市民と行政をつなぎ、環境課題に向き合う――サステナブル市民会議が目指すコミュニティの力

一般社団法人サステナブル市民会議 代表理事 横山 稔氏

一般社団法人サステナブル市民会議は、地域のコミュニティと行政をつなぎ、環境課題の解決に向けた活動を支援する団体です。環境コンサルタントとして約20年にわたり自治体や国に関わる仕事を続けてきた横山稔氏が、これまで十分に手が届いていなかった領域に取り組むために立ち上げました。気候変動や生物多様性をはじめとした課題に対し、市民一人ひとりの思いや地域の力を生かすことを目指しています。今回は横山氏に、設立の背景や現在の取り組み、活動を進める上で大切にしている姿勢、今後の展望について伺いました。

市民と行政の間に立ち、環境活動を支える

――現在の事業内容について教えてください。

私はこれまで約20年間、環境コンサルタントとして、環境に関わる自治体や国の事業をお手伝いしてきました。その仕事を続ける中で感じていたのが、環境問題には、市民が個人でお金を払って解決しようとはなりにくいために、どうしても取り残されてしまう分野があるということです。

現在も会社に所属して環境コンサルタントの仕事を続けながら、今年1月から仕事の半分を独立した活動に充てる形で、一般社団法人サステナブル市民会議を立ち上げました。

特に注目しているのが地域のコミュニティです。気候変動や生物多様性などの課題に取り組む市民団体は各地にありますが、行政とうまく連携しながら活動を進めることは簡単ではありません。

私は行政を支援する立場と、市民としてボランティア活動をする立場の両方を経験してきました。その経験を生かし、両者の間に立つ橋渡し役を担いたいと考えています。

――具体的には、どのような活動をされているのでしょうか。

現在、特に力を入れているのが「気候市民会議」です。気候変動への対策を行政や専門家だけで決めるのではなく、気候変動に直接関わる市民が話し合い、対策や方向性を考え、行政への提言や地域の活動につなげていくものです。

日本でも各地で開催されていますが、費用や手間がかかること、誰が主催するのかといった課題があり、まだ広がりにくい面があります。そこで、誰でも開催できる金額や方法で提供し、いつでもどこでも当たり前に開催される社会にしていきたいと考えています。

生物多様性に関する活動にも取り組んでいます。例えば、小学校で以前につくられたものの、十分に活用されていなかったビオトープについて、PTAの方から相談を受け、再生のお手伝いをしています。子どもたちと観察会を行い、意見を聞きながら草刈りなどにも取り組んでいます。

環境問題への危機感から、ビジネスだけでは届かない領域へ

――この活動を始めようと思ったきっかけを教えてください。

環境問題には学生の頃から強い関心がありました。当時は気候変動が徐々に知られるようになり、メディアでも環境問題が多く取り上げられていた時期です。その頃から危機感を持っていました。

就職後は環境コンサルタントとして携われる範囲で環境問題に関わってきました。ただ、その間にも環境問題はより深刻になり、扱われる分野も広がっています。以前はそれほど注目されていなかった海洋プラスチックなどの問題も取り上げられるようになり、人や自然環境、野生生物への影響も無視できないほど大きくなっていると感じています。

そうした中で、ビジネスだけでは解決しきれない部分を「誰かがやらないといけない」という思いが強くなりました。いきなりすべての仕事を辞めるのは難しいので、会社での仕事を半分続けながら、残りの半分で挑戦してみようと考えたことがこの活動の始まりです。

主役は地域の人たち。まずは相手の立場を聞く

――活動する上で、コミュニケーションでは何を大切にしていますか。

相手の立場をよく考え、その人に寄り添ってお手伝いすることです。理想として「こうするべきだ」と思うことがあったとしても、その人には、やりたくてもできない事情があるかもしれません。不安や置かれている状況をしっかり聞くことを大切にしています。

あくまで活動の主体は地域の方々です。自分の考えを押しつけるのではなく、その方々自身が動けるように支えることが役割だと考えています。

――市民と行政の意見が異なる場合には、どのように向き合いますか。

例えば市民団体が「この場所でこういう活動をしたい」と考えても、行政側には制度やルール上の制約があり、できない場合があります。そうしたときは、板挟みになることも覚悟しています。

ただ、お互いの立場や考えをきちんと聞いていくと、意外なところから解決策が見つかることがあります。地域の人が一方的に何かを主張しているように見えても、それが完全な間違いであることはあまりないと思っています。表面的な言葉だけではなく、その背景に何があるのかを対話しながら深掘りし、本当の課題を見つけていくことが大切です。

コミュニティの力が各地で発揮される未来を目指す

――今後、どのような状態を実現したいと考えていますか。

さまざまな地域のコミュニティと協力し、それぞれが持っている力を最大限発揮できる状態を各地につくっていきたいです。その力によって環境問題だけでなく、その他の社会課題についても良い方向へ進む取り組みが各地で生まれていく。その状態をつくることに少しでも貢献できればと思っています。

現状の課題の一つは時間です。会社での仕事を続けながら法人の活動をしているため、人とのつながりをつくったり、ホームページを充実させたりと、やりたいことに十分な時間を使えていません。ただ、一つひとつ進めることで認知が広がり、新たな人とのつながりが生まれ、それが活動を前進させるきっかけになると考えています。

将来的には、共感してくれる団体や人とのつながりの中から、一緒に活動を広げてくれる仲間が自然に増えていく可能性もあると思っています。

家族と過ごす時間が一番のリフレッシュ

――お仕事以外で、リフレッシュする時間はありますか。

働き方を変えたことで、現在はオフィスワークのほとんどを自宅で行っています。そのため、以前より家族と過ごす時間をしっかり取れるようになりました。

娘が3人いるので、仕事を始める前の朝にコミュニケーションを取ったり、仕事が終わればすぐ家族と過ごしたりするようにしています。昼食も家族と一緒にとることが多く、夏休みの時期などは家族5人で食事をすることがほとんどです。

そうした家族と過ごす時間が、今は一番のリフレッシュになっています。

環境問題の解決は、一人で成し遂げられるものではありません。地域で活動する人々や行政、それぞれの立場を理解し、対話を重ねながら新たなつながりを生み出していくことが、持続可能な社会への第一歩だと横山氏は考えています。これからも地域のコミュニティの力を引き出し、その輪を各地へ広げながら、環境課題と社会課題の解決につながる新たな仕組みづくりに挑戦していきます。 

Contact usお問い合わせ

    お問い合わせ内容
    氏名
    会社名

    ※会社・組織に属さない方は「個人」とお書きくだい

    役職

    ※会社・組織に属さない方は「一般」をお選びください

    メールアドレス
    電話番号
    どこでお知りになりましたか?
    お問い合わせ内容

    プライバシーポリシーに同意して内容を送信してください。