時代の流れを読み、他がやってないことをやる――高品質フライパンを海外へ

石川鋳造株式会社 代表取締役社長 石川 鋼逸 氏

創業以来、鋳物製造を主軸とし、産業機械部品や自動車部品などを手掛けてきた老舗企業の4代目である石川氏。同氏は、大学卒業後に高校野球の指導者を経て家業に入るという異色の経歴を持ちます。景気の波に左右されない安定した経営を目指し、未来に向けたメイド・イン・ジャパンの技術の海外展開を構想する同氏に、独自の経営哲学と事業展望について伺いました。

「無塗装」のフライパンを製造・販売

――御社の事業内容を教えてください。

当社は主に鋳物製品の製造販売を行っています。鋳物とは、熱に強く頑丈で、熱伝導と蓄熱性が高い特性を持つ金属製品のことです。主な用途は、水道管や重機・ロボットなどの産業機械部品になります。また、この鋳物の特性を活かし、家庭用調理器具のフライパンを開発・販売しています。

――事業や製品の強みはどこにありますか。

フライパン事業における最大の強みは「無塗装」であることです。一般的なフライパンは軽くて使いやすく、コーティングされていますが、これは剥がれるたびに買い替える必要があり、SDGsの観点から見て地球環境を考える世界の流れに逆行しています。一方当社では鋳物を非常にきれいに製造できる技術を持っているため、一切コーティングや塗装を必要としないフライパンを製造できます。現在、市場に出回っている鋳物フライパンの多くがコーティングされている中で、無塗装で提供できる点が他社との大きな技術的差異であると自負しています。

他がやっていないことをやる

――経営の道に進まれた経緯を教えてください。

当社は私で4代目になりますが、幼少期からいずれ家業を継ぐことになるだろうという意識はありました。ただ、父(現会長)との約束で「30歳までは好きなことをしていい」と言われていたため、大学で教員免許を取得し、卒業後は高校で教員として教鞭をとりながら、高校野球の指導をしていました。30歳を迎えた頃に会社に入り、今で23年ほど経ちます。

――高校野球の指導の経験は、今の経営につながっていますか。

私の経営スタイルは、野球の監督経験に基づいています。私が指導していたのは弱小チームだったのですが、そのチームを甲子園に導くためには「他がやっていないこと」をやるしかありませんでした。そのため、独自の戦術やチームづくりを徹底して行いました。この哲学は今でも会社の経営に活かされており、世の中の流れを読み、誰もやっていない「世の中にないもの」を作り出すことを経営の主軸としています。

目標設定をし、失敗を次に活かす

――組織運営で意識されていることは何でしょうか。

基本的には野球と同じで、「常に考えながら目標設定をする」ことを徹底しています。失敗を恐れて思い切ったチャレンジをしないのはもったいないので、「何でもいろいろチャレンジをしましょう」と伝えています。一方、失敗は一回で学びに変え、次に繋げてほしいとも指導しています。

――人材採用に関する独自の取り組みはありますか。

当社がある三河地方はトヨタ関連企業が多く、採用が非常に厳しいという課題があります。そこで4月から地元の相場に比べて、初任給を約20%引き上げるという取り組みをしました。もちろんそれに伴い既存社員の給与も上げています。加えて、外部の媒体に頼るだけでなく、社員の紹介制度を導入しました。紹介した社員には成功報酬を渡し、定着率の向上や社内への還元になるという仕組みです。その結果、人がいないと頭を抱える鋳物業界において、今年度で4名の社員が増加しました。

世の中にない新製品を生み出す

――主軸商品であるフライパンの開発に至った経緯を教えてください。

昭和40年代から自動車部品を溶かすための溶解炉を自社製品として販売し、自動車産業の成長とともに業績を伸ばしてきました。しかし、ハイブリッド車や電気自動車への移行に伴って従来の部品需要が減少し、溶解炉の売上もピーク時から4割ほど減少しています。さらにリーマンショックなどの経験から、自動車産業など景気に左右されやすい事業に頼らず、自力で売れる自社製品を持つ必要性を痛感しました。そこで、鋳物の「熱伝導の良さ」と「蓄熱性の高さ」という強みを活かし、市場にない高品質なフライパンを開発することを決めました。

――今後の展望についてお聞かせください。

今後も弊社の高い鋳物技術を活かし、皆さんの生活を豊かにしたり、喜んでいただけるような「世の中にない」新製品を生み出し、展開していきたいと考えています。また、現在国内のみで販売しているフライパンを、海外にも輸出していくことを構想しています。特に親日国家である台湾や、肉を多く食べるアメリカ、オーストラリアといった国々をターゲットに考えています。

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