株式会社アルトスター 代表取締役 芳子ビューエル氏
ドイツ発の先端素材を武器に、寝具や化粧品分野で大手企業の開発を支える株式会社アルトスター。
単なる素材供給にとどまらず、製品化やマーケティング、法規対応まで包括的に手掛ける独自の存在です。
代表取締役ビューエル氏の経営哲学には「仕事を楽しむこと」と「幸せ」というテーマが根底にあります。
今回は、会社の強み、組織づくり、そしてウェルビーイングへの想いを伺いました。
目次
唯一無二の先端素材と包括的支援で大手企業を支える技術パートナー
――現在の事業内容と特徴についてお聞かせください。
主力は売上の7割を占める特殊素材「セルソリューション」です。温度調整やビタミンE放出といった機能を備え、寝具や化粧品に応用されています。大手企業に素材を提供するだけでなく、製品化や法規制対応まで一貫して支援している点が特徴です。
――創業の経緯について教えてください。
もともとテレビ通販のサポート会社を経営していましたが、メーカーからの相談が増え、専門的な支援の必要性を感じて2006年に別会社を設立しました。それが現在のアルトスターの前身です。
――御社の理念やビジョンについてお聞かせください。
会社は自己実現の場であるべきだと考えています。社員が挑戦したいことを自由に提案でき、実現できる環境を整えることで「仕事は楽しい」と感じられる組織づくりを目指しています。
周囲の後押しで踏み出した経営者としての歩みと「仕事を楽しむ心」
――経営者になられた経緯について教えてください。
学生時代にカナダに留学して以来カナダに住んでおり、日本に一時帰国したタイミングでしたので、当初は2年でカナダに帰国する予定でしたが、周囲から「日本とカナダの架け橋になる仕事を」と勧められ、挑戦を決意しました。女性起業家がまだ珍しい時代、多くの声に支えられたことが出発点でした。
――仕事を通じて実現したい夢や価値観を教えてください。
私にとって仕事は自己実現の場であり「楽しい」ものです。以前にJETROのお仕事で北欧に行っており、それ以来北欧とゆかりが深いので、北欧で学んだウェルビーイングの考え方を軸に、日本に新しい価値観を広げていきたいと考えています。テーマは「幸せ」。幸せは自ら掴み取るものだと信じています。
北欧の「フィーカ」に学ぶ、社員と信頼関係を築く組織運営
――社員の主体性を引き出すための工夫はありますか。
当社ではスウェーデンの文化「フィーカ」を取り入れています。コーヒーと甘いものを片手にリラックスした雰囲気で語り合うことで、若い社員とも自然に本音を共有できます。
――社内コミュニケーションで重視していることは何ですか。
世代間の価値観を理解し尊重することです。若い世代に「仕事の楽しさ」を伝えるため、成功体験やイベントを通じて時間をかけて向き合います。
――印象に残った社員のエピソードを教えてください。
ファスティングを学びライセンスを取得した社員の夢を、会社の新規事業として実現しました。彼女の情熱を会社の成長に結びつけられたことは、大きな喜びでした。
日本発技術を世界へ届ける海外展開とAIによる効率化
――今後の事業展開についてお聞かせください。
これまではドイツ発の先端素材を事業化してきましたが、今後は海外に向けたビジネスの展開も考えています。そのため、海外にも現地法人を設立する予定です。。
――現在直面している課題と対策についてはいかがですか。
新素材にまつわる世界各国からの依頼が増え、対応に追われています。そのためAIを活用し、海外会議の議事録を数分で要約するなど業務効率化を進めています。同時に社員教育や勉強会を通じ、人材育成にも力を入れています。
「生涯現役」と心身のウェルビーイングを追求する人生観
――経営において大切にしている価値観を教えてください。
「生涯現役」であること、そして常に自分を磨き続ける姿勢です。年齢に縛られず努力を続けることが、仕事にも人生にもつながると考えています。精神科医ブライアン・ワイス博士の教えからも学び、心と体のバランスの重要性を実感してきました。
――経営以外で情熱を注いでいることはありますか。
「心にもサプリが必要だ」という考えのもと、ウェルビーイングサロン「マインドサプリ」を立ち上げました。催眠療法や水素ルームを通じて、お客様が心身のバランスを取り戻す姿を見ることが、私にとって大きな喜びです。
――最後に、読者の皆さまへメッセージをお願いします。
幸せとは与えられるものではなく、自ら掴み取るものです。今の環境に満足できないと感じたら、自分自身で変化を起こしてみてください。その一歩が未来を切り拓く力になります。ウェルビーイングの考え方を通じて、一人でも多くの方が心豊かに生きられる社会を共に作っていきましょう。