税務から経営、販促まで企業の成長に伴走する――グランディール税理士法人が追求する支援のかたち

グランディール税理士法人 代表社員 服部 美賢氏

グランディール税理士法人は、埼玉県東松山市を拠点に、税務・会計だけでなく、経営計画の策定や業績管理、デザインを通じた販促支援まで幅広く手がけています。記帳代行に頼るのではなく、企業自身が正確な月次決算を行える体制づくりを支援することも特徴です。ゼロから事務所を立ち上げた服部美賢氏に、独立までの経緯や事務所の強み、人材育成、今後目指す組織について伺いました。

月次決算から経営計画まで、企業の自立と成長を支える

――グランディール税理士法人の強みを教えてください。

私たちは、税理士業界の主な業務の一つである「記帳代行」を行わず、お客様自身が社内で帳簿入力できる体制づくりを支援しています。毎月お客様を訪問して税務監査や月次決算を支援することで、正確な数字を把握し、経営者が先を見据えて判断できる環境を整えることが目的です。

また、経営計画の策定にも力を入れています。毎月の業績報告では計画と実績を比較し、目標との差があれば改善点をお伝えします。期中には納税額を予測することで、納税資金の確保や節税対策にも早い段階から備えることが可能です。

税務申告では、税理士法第33条の2第1項に規定する書面添付を原則すべての顧問先で実施。信頼性の高い申告書を税務署へ提出し、税務調査のリスクをできる限り軽減することも大切にしています。

開業以来、顧問先への税務調査が行われたのは先日の1件のみで、その際も追徴課税はなく、是認通知をいただきました。相続税についても100件以上の申告に携わっていますが、これまで税務調査はありません。もちろん税務調査を避けるために保守的な申告をするのではなく、適用できる評価減などは可能な限り活用したうえで、正確な申告を行っています。

ゼロからの独立経験を、経営者への支援に生かす

――税理士を目指し、独立された経緯を教えてください。

商業高校に通っていたので、「自分は何ができるだろう」と考えたときに、会計の分野を極めたいと思ったことが税理士を目指したきっかけです。

税理士事務所には職員として6年間勤務していましたが、働きながら資格を取得するのは難しいと感じ、妻と一緒に退職しました。当時は子どももいましたが、そこから受験勉強に専念し、最終的には夫婦そろって税理士試験に合格しています。

その後、31歳で独立しました。開業時にはお客様の引き継ぎなどもなく、本当にゼロからのスタートです。自分自身が一から事務所を立ち上げた経験があるからこそ、これから事業を始める経営者の不安や気持ちは比較的よく分かると思っています。

――事務所を成長させるためのノウハウは、どのように学ばれたのでしょうか。

現在所属しているTKCでは、新規開業者向けのセミナーや事務所見学会などがあり、さまざまな事務所の先生方から学ぶ機会がありました。

ゼロからスタートして発展している事務所を訪問し、「どのように取り組めば成長できるのか」という話を聞きながら、自分でも実践してきました。特別なことをしたというより、学んだことを行動に移してきたことが、今につながっているのだと思います。

若さだけではない、研修と学びが支えるサービス品質

――組織としての強みについて教えてください。

比較的若い税理士や職員が多いことは一つの特徴ですが、若さだけが強みではありません。私たちが重視しているのは、職員一人ひとりの専門性を高め、サービスの品質につなげることです。

そのため、さまざまな研修を受講する機会を設け、全職員に巡回監査士の資格取得を推奨しています。令和8年度の税理士試験には5名が挑戦し、来年は7名が受験する見込みです。監査担当者の半数以上が税理士を目指して学んでいることも、当事務所の特徴だと思います。

新入職員には朝の時間を活用した研修を行うほか、職員同士で教え合うことも大切にしています。こうした学びを積み重ねながら、組織全体でお客様に提供するサービスの質を高めていきたいと考えています。

――採用では、どのような方を重視していますか。

一番重視しているのは、コミュニケーションができることです。会計事務所だからといって、単純に勉強ができる人だけを評価しているわけではありません。

知識は努力によって身につけられる部分がありますが、お客様と向き合うためにはコミュニケーション力も欠かせません。そのため、人としっかりコミュニケーションを取れる方を重視しています。

経営を知る税理士法人だからできる販促支援

――税務・会計以外の支援にも取り組まれているのでしょうか。

合同会社LTSというデザイン部門も併設しています。もともとは監査担当者として採用した職員が、前職で15年以上グラフィックデザイナーとして働いていたことから、その経験を生かしてお客様の販促物を制作するようになりました。現在は3名のグラフィックデザイナーが在籍しています。

中小企業では、Webサイトや販促物に十分な投資ができていなかったり、依頼先が分からなかったりするケースがあります。そこで、私たちがお客様の販促まで支援できればと考え、デザイン部門を立ち上げました。

監査担当者が毎月顧問先を訪問し、経営者から事業や経営状況について話を聞いていることも強みです。会社の状況を理解したうえで、Webサイトやチラシ、パンフレットなど、その企業に必要な販促物を提案できます。

電子化・AIを取り入れ、時代に合った事務所へ

――電子化やAIの活用については、どのように考えていますか。

今後はAIによって税理士業界の仕事も変わっていくと考えています。そのため、記帳代行に依存するのではなく、お客様自身が会計処理を行える体制づくりや、業務の電子化を進めてきました。

以前からペーパーレス化やIT活用にも力を入れており、TKCチャットを導入した際には、ほぼすべての関与先に導入しました。こうした取り組みが評価され、TKC会報でもDX推進事務所の事例として取り上げていただきました。

これからも新しい技術を取り入れながら、税理士だからこそ提供できる経営支援や付加価値を高めていきたいと考えています。

30人規模への成長と、その先の事業承継を見据えて

――今後の展望について教えてください。

現在は約20人の規模で運営していますが、まずは30人規模を目指しています。30人になれば、地域でもかなり大きな規模になると考えています。

一方で、30人規模に到達した頃には、私は現場から離れ、次の世代に運営を任せたいと思っています。そのためにも、私が前線から離れた後に無理に拡大し続けなくても、安定して継続できるブランド力をつけたいと考えています。

地域で税理士を探したときに自然とグランディール税理士法人を知ってもらい、問い合わせにつながる。営業活動だけに頼らず、名前そのものが選ばれる理由になる状態をつくっていきたいですね。

――そのために、今後どのような組織をつくっていきたいですか。

一番の課題は人材育成です。現在は中間管理職がほとんどおらず、組織がフラットな状態です。規模を広げていくためには、組織化していかなければなりません。

最近の会議では将来の組織図も職員に提示し、「将来はこういうポジションを目指せる」という道筋を見せました。今後は中間管理職を育てながら、私が前線を離れた後もサービスの品質を維持し、地域の企業を支え続けられる組織をつくっていきたいと考えています。

合気道で心身を整え、次の世代へつなぐ

――休日のリフレッシュ方法を教えてください。

9歳の頃から続けている合気道が、一番のリフレッシュです。現在は師範として教える立場でもあり、道場の館長からは人への指導の仕方という面でも大きな影響を受けています。

妻も税理士として一緒に働いているため、現在は土日も一緒に仕事をすることがあります。今は事務所の成長に力を注いでいますが、将来的に30人規模の組織をつくり、次の世代へ任せられる体制が整ったときには、夫婦で過ごす時間も増やしていきたいですね。

事務所を成長させるだけではなく、職員一人ひとりを育て、私が前線を離れた後もお客様を支え続けられる組織を残すことが、これから目指していきたい姿です。

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