公庫)時代は広報の仕事が本当に楽しかったのですが、体調を崩し、最後はうつと診断されて退職せざるを得なくなりました。その後、転職した会社でも心無い嫌がらせに遭うなど、ネガティブな経験が続いたことが、独立の大きな動機です。

当時から取材や執筆などの仕事はPC一つで可能だと感じていました。自分の心と体をボロボロにしてまで働く意味はないという思いから、30歳を区切りに個人事業主として独立。心身ともに無理のない働き方にシフトし、その後成り行きで法人化しました。なので、当初は「法人化したらこんな夢を」といった高い目標意識があったわけではなく、むしろ「その時の自分ができる範囲でマイペースに仕事をしよう」としか思っていませんでした。

――ご自身のキャリアで大切にされていること、特に印象的だった変化についてお聞かせください。

一番は「大きく無理をしない」ことです。私は22歳で入社した会社で定年まで働くつもりでしたが、病気でそのキャリアが一度崩れてしまいました。その経験から、仕事をする上で、自分の心と体が健康でいることが何よりも大切だと痛感しました。

現在も、私を含め、社員は小さな子どもを持つ母親が中心ですので、プライベートを犠牲にする働き方はしていません。無理なく長く、生産性高く働ける環境を最優先にすることで、皆が気持ちよく仕事に取り組めるようにしています。

小さな組織だからこそできる運営と仲間との関係性

――社員や業務委託スタッフの方々との関係で大切にしていることはありますか。

現在、正社員2名、数名の業務委託スタッフとともに仕事をしています。皆子育て中の女性で、家庭と仕事のバランスを大切にしたいという価値観が共通しています。

無理をさせないことを第一に考え、「ココロ充電休暇制度」をスタートしました。推し活・スポーツ観戦・ご自愛などを目的に、有給とは別に年3日の休暇を付与し、取得ごとに5,000円の手当を支給する制度です。

広報の仕事はまれに土日や夜間に急な対応が発生することもありますが、頑張った分はしっかり休んで整える。そんな循環を大切にしています。

未来の展望と挑戦したいこと

――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。

現在、グローバルで数万人規模の大手企業から社員数名の中小企業まで、幅広いクライアントの広報支援を行っています。規模や業種が違っても、⽬指すゴールはいつもひとつ。クライアントの皆様が描く未来を一緒に実現するために、二人三脚で伴走し、「結果にしっかりと結びつくPR」を追求していくことが、一番大切な使命だと考えています。

そして今後は、そこで培った知見をより多くの企業の成長に繋げるため、これまで1人では踏み出せなかった新しいチャレンジにも挑んでいく予定です。
こうした取り組みを通じて、「広報PRの力」がもっと社会の前向きな動きに直結していく未来を創りたいと思っています。

2025年10月に初の正社員を迎え入れたことで、グラヴィティPRは確実に次のステージへ進みつつあります。 仲間と共に、より大きな価値を世の中に届けられるよう、これからも挑戦し続けたいですね。

仕事を支えるプライベートとリフレッシュ

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

趣味はソフトテニスとバレーボール観戦です。特にサントリーサンバーズ大阪を高校生の頃から20年以上応援しており、これが「推し活休暇」を作るきっかけにもなりました。

また、30代後半で20年ぶりに再開したソフトテニスは、単に楽しむだけでなく、大会で勝てば嬉しく負ければ悔しいという、仕事の現場では味わえない感情を味わえる大切な時間です。所属チームの仲間は私の仕事をほとんど知らず、仕事と完全に切り離すことが心のリセットになっています。

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