ダンスを「社会に使ってもらう」ために。ネクスエンターテイメントがつなぐ人と人の熱量
株式会社ネクスエンターテイメント 代表取締役 中野翔氏
株式会社ネクスエンターテイメントは、ダンスを軸に、自治体や施設、幼稚園などからの依頼に応じたプログラムづくりや企画演出を手がける会社です。箱を構えて人を集める形ではなく、必要とされる場所へ出向き、仲間のネットワークも活かしながら価値を届けています。
今回は代表取締役の中野翔さんに、事業の軸や大事にしている考え方、仲間との関わり方、今後の展望についてお話をうかがいました。
目次
数字を追う前に、まず「気づける状態」をつくる
――現在の事業内容と、事業を通じて大切にしている考え方を教えてください。
ダンス関連の事業を中心にしています。自治体からの案件依頼を受け、体育館などでダンスレッスンを実施したり、幼稚園や保育園向けのダンスプログラムを作ったりしています。パーティーなどでのダンス企画演出も得意分野です。基本的には、ほとんどがダンスに関わる事業になります。
モデルのマネジメントも行っていますが、これも多くの人と関わる中で、活躍する場を提供できたらという思いから始めたものです。CM案件が多く、テレビCMでもダンスを取り入れた表現が増えているため、そうした流れの中で活用してもらっています。
ダンススクールについては、いわゆる「箱を構えて受講者に来てもらう」形はとっていません。出張で提供する形を基本にしています。必要とされる場所へ出向き、その場に合った形でダンスを届ける。そのスタンス自体が、今の事業の土台になっています。
「教える側」で終わらず、「つなぐ側」に立つ選択
――インストラクターとして活動されていた中野さんが、会社という形を選んだ理由を教えてください。
ダンスのインストラクターを続けていくうちに、この先どうしていくのかを考えるようになりました。収入面も含めて、将来を見据えたときに、このままでよいのかという感覚があったのは正直なところです。
そこで、自分がやってきたことや仲間たちがやっていることを、世の中に使ってもらう形にできないかと考えました。会社にして、社会と自分たちの世界をつなぐ立場になれないか。その発想が経営という選択につながっていきました。
ダンススクールの多くは、生徒さんから月謝をもらう形で成り立っています。そうではなく、社会からお金をもらい、そのお金を仲間たちに回していく。設立当初からそうした形を目標に掲げてきました。
固定された組織を持たないという経営判断
――社員を置かず、案件ごとに仲間と動く今の体制を選んでいる理由を教えてください。
体制としては、僕と役員が1人いるだけで、あとは案件ごとに業務委託という形で動いています。講師や振り付け、出演など、必要な役割をその都度組み立てる形です。案件によっては、関わる人数が50人から100人ほどになることもあります。
この体制を選んでいる理由のひとつは、柔軟に動けることです。仕事の内容や規模は案件ごとに大きく異なるため、固定された組織よりも、その都度最適なメンバーで動ける方が合っていると感じています。
もうひとつは、仕事をお願いする際に、ダンスを「ただ踊る仕事」としてではなく、「社会に使ってもらう仕事」として伝えられる点です。業務委託という形だからこそ、案件の意味や背景をきちんと説明し、適材適所、その案件に向いた人材をキャスティングすることができると考えています。ダンススキルだけでなく、考え方の部分を共有できるかどうか。その点を大切にしながら、今の体制を続けています。
人が集まる場所には、まだ使われていない価値がある
――今後取り組んでいきたい構想や、ダンス業界について感じていることを教えてください。
今考えているのは、スクール事業がもつ「実在するコミュニティ」をどう活かしていくか、という点です。SNSなどネット上のつながりが広がる中で、僕たちが大切にしているのは、人と人が実際に顔を合わせて集まる場です。そこには、数字だけでは測れない価値があると感じています。
幼児や小学生、中学生など年代は限られますが、多くの人が集まる場を持っていることは強みです。このコミュニティを、マーケティングや事業の形として社会の会社に活用してもらえないか、今はそのフォーマットを考えています。
一方で、ダンスがビジネスとして広がり、必ずお金がかかるコンテンツになっていることには、少し寂しさもあります。だからこそ、お金がかからない形でダンスに触れられる環境も残していきたいと考えています。分け隔てなくダンス体験ができる場を残すことが、将来的に僕たちの業界にとっても良い流れにつながると思っています。
仕事と生活の境目が、自然につながっている
――仕事以外の時間は、どのように過ごしていますか。
寂しいですが、これといった趣味はありません(笑)。その代わりに、私たちの業界には日常的に仲間や後輩を含めて集まれる場所があります。そこで世代を越えて、同じ環境を共有する時間は、自分にとって大切な時間です。同じダンスを好きになった人たちは、年齢を問わず家族のような感覚があります。
先輩後輩という上下関係ではなく、つながりとして、一つの文化として受け継いでいく。仕事と生活をはっきり分けるというよりも、遊びの中から仕事につながる感覚を大事にしています。この二つが自然につながっている状態の中で、今の働き方や生き方が成り立っていると感じています。