衛生を支えた半世紀から未来の防除産業へ踏み出す挑戦

コクエイ消毒有限会社 代表取締役社長 長野雄樹氏

コクエイ消毒有限会社は、大分県玖珠町里山でたった一人で始めた害虫駆除の仕事からその歴史が始まりました。衛生環境も不十分な場所が多く、蚊やハエによる伝染病で命を落とす人もいた当時「少しでも、この国の衛生環境を良くしたい」という熱い想いを込められ、国衛…コクエイと名付けられました。本記事では50年という節目を迎え、次の100年へ向けてスタートを切った代表の長野氏の声から、次なる展望を探っていきます。

暮らしに寄り添う防除力

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

弊社は昭和、平成、そして令和…いつの時代も害虫・害獣防除のエキスパートとして皆様の暮らしに寄り添い、地域社会の衛生環境の維持向上に努めてまいりました。

現在は、飲食店や一般住宅の害虫防除の仕事を請け負っています。

――業界内での強みはどのような点にありますか。

当社は小さな会社である分、お客様に小回りが利くサービス提供を行っております。蜂などの危険生物の駆除は、お客様の命に関わる場合もあるため、他社よりも一刻も早く駆けつけられるよう、バックアップ体制を整備しています。DXにより社内業務、作業効率の向上を図り、緊急性の高いお客様からのご依頼にも即日対応が実現しつつあります。

近年では、大分県で唯一“日本ペストコントロール優良事業所”の認定を受けています。

継ぐ決意と試練の日々

――経営者になられた経緯を教えてください。

父親が創業者ですので小さい頃からこの業界や仕事には理解があったんですが、継ぐことは考えておりませんでした。学生時代は大阪の専門学校へ行きましたが、ほぼほぼ学校には行かずバイトばかりで職を転々としていました。
とはいえ、長男なのでいずれは継ぐであろうと思い、同業の大手企業で働きました。しかし、売上を上げることが目的でお客様のために仕事をしていないと感じ、自分には合わないなと思っていたところ父が体調を崩したから帰ってこい、ということもあり21歳の時、大阪から戻ってきました。

そしてその6年後、27の時に父が引退となり社長に就任しました。

――社長に就任された当初、苦労されたことはありましたか?

若くして社長になったことで、私自身も気負っていた部分がありました。一方で、父の時代から勤めていた従業員もそのまま在籍していたため、体制の変化に戸惑いがあったのだと思います。その結果、引き継いだ当時に在籍していたのが4人でしたが1人、また1人と辞めていき、最終的には従業員が0になりました。その時が一番辛かったですね。

――仕事をする上で大切にしている価値観は何でしょうか。

経営理念の一つである「全従業員の物心両面の幸福追求」というのは一番大事にしているところです。

従業員がいなくなり、私一人でやってるときに従業員さんの大切さを感じました。従業員さんとその家族を養っていくというのは自分の使命だと考えています。

地域と業界課題に挑む未来像

――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。

この業界はニッチな産業で、夜間の作業だったりブラックなところが多いので、業界のイメージを変えたい!という思いはありますね。

あとはお客様の見えないところで、縁の下の力持ちとして地域の人たちの命を守る大事な仕事をしているので、皆さんからの認知を上げていく仕組み作りをしていきたいです。

将来的には、害虫駆除の専門学校を設立し、技術・働き方・考え方を学べる場をつくりたいと考えています。

また海外への支店展開も視野に入れています。当業界は薬剤の規制や各国の法制度に左右されるところがあります。国内外の人材が習得した技術を自国に持ち帰り、現地で事業を立ち上げられるような仕組みを整えたいという思いもあります。国によっては蚊が原因で命を落とす方も少なくありません。そうした人々を救える人材を育成する学校をつくり、貢献できればと思っています。

さらに、ここ大分県玖珠町というのはイノシシや鹿の被害が全国的に高いところで、その対応として駆除した肉を加工・販売・料理して、地元の産業として人を呼べるような施設にしていきたいと考えています。

私たちは地域のお困りごとを解消できるような会社でありたいなと思っています。

子どもとの野球が癒し時間

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

趣味はそんなにはないのですが、今、中学生の子どもが野球してるのでもうほぼほぼ子どもの野球で保護者として使われているといいますか、審判をしています。元々私も野球をやっていたので、走ったりすることで体は疲れますけど良いリフレッシュにはなりますね。

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