「一人目」に特化した採用とAI活用――APILLOXが切り拓く、新しい組織づくりの形

株式会社APILLOX 代表取締役 山下 雅弘氏

株式会社APILLOXは、リーダーや責任者など「一人目ポジション」の採用に特化したHR SaaSと、AI研修・システム開発・業務効率化などを支援するAX・DX事業を展開しています。代表の山下雅弘氏自身が、開発から営業、マーケティングまで幅広い業務をAIとともに実践してきたことが、サービスの大きな強みです。今回は、事業の特徴や起業の原点、AIを軸とした今後の展望について伺いました。

熱量ある人材と企業をつなぐ「一人目」採用

――現在の事業内容について教えてください。

大きく2つの事業を展開しています。一つがHR SaaSで、新規事業の立ち上げ責任者や、一人目エンジニア、一人目セールスなど、裁量と責任を持つ「一人目ポジション」に特化した採用プラットフォーム「Hitorime(ヒトリメ)」を運営しています。

もう一つがAX・DX事業です。AI研修をはじめ、AIを活用したシステム開発や業務効率化などを支援しています。自社サービスを運営するなかで、開発だけでなく営業やマーケティングにもAIを活用してきました。その実践で培った知見を、お客様への支援にも生かしています。

――「一人目」ならではの強みは何でしょうか。

「一人目」という前提で人材を集めていること自体が、大きな特徴です。一般的な採用媒体では、多くの登録者の中から、責任あるポジションに挑戦したい熱量の高い人材を探さなければなりません。一方、「一人目」に登録する方は、最初からそうした役割への関心を持っています。

実際、スカウト返信率は20%を超えています。20通ほどスカウトを送り、4〜5名と面談し、その中から採用につながるという流れが、一つの勝ちパターンになっていますね。

登録時の基準もあえて厳しくしています。現在は、登録後24時間以内に経歴やスキルを入力しなければアカウントを削除し、入力するまでは募集も閲覧できない仕組みです。それでも累計で300名を超える方がプロフィール登録を完了してくれています。手間をかけてでも登録する方だからこそ、転職や新しい挑戦への熱量が高く、それが返信率にもつながっているんです。

自ら使い込んできたからこそ提供できるAI支援

――AX・DX事業では、どのような点が強みですか。

自分自身がAIを実務でかなり使い込んでいる点ですね。「一人目」の運営では、仕様策定や開発、BtoB営業、広告運用などを一人で行ってきました。普通に取り組んでいては時間が足りないので、AIを使ってさまざまな業務を自動化しています。

単に新しいAIを調べて比較し、「これが良さそうです」と提案するのではありません。自社サービスの運営にAIを組み込み、自分自身で試行錯誤してきました。そのため、実際の業務にどう落とし込むかという解像度には強みがあると思っています。

――AIに関する技術的な経験も長いのでしょうか。

生成AIが注目される以前から、Pythonを使って機械学習のモデルをゼロから構築したり、データを作成して学習させたりしていました。大学院在学中からエンジニアとして活動し、その後もシステム開発を経験しています。

現在の生成AIだけを見ているのではなく、実際に手を動かしてAIの仕組みに触れてきました。その経験があるからこそ、根本的な部分への理解も深いと考えています。

父の仕事ぶりが教えてくれた、起業という生き方

――起業を志したきっかけを教えてください。

父の影響が非常に大きいです。父は熊本で一人会社を経営していて、僕が物心ついた頃からずっと仕事をしていました。ただ、普段は父がどんな人と関わり、どんな仕事をしているのかを見る機会はほとんどなかったんです。

その父が、僕が大学院に在学していた時に亡くなりました。葬儀には、それまで父が関わってきたクライアントや経営者の方々が参列してくださり、中には僕と同じくらい涙を流している方もいました。

父自身は何も語りませんでしたが、「どれだけいい仕事をしてきたんだろう」と、最後の最後に見せてもらったような感覚がありました。純粋に、めちゃくちゃかっこいいと思ったんです。自分も最後はこういう終わり方をしたい。それが起業を志した原点ですね。

大学院時代にインターンを始めた時から独立することを前提にしていました。新卒でも大手ではなく、起業につながる経験を積めるベンチャー企業を選び、入社から1年半ほどで独立しました。

AIの限界まで試し、その先で組織をつくる

――今後、採用や組織づくりについてはどのように考えていますか。

企業として拡大していくうえで、採用は非常に重要だと考えています。ただ、その前に「これはAIでできないか」と考えるようにしています。AIでできることの幅が非常に広がっているので、まずはその限界まで試したいんです。

一方、対面でのBtoB営業やヒアリングなど、人だからこそ担える仕事もあります。また、今後事業が成長すれば、開発や営業、マーケティングなどを責任者へ権限移譲していく必要も出てきます。自分一人のキャパシティには限界がありますから、将来的にはリーダーや責任者となる人材を採用していきたいですね。

――次の期に向けた展望を教えてください。

1期目から2期目にかけて、売上規模はおよそ2倍になりました。次の期も2〜3倍程度の目標を持ち、今期以上にAI活用へ力を入れていきたいと考えています。

「一人目」だけでなく、直近で立ち上げたAX・DXコンサルティングについてもしっかり売上をつくり、まずは一人でも事業を伸ばせるところまで挑戦したいです。そのうえで、一人でできることの限界も見極めながら、どんな人を採用するのか、どんな組織にしていくのかを明確にしていきたいですね。

新しい経験が、自分の視野を広げてくれる

――休日はどのようにリフレッシュしていますか。

週に1〜2回ほど、河川敷を10キロ走っています。近くのサウナを開拓することもありますね。

最近は新しいコミュニティにも参加して、これまで経験したことのなかった硬式テニスを始めたり、サーフィンに行く予定を立てたりしています。行ったことのない場所へ出かけることも好きです。

仕事でもプライベートでも、これまでやったことのないことに挑戦することで、自分の視野を広げていきたいと思っています。AIでできることを徹底的に追求しながら、人にしかできない価値を見極め、これからも新しい挑戦を積み重ねていきたいですね。

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