“広報は企業のステージを上げる仕事”。現場主義で伴走する広報内製化支援のプロが語る、企業成長の鍵

株式会社Wo-one 代表取締役 犬飼奈津子氏

百貨店業界で圧倒的な広報実績を築き上げ、累計1万件超の取材対応、バレンタイン催事「アムール・デュ・ショコラ」が国内有数イベントへと成長していく過程を広報として長年支えてきた犬飼奈津子氏。2023年に独立し、企業の広報内製化支援を手がける株式会社Wo-oneを設立した。「広報は、企業のステージを上げ、社会との信頼を育てる仕事」。その強い信念の背景には、現場での膨大な経験と、母としての葛藤、そして“信じる力”の存在があった。犬飼氏の歩みと組織観、そしてこれからの展望を伺う。

現場で培った“圧倒的な経験”が企業の広報を変える

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

当社では「広報内製化支援」をメイン事業としています。PR会社が代行するのではなく、企業内の広報担当者が自ら考え、動き、会社を成長させる力をつけることが目的です。広報は専門性が高いがゆえに「自社で行うのが難しい」と思われがちですが、会社への深い理解や思いを持つ“社内の人”が担うべき役割だと考えています。

私自身、ジェイアール名古屋タカシマヤで約15年間広報を担当し、広報知識ゼロの状態から、累計1万件以上の取材対応を重ねてきました。現場で手を動かし、企画からリリース作成、取材交渉、社内調整まで全て経験してきたからこそ、担当者がどこでつまずくか、どうすれば突破できるかが手に取るように分かります。机上の空論ではなく“血の通った支援”ができることが、当社の大きな強みだと思っています。

企業も人も“ステージが上がる瞬間”をつくりたい

――経営者になられた経緯を教えてください。

実は、もともと経営者になりたいと思っていたわけではありません。転機は、息子が発達特性を持っていることが分かった時でした。どう育てていけばいいか悩む中で、自分自身が「他人の期待に応える生き方」をしてきたことに気づいたんです。息子には「みんなと同じでなくていい、好きなことを伸ばしなさい」と言いながら、自分は会社のレールに乗って生きている。その矛盾に向き合った時、私も“自分で舵を取る生き方”を選ぼうと決め、起業しました。

広報という仕事には、人や企業のステージを上げる力があります。タカシマヤ時代、関わる方々の想いや情熱を信じ、伝え続けてきました。すると、シェフや取引先、現場の仲間たちの意識が変わり、取り組みが前に進む瞬間を何度も目にしました。そうした積み重ねが、結果として大きな成長につながっていきました。広報担当者が会社を信じ、会社が広報担当者を信じる。そうした“信頼の循環”が生まれた瞬間に、企業は大きく動き始めます。

仕事を選ぶ基準も明確で、基本的に、『この人を応援したい』と心から思える方とご一緒しています。金額ではなく、心から共に伴走したいと思えるかどうか。そうした姿勢が、結果的に周囲の人から“また一緒に仕事がしたい”と言っていただける理由だと思っています。

――仕事をする上で大切にしている価値観は何でしょうか。

“目の前の人を幸せにすること”です。条件ではなく、この人のステージを上げたい、この企業をもっと輝かせたいと思えるかどうかで仕事を選びます。自分が幸せな状態でなければ、誰かを幸せにはできませんから。子どもたちにとっても、太陽のような存在でいたいと思っています。

育成の本質は“自信を渡すこと”。社員との関わり方

――組織運営やクライアントとの関わりで意識していることはありますか。

担当者が“自分で考え、提案できる広報”になることを最優先にしています。現場でつまずくポイントは自分自身が経験してきたからこそわかりますし、抽象論ではなく具体的な行動レベルで支援できるのが私の強みです。動画編集、サムネイルづくり、取材対応、社内報制作まで実務を一通り経験しているので、一緒に走りながら「できた」という成功体験を積んでもらいます。

3~4か月ほど経つと、皆さん自分から提案できるようになり、広報としての自信が育っていく。その瞬間を見るのが一番嬉しいですね。

“ステージを上げる広報”で企業の未来をつくる

――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。

広報を“特別なスキル”ではなく“企業成長に不可欠な経営機能”として根付かせたいと思っています。特にこれからは、社会との接点をどうつくるかが企業価値を左右します。社員一人ひとりが会社を信じ、自分の言葉で魅力を語れる企業が増えれば、社会全体ももっと前向きに変わっていくと感じています。

仕事以外の時間が、仕事を強くする

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

息子の野球の応援に行く時間が、私にとって一番のリフレッシュです。息子が好きなことを見つけ、それに打ち込む姿を見ると、私も頑張ろうと思えます。家族との時間が癒しの時間ですね。

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