外注で失敗させない社会をつくる──アムール株式会社・沖野耕基が描く、信頼を軸にしたマーケティング支援のかたち
アムール株式会社 代表取締役 沖野 耕基氏
外注による失敗をなくしたい──その強い思いを原点に、中小〜大手企業への新規開拓に特化したBtoBデジタルマーケティング支援やAI検索対策(AIO/LLMO対策)を展開するアムール株式会社。同社は、「外注で失敗させない」ことを軸に、企業の課題構造に向き合いながら支援を行っています。本記事では、代表の沖野耕基氏に、事業立ち上げの背景や経営に込めた思い、組織づくりで大切にしている価値観、そしてAI時代を見据えた今後の展望について伺いました。
目次
外注で失敗させないために──アムール株式会社の事業とビジョン
――現在、御社ではどのような事業に取り組まれていますか。
事業としては、小〜大手企業への新規開拓に特化したBtoBデジタルマーケティング支援やAI検索対策(AIO/LLMO対策)を提供しています。いずれも企業活動を支援するためのサービスであり、特に外部に業務を依頼する際の課題に向き合う形で展開しています。
――その事業を始められた背景について教えてください。
もともとはコンサルティング会社に勤めていました。その中で感じていたのが、外注によって思うような成果が得られず、結果的に失敗してしまう企業が非常に多いという現実です。外注をする以上、企業側としては大きな期待を持って発注を行います。そうした中で、外注が原因で失敗するケースを少しでも減らしたい、失敗させないコンサルティングを行いたいという思いから、独立を決意しました。
――現在取り組まれている事業の特徴や、他社にはない強みはどのような点にありますか。
「外注で失敗させない」という点を軸に考えたとき、なぜ外注が失敗に終わってしまうのか、その要因を整理しました。その結果、失敗の原因は大きく五つに集約できると考えています。現在の事業では、その五つの要因を一つひとつ取り除くことを意識した支援を行っています。単に施策を提供するのではなく、外注そのものが失敗に向かわないような設計を重視している点が、特徴の一つです。
――経営理念やビジョンについて、どのような思いを持たれていますか。
ビジョンとして掲げているのは、「中小企業が外注で失敗しない社会をつくる」ということです。まずは自社が、外注で失敗させない支援を実践する存在であり続けることを大切にしています。そのうえで、将来的には自社だけでなく、他の代理店やコンサルティング会社も含めて、外注による失敗が起きにくい環境を広げていきたいと考えています。情報発信や取り組みを通じて、外注に対する考え方そのものをより良い方向へ導いていくことが、現在の目標です。
構造から課題に向き合う──沖野氏が経営者の道を選んだ理由
――経営の道に進まれたきっかけや背景について教えてください。
最も大きなきっかけは、コンサルティング会社に在籍し、中小企業を中心に支援していた頃の経験です。依頼を受けているにもかかわらず、思うような成果が出ない企業が少なくないと感じていました。ただ、それは担当者個人の問題というよりも、組織や仕組みといった構造的な課題が原因であるケースが多かったように思います。こうした根本的な問題に向き合うには、自分自身が経営の立場に立つ必要があると考え、独立を決意しました。
――実際に経営をされる中で、判断の軸となっている価値観はどのようなものですか。
経営判断の軸にあるのは「人」だと考えています。その思いは、ミッションとして掲げている「仲間と、そして顧客と乾杯できるような仕事をする」という言葉に集約されています。仕事は最終的に人と人との関係で成り立つものです。社内の仲間とも、お客様とも、良好な関係を築き、仕事の先に自然と一緒に時間を過ごせるような関係性をつくる。その姿勢を大切にしながら、日々の意思決定を行っています。
――これまでのキャリアの中で、特に印象に残っているターニングポイントはありますか。
大きな転機となったのは、大学院時代の恩師が亡くなったことです。恩師からは以前より進路について助言を受けていましたが、当時は具体的なイメージを持てず、強く意識することはありませんでした。しかし、その出来事をきっかけに、思いを引き継ぐような形で「自分にしかできない事業や仕事をしたい」と考えるようになりました。振り返ってみると、その経験が経営者としての道を選ぶ一つの要因になっていたと、今では感じています。
裁量と信頼を軸にした組織づくり──アムール株式会社のチーム運営
――現在の組織体制について教えてください。
現在の体制としては、社員は私を含めて2名で、加えて業務委託のメンバーとともに事業を進めています。全体としては、およそ15名ほどの体制で取り組んでいます。社員だけでなく、業務委託の方々も含めて、事業を支えるコアメンバーとして関わってもらっています。
――組織として、自律的に動いてもらうために工夫されている点はありますか。
この規模だからこそ、あえて細かなルールは設けていません。まず「ルールを作らない」という考え方を大切にしています。そのうえで、独立採算に近い感覚で、一人ひとりが自分の意思で意思決定をし、自分の判断で売上や利益を生み出していく、という姿勢を求めています。会社の方向性さえ共有できていれば、プロセスについては大きな裁量を持って任せる形です。
――日々のコミュニケーションで大切にされていることはありますか。
組織運営において意識しているのは、不安を見せないことです。経営者が不安を表に出してしまうと、組織全体が不安定になると感じています。そのため、「この組織は大丈夫だ」と思ってもらえるような姿勢を心がけています。安心感のある環境をつくることが、結果的にメンバーの主体的な行動につながると考えています。
――今後、一緒に働きたいと感じるのはどのような方でしょうか。
重視しているのは、「なぜそれをやるのか」という視点、いわゆる“WHY”から考えられる人です。スキルや経験といった“HOW”の部分は、時間をかければ身につけることができます。一方で、目的や背景から考えられる力は貴重だと感じています。お客様のビジネス課題を起点に考え、そこから手段を組み立て、行動に落とし込める人と一緒に働きたいと考えています。
AI時代に求められる価値とは──アムール株式会社が描くこれからの挑戦
――今後取り組んでいきたい新たな挑戦や事業展開について教えてください。
今後は、中小企業に限らず、大手企業に対しても「外注で失敗させない」支援を広げていきたいと考えています。あわせて、近年注目が高まっているAIやLLMに関連した分野にも、より注力していく予定です。現在展開しているAI検索対策をはじめ、AIに引用されることを重視したデジタルマーケティングサービスを通じて、企業名や指名検索が増えていくような仕組みづくりに取り組んでいきたいと考えています。
――会社として、どのような社会の実現を目指されていますか。
目指しているのは、社員一人ひとりやお客様、そして会社そのものが成長を実感できる社会です。デジタルやAIを通じて、関わる人それぞれが前向きな変化を感じられる環境をつくっていきたいと考えています。単なる効率化ではなく、成長の手応えを得られることを大切にしたいという思いがあります。
――今後に向けての課題や、それに対する向き合い方についてはいかがでしょうか。
正直なところ、具体的な施策や道筋がすべて明確になっているわけではありません。それは会社として、また個人としての課題でもあると捉えています。まずは、自分自身がどのような社会を実現したいのかを、より解像度高く描くことが重要だと考えています。小説に書けるほど具体的なビジョンを言語化し、そこから「いつまでに、どんな社会を実現するのか」というロードマップを描いていくことが、これからの取り組みの軸になると考えています。
――業界全体の流れについて、どのような変化を感じていますか。
AIの発展によって、いわゆる「HOW」の部分は、今後さらにAIに代替されていくと感じています。その中で重要性を増すのは、人と人とのつながりです。なぜそれを行うのかという視点から考え、お客様目線で提案できる人材や企業が、これからの時代には求められると考えています。そうした姿勢を大切にできないコンサルティング会社や代理店は、厳しい状況に直面していくのではないかと感じています。
人と成果の両立を大切に──沖野氏の価値観とこれから
――これまでに影響を受けた方や、尊敬している人物はいますか。
尊敬している人物としてまず挙げられるのは、大学院時代の恩師の須方氏です。P&G出身のマーケターであり、考え方や姿勢の面で大きな影響を受けました。もう一人は、上場企業のミッション・ビジョン・バリューの策定や戦略コンサルティングを行っているグローバルタスクフォース株式会社の代表である山中氏です。山中氏が執筆した『通勤MBA』シリーズを通じて、その思想や考え方に触れ、助けられたと感じる場面が多くありました。これら二人の存在は、現在の価値観にも大きく影響しています。
――リフレッシュ方法や、プライベートとの向き合い方についてはいかがでしょうか。
現在は創業して間もないこともあり、明確な休みを設けず、仕事に向き合う日々が続いています。ただ、将来的には家族との時間や、子どもの子育てにしっかりと時間を割いていきたいと考えています。仕事だけでなく、プライベートも含めた充実を大切にしていきたいという思いを持っています。
――経営において、これだけは譲れないという思いはありますか。
譲れない思いとして挙げているのは、「仲間や顧客と、しっかり乾杯できるような仕事をする」という姿勢です。そのためには、成果を出し、信頼関係を築くことが欠かせません。やるべきことをきちんとやり、達成すべき指標は達成する。そのうえで、良好な人間関係を築いていくことを大切にしています。成果と人の関係、その両立こそが重要だと考えています。
これからもアムール株式会社は、成果に向き合いながら人との信頼関係を大切にし、外注で失敗しない社会の実現に向けて、一歩ずつ歩みを進めていきます。