海外不動産の水先案内人として――世界をつなぐ自由な組織と、市川貴士氏の終わらない挑戦

株式会社国際不動産エージェント 代表取締役社長 市川 貴士氏

株式会社国際不動産エージェントは、日本人の投資家や富裕層に向けて海外不動産を紹介し、購入前のコンサルティングから保有中のサポート、売却手続きまでを一貫して支援しています。世界70カ国以上のネットワークにつながり、これまでに28カ国で取引実績を重ねてきました。今回は代表取締役の市川隆久氏に、会社設立の背景や経営における価値観、自由な組織づくり、今後の課題について伺いました。

世界70カ国以上をつなぐ海外不動産の水先案内人

――現在の事業内容と、他社にはない強みを教えてください。

当社は、海外不動産を日本人の投資家や富裕層に紹介する会社です。物件を紹介するだけではなく、購入に向けたコンサルティングから、保有している間のサポート、売却時の手続きや段取りまで、すべて対応しています。

特徴は、世界70カ国以上のネットワークにつながっていることです。特定の国だけに絞らず、幅広い地域の不動産を取り扱うことができます。

――海外不動産の事業を始めた経緯をお聞かせください。

社会人になってから、ずっと不動産業界に携わってきました。最初は日本国内のマンションデベロッパーで、マンションをつくり、販売する仕事をしていました。その後に入社した会社で海外不動産を扱うことになり、私が日本人投資家への販売を担当したことが始まりです。

当時扱っていたのは、フィリピンのホテルコンドミニアムで、販売を進める中で感じたのは、海外不動産を扱う人の中に、不動産の知識や経験を十分に持たない人が少なくなかったことです。また、自分たちが販売する物件しか知らず、購入者にとって本当に適切な選択なのかという視点が不足しているようにも感じました。

不動産投資では、購入した後にどうなるのかを想像しながら判断することが重要です。そこで、自分の経験をもとに幅広い選択肢を伝えたいと考え、東南アジアだけでなく、アメリカやヨーロッパなど、さまざまな国の物件を自分の目で見るようになりました。海外不動産の水先案内人のような立場を早くから築けば、時代の変化とともに会社の存在価値も高まると考え、独立を決意しました。

自分の人生を納得できる形で歩むために

――経営者の道を選んだ理由を教えてください。

独立を考えた時には、すでに50歳を超えていました。これからの人生を自分が納得できる形で歩むには、雇われる立場ではなく、自分自身がオーナー社長になる必要があると考えたのです。リスクはありますが、自分の意思で自由に取り組むには、それしかないと思いました。

最初に入社した会社がリクルートだったことも、独立志向に影響しています。当時から、自由に挑戦でき、自分で提案したことは自分で実行する文化がありました。私自身も、営業で数字を上げるだけでなく、組織づくりや人の教育、マネジメントに以前から関心を持っていました。

独立当初は一人でしたが、現在の副社長とそれぞれ事業を進めるうちに、仕事が増えて手が回らなくなりました。お客様からも「一緒の会社にした方が分かりやすい」と言われ、2017年に会社を設立し、現在は総勢15人ほどの組織になっています。まだ夢を実現できたとは思っていません。長く続く会社をつくり、将来は次の世代へ引き継ぎたいという強い意思を持っています。

――経営において大切にしている価値観は何でしょうか。

スタッフには、「いい人であれ」「普通にいい人間であれ」と伝えています。海外不動産と聞くと、怪しいのではないかと思われることもあります。その中で信頼していただくためには、会社で働く一人ひとりが誠実であり、本当に信じられる存在であることが大切です。

自由と責任を両立する組織づくり

――社内のコミュニケーションや働き方で大切にしていることを教えてください。

コロナ禍以降、当社では出社義務をなくしました。海外にいるスタッフもいますし、会社に来ること自体に意味があるとは考えていません。普段は週に1回、Zoomで定例ミーティングを行っています。会議も極力減らしています。会議を増やしても、生産性が上がるとは限らないからです。

会社は、働くためのプラットフォームだと考えています。働き方には自由があり、それぞれに裁量があります。ただし、会社の名に恥じることや、お客様から恨まれるようなことはしてはいけません。自由には責任が伴います。

給与体系も、完全固定給、固定給とインセンティブ、フルコミッション、アルバイトとして働く学生インターンなどさまざまです。年齢も20代前半から70代まで幅広く、それぞれが自分に合った形で力を発揮しています。

――一緒に働きたいと感じるのは、どのような人ですか。

指示を待って動く人ではなく、自分から何かをしたいと考え、実行できる人です。当社には挑戦できる場がありますから、優秀だと思えば思い切って仕事を任せます。一方で、自分から動けなければ続けていくのは難しく、シビアな環境でもあります。

採用は一般公募ではなく、紹介やご縁を中心に行っています。本人がどうありたいのかを聞き、その人に合わせて仕事をつくることもあります。若い人材の育成にも力を入れており、学生インターンには私が直接仕事を教えています。若い人が仕事を通じて成長していく姿を見ることは、私にとって大きな喜びです。

外的要因に備え、選択肢を広げ続ける

――現在、経営上の課題として感じていることは何でしょうか。

海外不動産は、円安や戦争、航空運賃など、外的要因に大きく左右される事業です。海外に関心を持つ人は増えていますが、日本は便利で住みやすいため、海外へ出たくないと考える人もまだ多くいます。当社の事業の価値をどのように伝え、実際の行動につなげてもらうかが大きな課題です。

コロナ禍で海外へ行けなくなった時には、国内不動産も扱い始めました。現在は東京だけでなく、北海道から沖縄まで対応しています。一つの地域や事業だけに絞ると、環境が変わった時に大きな影響を受けます。そのため、さまざまな選択肢を持ち、状況に応じて柔軟に動ける状態をつくっています。

SNSなども活用しながら情報発信を続け、海外不動産を考えた時に「あの会社に相談しよう」と思ってもらえる存在を目指しています。

まだ咲いていないからこそ、挑戦を続ける

――休日のリフレッシュ方法を教えてください。

ゴルフが好きなので、ゴルフに行くことがリフレッシュになっています。ただ、ゴルフをしながら仕事をすることもあります。それだけ仕事そのものが好きなのだと思います。

現在65歳ですが、まだやり残したことがたくさんあります。大学では外国語を専攻していましたが、当時は途中で関心を失ってしまいました。今、海外を軸に仕事をしているのは、昔できなかったことにもう一度取り組んでいるようなものです。

ポッドキャストも、約10年間続けています。ラジオパーソナリティも、これから実現したいことの一つです。

健康やストレスには気をつけながら、85歳になっても今と同じ自分でいたいと考えています。自分は遅咲きで、まだ咲いていないという感覚です。だからこそ、これからもやり残したことに挑み続けていきたいと思います。

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