中国特化の輸入代行業者から、自社ブランドの確立へ――アイオニックが描く次の成長曲線

株式会社アイオニック 代表取締役 羽邑 仁宏氏

株式会社アイオニックは、中国に特化した輸入代行業者として既製品の調達からOEM・ODMの開発、生産、検査、梱包、納品までを一気通貫で支援する企業です。単に「中国から仕入れて届ける」だけではなく、金属・樹脂を用いた金型製作やプレス加工、表面処理を伴う案件など、高度な技術力と多くの工程管理を必要とするものづくり領域にも積極的に踏み込みながら、事業を構築してきました。本記事では、代表の羽邑仁宏氏に、事業の内容や強み、今後の挑戦などについて伺いました。

中国特化で一貫支援の輸入代行

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

当社は、中国に特化した輸入代行業者として、商品調達から生産、納品までを一貫してサポートしています。お客様から「こんな商品が欲しい」というご要望をいただいた際には、中国市場での既製品調査を行い、適した商品が見つからない場合には、オリジナル商品の企画・開発から生産まで対応。OEM・ODMの両方に対応できる体制を整えています。

製造後は検品・梱包・出荷管理を行い、品質を確認したうえでお客様のもとへ納品。
中国現地との豊富なネットワークと実務経験を活かし、調達・製造・品質管理・物流までをワンストップで提供できる点が当社の大きな特長です。

――競合他社とは、どのように差別化されていますか。

現在、中国輸入代行の分野では、日本国内および中国現地において、数社の大手事業者が市場をリードする状況となっています。
当社は2026年度で13期目を迎えますが、創業当時は現在のように大手や競合がひしめく環境ではなく、地道な営業活動と実務対応を積み重ね、口コミを中心に事業を拡大してきました。

一方で近年は、中国法人を中心とした事業者が積極的に参入し、システム化や多様なサービス展開、価格面での優位性を武器に市場を拡大。実際にお客様が流れていった側面があるのも事実です。

そのような環境変化の中で当社は、設立当初からこの流れを見据え、既製品の輸出に依存せず、OEM・ODM・商品開発といった“ものづくり”に強みを持つ会社として差別化を進めてきました。
結果として、他社では対応が難しいと断られた案件が当社に持ち込まれ、対応できるというケースも増えています。

価格や利便性だけではなく、技術力と対応力で選ばれる存在であること。それが当社の最大の強みだと考えています。

“他社で断られる案件”が集まる――ものづくりの強さ

――具体的にどのような案件に対応できますか。

当社では、食品・飲料分野を除き、基本的にあらゆるジャンルの製品開発に対応しています。これまでには、カメラの筐体設計や基板の開発といった電子機器分野から、公共事業で使用される外壁材やアルミパイプなどの建築資材まで、専門性の高い案件を数多く手がけてきました。

特に金属や樹脂を用いた製品では、設計段階から関与し、金型構造の検討、プレス・成形条件の調整、表面処理工程までを含めた一連の製造プロセスを管理しています。
単に図面どおりに作るのではなく、量産時の品質安定性やコスト、加工上のリスクまで考慮しながら、仕様の最適化を行う点が当社の特徴です。

一般的な輸入代行やOEM事業者の場合、既製品対応やアパレル分野に強みを持つ一方で、こうした工程数が多く、技術的な調整が求められる新規開発案件は敬遠されがちです。
当社ではその領域を強みとし、他社で対応が難しいと判断された案件を引き受け、実際に量産までつなげてきました。

――中国語ができなくても依頼できますか。

当社には中国にスタッフが在籍しており、日本語が話せる人のみ営業担当として採用しています。中国人ですが日本語が流暢ですので、安心してやりとりしていただけます。

ものづくりにおいては専門用語が出てくるケースもありますのが、そこはお客様にストレスなくお取引きしていただけるよう、私自身が入ってフォローする仕組みにしています。

副業からの起業――拡大より「目の届く範囲」を選んだ理由

――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。

もともとは商社に勤めていて、中国にある工場でメーカー向けの部品製造に携わっていました。中国の工場や製造現場には日常的に関わっていたので、ものづくりの流れ自体は身近な存在でした。その一方で、空いた時間を使って副業として、中国製品をヤフーオークションに出品していました。最初は試しに始めた程度だったのですが、続けていくうちに、次第に本業よりも副業のほうが収益が大きくなっていきました。

そこで、このまま個人で出品を続けるよりも、中国製品をもっと効率よく、より多く日本に届ける方法があるのではないかと考えるようになりました。行き着いた答えが、“卸し”という形です。

中国の製造現場を理解している強みを活かしながら、日本の企業と中国の工場をつなぐ。そうした役割に可能性を感じ、本業を辞めて、現在の事業を立ち上げました。

――現在の組織体制はどのようになっていますか。

日本法人であるアイオニックは、少数精鋭の体制で事業を運営しています。一方、中国現地には10名ほどの現地スタッフによる専任チームを構えており、製造管理や検品、出荷対応などを担っています。

――規模拡大ではなく、少人数体制を維持されているのはなぜですか。

10年以上事業を続けていく中で、中国現地のスタッフを増やして、組織を拡大するべきか悩んだ時期もありました。実際、同業他社の中には、50名から100名規模で運営している会社もあります。

ただ、これまでの経験から感じているのは、現地スタッフをしっかりコントロールし、品質や対応力を維持するには、10名から20名程度が現実的な上限だということです。人数を増やせば対応量は増えますが、その分、管理や品質のばらつきといった課題も大きくなります。そのため当社では、無理に規模拡大を目指すのではなく、目が行き届く範囲で、品質と信頼を重視した運営を続ける方針を取っています。
量を追うよりも、一つひとつの案件にきちんと向き合う。その姿勢が、結果的に当社の強みにつながっていると考えています。

一歩ずつ成長する――課題は「小ロット×手間」の構造

――集客や営業は、どのように行ってこられたのでしょうか。

おかげさまで、当社はこれまでホームページと口コミだけで、13期にわたって実績を積み重ねてきました。私自身、SNSで積極的に発信したこともありませんし、セミナーに参加して集客するといったことも行っていません。

それでも、実際には既存のお客様からのご紹介や口コミをきっかけに、新たなご依頼をいただくケースがほとんどです。
一つひとつの案件に丁寧に向き合い、期待に応え続けてきた結果が、こうした形で評価につながっているのだと思っています。

派手なプロモーションは行っていませんが、信頼を積み重ねることこそが、最も確実な営業活動だと考えています。

――今後の成長イメージと、直面している課題をお聞かせください。

当社は急成長を目指すのではなく、一歩ずつ着実に成長していきたいと考えています。現在の売上を1とするなら、3年後に3倍程度が現実的な目標です。

一方で、いま直面している課題は、小ロット案件が多いことです。OEM・ODMのご相談は増えているものの、100~500個といった小ロットでの依頼が中心となっています。

商品をゼロから開発するには、工場との調整や試作、改善、是正対応など多くの工程が必要で、量産に至るまでに相応の時間と手間がかかります。小ロットの場合、こうした工程を経ても数量がすぐに終了してしまい、工数に対して利益が伸びにくいという課題があります。

本来は、万単位での発注が理想ですが、現状ではそこまでの規模のお客様を十分に獲得できていないのが実情です。
もっとも、当社はこれまで「小ロットでも他社より安く」「日系企業でありながら最低水準の価格」を強みにしてきました。その方針を踏まえると、現状の課題はある意味で必然だとも捉えています。

自社オリジナル商品で魅せる――アウトドアブランドから始める次の一手

――今後の事業展開、新規の取り組みについて教えてください。

これまでは、お客様向けに商品を卸す形が中心でしたが、今後は当社自身が主体となってオリジナル商品の開発・販売にも力を入れていきたいと考えています。
日本のECサイトやクラウドファンディングなどを活用し、物販にも積極的に取り組む方針です。

自社オリジナル商品を実際に見ていただくことで、『こうした商品も作れるのか』と、ものづくりの参考にしていただき、そこからOEM・ODMのご相談が広がっていくことも期待しています。

現在はその第一歩として、アウトドア分野でのブランド立ち上げを構想しており、キャンプ用品を中心とした製品開発を進めています。具体的な仕様はまだ調整段階ですが、独自性のある調理関連アイテムを軸に展開していく予定です。

――最終的に、会社をどのような姿にしていきたいですか。

将来的には、認知度の高い自社ブランドを持つことが一つの夢です。商標を取得して商品を作れば形式上はブランドになりますが、それだけではなく、本当に日本のみなさんに使っていただける、世の中に浸透する商品を生み出し、メーカーとして成長していきたいと考えています。

まずは生活や趣味に近い分野から実績を積み重ね、将来的には、電子部品や電子機器といった、より技術力が求められる領域にも挑戦していく構想です。
ものづくりの会社として、段階的にステージを上げていきたいですね。

行動スピードを武器に

――プライベートのリフレッシュ方法を教えてください。

昔からスポーツが好きで、特にサッカーは長く続けてきました。大学卒業後に留学したニュージーランドでは、サッカーに加えてラグビーにも積極的に取り組み、その後、中国ではバスケットボールや卓球、サッカー、日本ではサッカーを中心に野球やテニスも経験してきました。振り返ると、国や競技は違っても、団体競技を中心に幅広くスポーツに関わってきたと思います。

言葉や環境が違っても、スポーツを通じて自然と人とつながれる。中国で事業を行っていた際も、サッカーチームへの参加をきっかけに工場経営者と知り合い、仕事につながるご縁が生まれました。現在もサッカーを続けており、スポーツで培った行動力や継続力は、今の仕事にも生きています。

――最後に、中小企業の経営者の方や、これから起業しようと考えている方へメッセージをお願いします。

私はマイナスなことを考えず、思いついたらすぐに行動するタイプです。周囲からは『一度落ち着いて考えたほうがいい』と言われることもありますが、中国でのビジネスは日本よりも圧倒的にスピードが速いと感じています。

『これをやろう』と話せば翌日には動き出し、『製品化しよう』と言えば、1週間後には試作ができている。決裁待ちがほとんどなく、とにかく前に進むのが早い。そのスピード感に触れ、私自身もポジティブなことだけを考え、まず動く姿勢を大切にするようになりました。

マイナス面を考えるより、まず一歩踏み出す。
その積み重ねが、結果につながると思っています。

Contact usお問い合わせ

    お問い合わせ内容
    氏名
    会社名

    ※会社・組織に属さない方は「個人」とお書きくだい

    役職

    ※会社・組織に属さない方は「一般」をお選びください

    メールアドレス
    電話番号
    どこでお知りになりましたか?
    お問い合わせ内容

    プライバシーポリシーに同意して内容を送信してください。