「街の電気屋さん」のように気軽に頼れる存在へ――人とのつながりとAI活用で描くANDのこれから

株式会社AND 代表取締役 小川 裕司氏

株式会社ANDは、Web制作を軸に、制作後の運用や活用まで含めた支援に取り組んでいます。小川裕司氏が大切にしているのは、単にホームページを制作するだけではなく、「困ったときに気軽に相談できる存在」であることです。人柄や信頼関係を強みに、地域に根差した「Web業界の街の電気屋さん」のような立ち位置を目指しています。近年はAIの急速な進化にも向き合いながら、社内での活用や学びを積極的に進めています。今回は、会社設立の背景や経営で大切にしている価値観、組織づくり、AI時代を見据えた今後の展望について伺いました。

Web制作から運用まで、気軽に相談できる存在を目指して

――会社を立ち上げた経緯について教えてください。

もともと徳島のWeb制作会社で働いていました。当時、Web制作の技術はある一方で、制作したホームページをどう広め、活用するかという部分には課題がありました。一方、地域への情報発信力を持つタウン誌の会社には、Webのスキルが十分ではありませんでした。

そこで、お互いの強みを補い合えないかと話したことをきっかけに、両社が出資する有限責任事業組合を立ち上げました。その後、事業を継続するために株式会社ANDを設立し、Web制作から運用まで支援する現在の形につながっています。

――現在の事業で大切にしていることは何でしょうか。

Web制作会社が数多くある中で、当社の強みは「人」だと考えています。仕事になるかどうかにかかわらず、まずは気軽に相談していただき、私たちの知識で解決できることを提案する姿勢を大切にしています。

目指しているのは「街の電気屋さん」のような存在です。困ったときに思い出してもらい、気軽に相談していただける。そんな人と人とのつながりを大切にしながら、徳島に根付いたWeb会社でありたいと思っています。

素直さと謙虚さ、相手の気持ちを考える姿勢

――社員の皆さんには、どのような考えを伝えていますか。

よく伝えているのは、素直さや謙虚さを大切にし、できるだけ前向きな言葉を使うことです。私自身、「自分は運がいい」と考えてきましたし、そうした姿勢が良い結果につながってきたと感じています。

また、仕事では相手の立場に立って考えることを大切にしています。「自分がお客様なら何をしてもらえたらうれしいか」を考え、もう一歩踏み込んで提案する。たとえその場で仕事につながらなくても、信頼関係ができれば、また困ったときに頼っていただけると思っています。

――経営判断をするときの軸は何でしょうか。

大きな決断では、まず自分にとって「面白いかどうか」を考えます。そのうえで、その選択によって会社や関わる人が幸せになれるかを意識しています。

利益だけで判断するのではなく、できるだけみんなが笑顔になれる選択をしていきたいと考えています。

人柄を重視し、働き方にも柔軟性を持たせる

――社内のコミュニケーションや働き方について教えてください。

徳島と神戸にスタッフがいるため、基本的にはリモートを中心に働いています。出社は毎週月曜日を一つのコアタイムとしており、それ以外は必ずしも出社する必要はありません。

子育て中のメンバーもいるので、子育てを優先してもらって構わないと考えています。もちろん、お客様に迷惑をかけないことや納期を守ることは前提ですが、その範囲で柔軟に働いてもらっています。

以前は他社のバーチャルオフィスを利用していましたが、有料化をきっかけに、AIを活用して自分たちのバーチャルオフィスをつくりました。個人チャットや会議室などの機能を用意し、今も少しずつブラッシュアップしています。

――採用で重視していることはありますか。

一番は人柄です。話し方や考え方、受け答えなどから、「この人とは合いそうだな」と感じることがあります。

スキルも必要ですが、それ以上に一緒に働きたいと思える人かどうかを見ています。今いるメンバーも、そうした人柄を重視して集まったからこそ、現在の会社の雰囲気につながっているのだと思います。

AIに仕事を奪われるのではなく、乗りこなす側へ

――今後、取り組んでいきたいことを教えてください。

今、最も意識しているのはAIです。今後、私たちの業界がどこまで変わるのかは見えませんが、AIに仕事を奪われるのではなく、乗りこなせる側でいたいと考えています。

すぐに新しいサービスとして商品化するというより、まずは自分たちが対応できる幅を広げることが大切です。「AIについて分からない」と相談されたときにも応えられる存在を目指しています。

そのため、社内では毎週AIの勉強会を行い、活用事例を共有しています。さらに外部のAIコンサルタントにも入っていただき、月に1回、動向や使い方を学んでいます。

――AIによる業務効率化については、どのように考えていますか。

すでにデザインのベース作成や原稿整理、営業資料の作成など、さまざまな場面でAIを活用しています。

ただ、効率化によって生まれた時間を、さらに仕事に充ててほしいとは考えていません。空いた時間は、自分の楽しみや家族との時間に使ってほしいと思っています。

また、将来的にはホームページの役割自体が変わる可能性もあると考えています。AIだけで情報収集やさまざまな手続きが完結するようになれば、ホームページを見る機会が減るかもしれません。そうした変化にも対応できるよう、今のうちからAIを学び、次の可能性を考えていきたいです。

自分から家族、社員へ――幸せを順番に広げていく

――経営や人生の中で大切にしている考えを教えてください。

私の中では、幸せになる順番を決めています。まず自分が幸せになる。その次に家族を幸せにする。そして社員、その先にお客様や友人、関わってくださる方々がいるという順番です。

自分自身が満たされていなければ、家族を幸せにすることは難しいですし、家族が幸せでなければ仕事にも十分に向き合えないと思っています。

社員にも、まず自分自身を大切にして、その次に家族を大切にしてほしいと伝えています。家族をないがしろにして仕事だけに打ち込むという考えは、私にはありません。

――休日はどのようにリフレッシュされていますか。

友人とゴルフに行ったり、家族と旅行に出かけたりしています。特に今は家族旅行を大切にしています。

子どもが成長すると、いずれ友達との時間を優先するようになると思います。家族みんなで旅行できる時間は限られているかもしれないので、今のうちに、時間が空けばできるだけ旅行に行くようにしています。

仕事も人生の大切な一部ですが、それだけがすべてではありません。まず自分が幸せになり、家族を大切にし、その幸せを社員やお客様、周囲の人へと広げていく。これからも、その考えは社員に伝え続けていきたいと思っています。

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