流れに身を任せ、価値をつなぐ――中古カメラ市場で「物量」と仕組みを武器に挑む

プラスワン株式会社 代表取締役 染矢 智成氏

中古カメラを中心にネット販売を行うプラスワン株式会社。代表の染矢智成氏が大学時代にお小遣い稼ぎとして始めた仕入れ販売が原点となり、個人事業を経て現在は法人として事業を展開しています。事業の軸にあるのは、目に見える形で「仕入れて売る」手触りと、自分の範囲でコントロールできる仕事の面白さ。さらに、「まとめて売りたい」というニーズへの対応と、それをさばく仕組みづくりで独自の強みを築いてきました。今回は、事業の始まりから強み、組織づくり、そして今向き合っている課題や今後の構想まで伺いました。

「稼ぎたい」から始まった。試して上手くいったのがカメラだった

――今の事業を始めた思いや、きっかけを教えてください。

きっかけは、学生の頃にお小遣い稼ぎの延長で始めたことです。古着屋さんみたいなところで、カバンや靴を仕入れてみようかな、というところから始まりました。令和元年に個人事業として登録して、という流れですね。

よく人に話すのは、「流れでこうなっちゃいました」が多いです。中古品を扱いたいとか、カメラが好きだから始めたわけでもないし、儲かるからやるっていう感じでもなかった。

学生の頃に稼ぎたいと思って、いろいろ試して、カメラがたまたま当たったから、それを継続しているという感覚です。

――カメラ以外の事業を試したこともあったのでしょうか。

カメラをやる過程の中でも、テントサウナだったり、OEMの事業なども試したことはあります。でも、結局続かなかったんです。違和感があると続かない。この事業が続いているのは、たぶん自分の性に合ってるからだと思います。

――「合っている」と感じるのは、どういう点ですか。

接客とかコミュニケーションを取る仕事よりも、自分の管理下で、自分の責任範囲でコントロールできることが魅力なんだと思います。

仕入れて販売するって、すごく現実的で目に見えるじゃないですか。資金がカメラに変わって、カメラが売れて、お金に変わって・・・という流れが自分の中で見える。目に見えないものはつかみどころがないけど、仕入れ販売はコントロール感があるというか、それがやりやすかったですね。

中古カメラ市場の魅力は「相場の安定」と「根強いニーズ」

――中古カメラ市場の魅力は何でしょうか。

やってみてわかったのは、中古市場の相場が安定していることと、根強いファンがいることです。最近の新しいものはもちろん型落ちしますけど、ある程度年数がたっても「古いからいい」という価値がある。

最近だと、コンデジ(コンパクトデジタルカメラ)もそうですね。10年、15年、20年前のものなんですけど、コンデジならではの雰囲気があるので、それを求めるお客様がいる。しかも男性の年配の方ばかりじゃなくて、若い大学生も買ってくださいますし、海外のお客様もニーズがあります。

――スマートフォンの普及で、カメラの需要は変化していますか。

「スマホでいいじゃん」というのは間違いないと思うんですけど、ニーズが違うと感じています。

スマホは旅行先で記録を取るとか、撮りたいものをサッと撮れるという用途が中心。でもカメラは、撮ること自体が趣味で、目的なんですよね。そこは住み分けされていると感じています。カメラは廉価で大量生産されたものから高級機まで幅が広くて、幅広いニーズに対応できるのもいいところです。

――市場の見立てとして、今後の伸びはどう見ていますか。

新品カメラ市場はちょっと落ち込んでるんですけど、中古市場はリユース全体が盛り上がっているので、それに連動している。もうしばらく伸びるかなと思っています。

まとめて「引き取れる」強み。物量をさばく仕組みが価値になる

――御社の強みはどこにありますか。

一番は物量です。当社はカメラを数多く集めていて、それをスムーズに販売できるシステムを組んでいます。だから、まとめてカメラを処分したい、売りたいお客様に対してニーズがあると思います。

例えば高級カメラを高く売りたいなら、他にも有名なお店がたくさんあります。でも「沢山あって自社では捌けない、とりあえず引き取って現金化してほしい」というニーズに対応できるのが強みです。

販売はネットで日本全国・全世界に向けているので、販売力があり、それが仕入れ競争力になっている。カメラをすぐに売って現金化したい方のお役に立てるところがある。

――今後の展開として、構想されていることはありますか。

今後は、販路も拡大できてきたので、仕入れたけど売れないとか、売るのが大変、検品や清掃、撮影に時間がかかるという方に向けて、販売代行の形でお役に立ちたい。

もちろん手数料はいただくんですけど、できる限りお互いメリットのある形で、継続性のあるものにしたい。まだ構想というか思考段階で、お試しでやってる段階ですが、リユース業界で困ってる方がいればと思います。

「大きくなりたい」その先にあるのは、役に立つ証明と雇用の創出

――お仕事をする上で、これから実現したい目標はありますか。

今それが悩みどころでもあります。20代は、自分が面白いからやる、楽しんでやる、というのは結構できてきたと思うんですけど。これからは、業界の少しでも役に立つことをしていきたい。

それが結果売り上げにつながるのは大前提として、当社にしかできないことがあるのであれば、そこに取り組みたいなと思っています。

――将来的に会社やご自身がどうなっていきたい、というイメージはありますか。

やはり規模を大きくしていきたいです。大きくなれるのは、スタッフが安心して働ける場であり、お客様のニーズがあるという証明でもある。要するに、社会に役に立っていれば自然と大きくなるはずです。死ぬときに後悔ないように、という感覚も強いです。

会社としては、組織として大きくして、雇用の創出ができたらと思っています。本当に成功してる人から見たらちっぽけかもしれないですけど、自分なりにやりたいことをずっとやってきた。自分自身のエゴは満たされてきたので、次は「うちにしかできない」にアプローチしていきたいですね。

組織づくりは「距離感」で変わった。自発性を引き出すマネジメント

――社員さんとの関係や、組織づくりで意識していることはありますか。

現在6名のスタッフがいますが、初期は右も左も分からなくて、とにかくコミュニケーションを取って、モチベーションを上げて、働きやすい環境をつくるところから始めました。

でもそれがうまくいかなくて、方向転換をし、今は自発性にフォーカスしています。適度な距離を保ちつつ、皆さんの力を自発的に成果に向けられるように意識しています。

近すぎると同僚・友人みたいになっちゃうので、上司部下の形をしっかり作って、集中できる環境を作ることにフォーカスしています。

目利きが「ボトルネック」になる怖さ。仕入れ依存からの脱却が課題

――今、企業として向き合っている課題は何でしょうか。

仕入れですね。現状、仕入れに関しては私がメインで動いているので、そこがボトルネックになってしまっていて、今後の成長においても頭打ちになります。私一人に依存している状態なので、そこをいかに権限移譲するか、または仕入れをしなくてもいいビジネスモデルに変換できるかが課題です。

目利きみたいなところに依存しているんですよね。市場の相場を把握するのは経験がものを言うので、そこを教育に落とし込むのが難しい。だから、そもそも仕入れをする業態から脱却して、販売サポートに徹する方が貢献できると思っています。

影響を受けたのは「流れに合わせる」考え方。存在価値を問い続ける

――尊敬する方や、影響を受けた方はいますか。

父ですね。父は超えられないなっていう考えはあります。あと、カメラを始めたときに、自分だけだとやり方がわからなくて、コミュニティに入ったんです。そこで教えてくれた人が尊敬する存在です。

普通は「お金だけ儲かればいいでしょ」っていう考えもあると思うんですけど、その方はそうじゃなかった。ほとんどカメラの話をせずに、「よく生きるとは何か」とか、「本当の意味で”楽”に生きるとは何か」みたいな哲学的なことをよく話してくれました。

「流れのままここに来ました」というのは、その方の影響です。流れに合わせることは大事なんだよ、という考え方が、自分の感覚を形成してくれた。尊敬しています。みんなが良くなるように、というのもその方の考えですね。

経営以外の情熱は「山を走る」こと。富士登山競走の頂上を目指して

――経営以外で情熱を持って取り組んでいることはありますか。

運動は積極的にしています。山岳部だったので、そこからランニングとかトレラン、筋トレもやりつつ。今は山を走りたいなというところで、体力を作ってる感じです。

富士登山競走っていうイベントが毎年あって、登山じゃなくて競走なんでランニングシューズで走るんです。去年初めて出場したんですけど、実績がない人は5合目までしか行けない。そこのタイムが良ければ翌年に頂上まで狙えるコースに挑戦できる、という仕組みがあります。

5年ぐらいかかると思うんですけど、足切りラインが各チェックポイントにあるので、3年〜5年計画で富士山の一番上まで何とか行きたいと思ってます。経営と通じますが、上に登って「ゼーゼーハーハー」してる瞬間が楽しい、みたいなところもあります。Mですかね笑

事業も運動も、突き詰めるほど「自分一人で抱えることの限界」と向き合う瞬間が増えていきます。だからこそ、流れに身を任せながらも、誰かの役に立つ形へと仕組みを育てていく――その積み重ねが、会社を大きくし、関わる人を増やしていく力になるのだと思います。

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